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道化師は笑う  作者: 無縫


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そばにいる約束

壁に埋まる紙に視線をめぐらす。僕は椅子にもたれかかっていた。どうしたものか。

ここ1週間、疲労がたまる毎日だった。

学校に行けば友達から注目の的となり、帰り道にはメディアに押しかけられ質問攻め。

僕は被害者なんだと心に叫びながら、ようやくほとぼりが冷めた今日。状況整理に頭を費やしている。

わかっていること、それはピエロの身長が高いという情報だけ。だが、それだけでも僕はピエロを殺すための第一歩だと感じ、一生懸命に捜索にあたっている。その結果がこれだ。白い壁へ張り付いた事件にまつわるか紙ぐるりと見返した。

ある資料を手に取った時不意に後ろから姉に話しかけられた。毎晩遅くまで明かりがついた僕の部屋に不信感を持ったのだろう。

「陽、こんな遅くまで何しているの」

「うんん。何でもない、眠れなかっただけだよ。姉さんこそなんでこんな時間まで起きてるの」

ポケットには長方形の何かが大小二つ形づくっていた

「うんん。遅くまで陽翔起きててきになったの」

「なんもないよ」

自分の手にある資料を忘れ姉に返事をした。

「陽、これは何」

入り口近くの張り付けてある紙に手をかけそれをまじまじと見る。

坂下刀花 28歳 銃弾による銃創死

操楽澪・歩 どちらとも53歳 刀で全身を切り刻まれたことによる出血死

近堂叶 73歳 銃による射殺とそれによるショック死

斉藤智央 24 手榴弾による爆破による焼死

「これってまさか殺害された人のリスト」

姉は僕に驚きを隠せずにいた。

「そうだよピエロに殺された人の名前」

「これを調べてどうするつもり」

じっと僕を見つめた。これからどうするかは気づいていたようだった。

「復讐するんだ」

声がかすれていた。泣いているわけではない。けれどその震えには深い絶望と怒り、恐怖が絡み合っていた。わかっていたもう一度ピエロが来ることを。またあの恐怖が迫りくるのだと。刑事さんには言っていないがあいつは去り際また来る的なこといった。その時があいつの命日だ。

「…あなたが死んだらどうするの…あなたが死んだら私一人。もう誰も失いたくないの。」

姉の切実な願いだった。

俯きながら声を震わす。

「姉ちゃん、僕のせいで危険に巻き込みたくないんだ…だからかかわらないでほしい」

声は低く決意に帯びていた。姉ちゃんを関わらせるわけには行けなかった。

泣くときも笑う時も横にはいつも姉がいた。でもそれは恐怖を感じることまでずっと姉が横にいるのは違う。

姉はそっと僕の肩に手を置き、優しくも強い目で見つめた。

「…一人で背負わせないよ。私も一緒に背負わせて」

一瞬、僕の胸が締め付けられる。恐怖、責任感そして姉を守りたい気持ち。

姉ちゃんだけは死んでほしくないんだ。お願いだから僕だけでやらしてくれ。そんな顔しないでくれ反則だ。

二人の視線が重なったとき、そこには兄弟の強い強いきずながあった。

悲しみも恐怖もこれからは一緒に背負うと約束したように。

「姉ちゃん、絶対に死なないでね」

「分かってるよ。指切りげんまんしよ。指切りげんまん、噓ついたら針千本のーます!ゆびきった!」

東の空が薄紅色にほどけ始めるとまるで二人の未来がそっと動いたようだった。


読んでいただきありがとうございます。

大学の勉強をしながら楽しんでこれからも連載していきますのでこれからもよろしくお願いします。

これから毎日投稿に切り替えて頑張っていこうと思いますので応援のほどよろしくお願いします。

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