4話
ヒーローとヒロインの合同活動が始まった。商店街の清掃、老人の買い物の手伝い、小学生の登下校の見守り。制服姿の男女が並んで立つだけで、街の人々は「やっぱり華やかだね」と笑顔を見せる。市役所の広報誌も「新しい風」と題して写真を掲載し、制度は再び注目を集めた。
悠真はそのたびに柚月の横顔を盗み見ていた。真剣に子どもへ声をかける姿、老人の荷物を軽々と持ち上げる姿。彼女の一挙一動が、悠真にはまぶしく映った。
――もっと認められたい。彼女に「すごい」と言わせたい。
その承認欲求は、悠真を突き動かした。旗を振るときは声を張り上げ、掃除のときはわざと大げさにゴミ袋を持ち上げる。だが、柚月はそんな悠真をちらりと見て、静かに微笑むだけだった。褒められることも、注意されることもない。
やがて活動に慣れてくると、悠真の心に再び影が差し始めた。朝早く集合するのは面倒だ。重い荷物を持つのも疲れる。作り笑顔を続けるのも、正直しんどい。
「……別に俺がやらなくてもいいだろ」
その呟きは、誰にも聞かれていないはずだった。だが、柚月がふと振り返り、悠真の顔を見つめた。彼女の瞳は責めるでもなく、ただ静かに問いかけるようだった。
悠真は慌てて笑顔を作り直した。だが心の奥底では、承認欲求と怠け心がせめぎ合っていた。彼女に認められたい気持ちと、面倒を避けたい本性。その二つが交錯し、悠真の胸をざわつかせていた。
――このままでは、彼女に届かない。
そう気づきながらも、悠真はまだ答えを見つけられずにいた。




