10話
冬の夕暮れ、街は年末の買い物客で賑わっていた。商店街の灯りが赤く染まり、子どもたちの笑い声が響く。ヒーロー隊とヒロイン隊は合同で巡回し、いつも通りの活動を続けていた。
そのときだった。突然、街全体が暗闇に包まれた。電灯が一斉に消え、商店街のアーケードも真っ暗になる。人々のざわめきが恐怖に変わり、悲鳴があちこちから上がった。
「停電だ!」
「危ない、足元に気をつけろ!」
混乱の中、悠真は仲間に声を張り上げた。
「みんな、落ち着いて!人を誘導するんだ!」
ヒーロー隊の仲間が懐中電灯を取り出し、通りを照らす。ヒロイン隊は子どもたちを集め、安全な場所へ誘導する。だが、暗闇の中で老人が転び、荷物が散乱した。人々の動きはさらに混乱を増していく。
柚月が悠真に駆け寄った。
「悠真くん、隊を分けよう!ヒーロー隊は人の流れを整理して、ヒロイン隊は子どもと老人を守る!」
「わかった!」
悠真は仲間に指示を飛ばす。
「右側の通りを照らして!人を一列に並ばせろ!」
「荷物はまとめて端に寄せて!」
仲間たちは一瞬ためらったが、悠真の声に従い動き始めた。柚月もヒロイン隊をまとめ、子どもたちを抱き寄せながら声をかける。
「大丈夫、怖くないよ。私たちがいるから」
その言葉に、泣いていた子どもが少しずつ落ち着きを取り戻す。
やがて、商店街の人々も協力し始めた。店主が懐中電灯を差し出し、通行人が荷物を拾い集める。街全体が一つになり、混乱は次第に収まっていった。
暗闇の中で、悠真は汗を拭いながら深く息を吐いた。
「……みんな、よくやった」
柚月が隣に立ち、静かに言った。
「悠真くん、今のは本当に隊長だったよ」
その言葉に、悠真の胸は熱くなった。承認欲求ではなく、仲間と街を守るために声を張り上げた自分。初めて「本物のヒーロー」として認められた瞬間だった。
停電はしばらく続いたが、街の人々は落ち着きを取り戻し、ヒーローとヒロインの存在を心から頼もしく感じていた。




