黒煤武具商店
扉を横にスライドさせ中に入るとたくさんの武器が並んでいた。拳銃、警棒、チェンソー、短刀、金棒、手榴弾とありとあらゆる武器がそろっていた。奥にはいかにも武具商店の店主と思わせるような人が胡坐をかいて座っていた。顔には大きな傷があり死線をくぐってきたような雰囲気を漂わせていた。
店主顔怖いな。暗闇で見つけたら怖すぎて一発で気絶する自信がある。
「お久しぶりです。斎藤さん今日は何をお求めで」
店長と思える人は顔のわりに丁寧な言葉で話す。今の時代にこんなお店があっていいのかと僕は内心思いつつも、これであいつにあったときに殺せると考えると妙な高揚感を感じた。
「警棒とスタンガンを2つずつ頼む」
男は流暢に答えた。
「これなんかどうでしょう」
ある疑問が僕の中を飛び交う。なぜこの商店を知っているのか。なぜあんなにも親しげなのか。
「陽!これ見て拳銃よ。初めて見た!」
「そうだね。こんなもの売っているところ他にたぶんないよ」
疑問を抱えたまま姉とともに武具を見回っていると、ある一つの物の前で止まった。いや勝手に足が止まったというべきだろうか。それは金属製のバットだった。僕の中で枝が揺れ葉が落ちた。何か見覚えがある。
「あなたもそれをお求めですか」
そう店主に不意に声をかけられてしまい。僕はすぐに「いいえ、見ているだけです」と答えてしまった。
「4点でこのぐらいになりますが、何せここはあなたの祖父のお店なのでお金をもらうわけにはいけません」
僕の中の疑問が晴れた。なぜこんな危険なお店を知っているのか。普通の人ならこんなお店は知りえない。
「陽さん澄乃さんこれをどうぞ」
僕たち二人に1つずつ警棒とスタンガンが渡された。
それらは自分の手よりも大きく重みがあった。物質的な重みもあったのだろうがたぶん自分が感じている今の重みは、その重みではないのだろう。どす黒い復讐心の中にこれだけが僕の将来への道を照らしていた。
「これいくらですか、御金返します」
姉は武器を見るのに夢中で何も聞いていなかった。
「同じ境遇の人とこうして出会えたのも何かの縁です。私からのプレゼントだと思って受け取ってください。それにこれ無料だったんで」
「「ありがとうございます」」
僕たち兄弟は声をそろえていった。お店を出てさっきまで日が道を照らしていた場所に出ると、今はもう太陽ではなく月光がほんの少し道を照らしていた。
「今日は何から何までありがとうございました。またやつの情報が手に入り次第連絡しますね」
「こちらこそありがとうございました。私も情報集めてみますね。また今度お会いしましょう」
そうして男は暗闇の中へと消えていった。胸に名残惜しさを抱えつつも僕たち兄弟も帰路についた。
「まさか同じ境遇の人がこんなに近くにいたんだね」
「僕もびっくりしたよ、しかもこんなものも手に入るなんて」
もう一度それらに目を向ける。やはり僕の中を照らしていた。
これで復讐ができる。家族を殺したあいつに。父さん母さん瑠子、絶対敵をとるからね。
「陽、どうしたの」
「なんもないよ。姉ちゃん」
そういいながら空を見上げった。
月光がまぶしい。太陽が僕たちの心を照らすのはいつなのだろうか。
お読みいただきありがとうございました。
大学の春休みと同時に期末テストが近づいてくることにうれしい気持ちがありながらも地獄にいるような気分です。これからも投稿していきますのでお読みいただけるとありがたいです。




