犯人は...
昼下がりの陽光が、街を柔らかく照らしていた。
警察車両は騒音の多い通りを抜け落ち着いた住宅街へと入る。
「あそこだな」
車を停め、緊張を帯びた息を一つ吐いてドアを開ける。
5分ほど歩くとその被害者宅はある。
昼とはいえ聞き込みに応じてもらえるかわからない。
二人は玄関に立ちインターホンを押す。
数秒ののち、中から足跡が近づいてきた。
「どちら様ですか」
「お久しぶりです。神薙と操楽です」
しばしの沈黙の後、鍵が外れる音がした。
「中へどうぞ」
その直後、操楽が少し慌てた口調で口を開く。
「すみません。ノートを玄関に取り忘れました。ちょっと取りに行ってきます」
「わかった。先に入るから急いでとってこい」
小走りで車に戻った操楽は探し物を手に取り再び被害者宅に入った。
「お待たせしました」
神薙はすでに資料をまとめすぐ近くには茶が出ていた。
「何度も何度もすいません」
「いえいえ。いいんですよ。智央の仇がとれるなら」
「早速ですが、犯人について心当たりやあの人かもしれないと思う人はいますか」
「いませんね。何せ犯人を見たとはいっても車のドアをスライドさせ乗り込むとこだけなので」
「そうなのですね。では、特徴は何かありましたか?」
「長身でしたね。髪型的に男だと思います」
事情聴取は順調に進んだ。
被害者の証言を丁寧にメモしていったがやはり証言は変わらなかった。
「すみません。トイレを借りてもよろしいでしょうか」
「部屋を出て右にあります。どうぞお使いください」
「ありがとうございます」
神薙は廊下を抜けトイレに向かう。
家に入った時にはしなかったが、どこからともなく血の匂いがした。
斎藤さんには申し訳ないとは思うも最も血を濃厚に感じる部屋を見つけた。
「ここか」
ドアを開けると血のにおいが充満していた。あまりにもにおいが強く服で鼻を覆う。
部屋の中央には、透明な袋が置いてあった。あたかも見つけて欲しいと言うように。
袋の中にはぼこぼこに凹んだバット。そして服と靴が入っていた。
急いで手袋をし、それを持ち上げると血だまりがある。
「犯人は斎藤だったのか」
部屋にもどり斎藤に突きつける。
「これはどういうことだ。斎藤お前が犯人だな」
操楽と斎藤の注目が袋に向けられる。
窓から降り注ぐ光にバットが。凶器が。反射する。
「ち、ちがう。私はそんな袋しらない」
声を震わせ、困惑した様子だった。
「詳しいことは署で聞く」
自宅で事情聴取中、偶然見つかった証拠品をもとに斎藤は手錠をかけられた。
手錠をかけ狼狽する斎藤を前に操楽は口角を少し吊り上げる。
そのまま外へと連れ出された。
「操楽。早く警察署に行くぞ」
「私は、他に証拠がないか家の中を調べてからいきます。先に行っておいてください」
「わかった」
そのまま神薙は、警察車両に乗って斎藤といってしまった。
警察車両が遠くへと離れるのを見届けパトカーへと駆け込んだ。
プルルルル…ガチャ…。慧士という男に電話をかけた。
「指示通りやりました。約束通りお願いします」
「あと1つだけ言うことを聞いてくれ。そうしたら約束を守ろう」
「本当に最後ですね。何をすればいいですか」
「俺が次、電話したら陽翔と澄乃を烏山に連れてきてくれ。いつものあの場所だ」
電話の奥では慧士という男が血を求めるカラスのように笑い声をあげる。
黒煤武具商店で大量の爆薬を買っていた。
ドアを開けるとそこから先は闇だった。
お読みいただきありがとうございました。
これからも読み続けていただけるとありがたいです。
良ければ評価お願いします。




