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茶色の場合  作者: Kwyt
16/20

Nacht und Nebel - niemand gleich!

タイトルはワグナー由来です

――1940年1月4日、ロンドン、ダウニング 10


「チャーチル海軍卿、日本海軍、いや陸軍から買った輸送艦はどうだね」

「買った分だけでも1個師団を仏に1時間で、ノルウェーに15時間で送り込み、橋頭堡を築くことができます。今後ライセンス生産が進めばさらに上陸能力を増やせます。ライン川遡上作戦すら可能になるかもしれません。ジークフリート線の後方に出現し独の工業力を消滅させられるのです。この能力は、独がポーランドでみせたような機動による戦争を、仏にしかけて来た場合には、非常に大きな意味を持ちます。我々の制海権は動きませんし、陸上の機動ではこのような速度は達成不可能ですから、独には対応できません。後方を遮断された部隊というのは胴体の千切れた竜のようなものですから。我々の勝利は確実です」

「可能性をちらつかせるだけでも有益そうだが、その代償に日本陸軍の移動に協力するというのは大丈夫なのかね」

「これで米が我々に宣戦布告するなどはありえません」

「米独が同盟する可能性についてはどう思うかね」

「さすがにそれには米独の関係は冷えすぎています」

「黄禍論の盛り返しはないのかね」

「あれは移民法でかたがついているでしょう」

「日米戦争はどうなるね」

「米はかなりの損害を出したようです。日米戦争は遠からず集結するでしょう。早期に停戦させるべく仲介するとよいでしょう。米が抵抗するようなら、田尻部隊がなにかするでしょう」

「あれはそれほどのものかね。せいぜい10個師団だろう」

「あの、いつどこにわいてくるかわからない部隊を相手にするのは非常に危険です。もし大西洋にでてしまえば、それこそミシシッピを遡上するとかしかねません。米には日英のアジア支配を阻止する以上の目標はないですから、ユーラシア全体に広がってしまった日がロから撤退するというのは、戦争の目標の達成につながります。日には米を相手にする理由はないですし、大した被害もでていませんから、停戦に簡単に同意するでしょう」

「日英仏相互援助条約による日の対独宣戦の価値は減るのではないかね」

「たしかに、世界最高の機動能力を持つ田尻部隊が欧州から消えるのは問題で、独がこの機会になにか攻勢にでることは考えられます。しかし、独が仏に侵攻ともなれば、本質的には意味のない日米戦争などやっているひまはありません。早期に日米戦争を終わらせて、田尻部隊を欧州に呼び戻すことも期待できます」

「いずれにせよ日米戦争は早めに終わらせるのがよいようだね」


――1940年1月10日、参謀本部


「田尻中将、天号作戦成功おめでとうございます。次はミシシッピですか」

「あれは、ソの大粛清と、根こそぎ動員を引き出したアジアでの作戦あってのことです。相手がまともな状態で通るようなものではありません」

「ではまともな対米作戦は?」

「軍事的には、航空兵力の差が大きすぎますので、夜を長くしたいところです」

「北方ですか」

「アリューシャンの夜と霧を使って攻勢にでれば、我が方の電波兵器の優位のもとで戦うことを強制させられます」

「夜と霧ですか。なるほど。しかし縁起が悪くもありますな」


――1940年1月25日0時、アラスカ、キスカ島


「米の動きなし。上陸開始」

「橋頭堡確保」

「飛行場建設開始」

「揚陸完了。輸送艦撤収」


――1940年1月30日22時、アラスカ、アマクナック島ダッチハーバー


「上陸開始。日の出まで11時間」

「抵抗軽微。飛行場制圧完了」

「揚陸完了。輸送艦撤収」

「戦闘機隊到着」

「アリュート解放放送、放送開始」


――1940年2月5日22時、アラスカ、コディアック島


「全面電波妨害。40cm射撃開始。日の出まで11時間」

「上陸開始。日の出まで10時間」

「中隊規模の敵飛行場と港にあり」

「敵大型機30機北東200kmにあり、時速300kmで接近中。日の出まで6時間」

「戦闘機隊接触、重爆3機撃墜。港内に投弾、被害なし」

「投下機雷に注意せよ」

「飛行場制圧完了。日の出まで4時間」


「対空装備設置。飛行場使用可能。日の出まで2時間」

「揚陸完了。輸送艦撤収」

「戦闘機隊補給終了。発進」

「敵大型機20機、小型機30機、北東200kmにあり、時速300kmで接近中。日の出です」

「戦闘機隊接触、重爆1機、戦闘機2機撃墜。飛行場に投弾、修復3時間を予定」

「敵水雷戦隊、北東200kmにあり、時速50kmで接近中」

「攻撃機隊到着、戦闘機隊補給」

「攻撃機隊ならびに我が潜水艦、敵水雷戦隊を攻撃、巡洋艦1隻中破、駆逐艦1隻撃沈。我が方の損害、攻撃機4機」


――1940年2月6日22時、アラスカ、コディアック島


「攻撃隊出撃。目標エルメンドルフ飛行場燃料施設」


――1940年2月15日8時、アラスカ、本土、ヤクタト テレビ


「こちらは米本土アラスカ州ヤクタトです。陸軍は昨夜こちらに上陸し、現在飛行場を建設中です」


――1940年3月1日 参謀本部


「アラスカ封鎖、米太平洋岸での潜水艦の活躍はトン数でみればさほどではありませんが、米国民に多大な厭戦感をもたらしています。アラスカは供給がなければ、この冬は越せても来年の春まではもちません。米潜水艦の活動は見られますが、結局のところ、補給を輸送艦にたよることになっているというだけのことです」

「これからアラスカは昼も長くなりますし、雪もやみます、米艦隊の活動が高まるでしょう。遠からずコディアックに攻撃があると思います」

「ヤクタトではなく」

「陸上からの攻撃は夏季でも非現実的ですから、いずれにせよ上陸作戦になります。アラスカの基地が燃料切れで使えない以上、空母部隊のを使うことになり、それには潜水艦の排除が必要です。そうすると我が潜水艦部隊の根拠地がある、コディアックを押さえなければなりません」

「方針は」

「空襲や艦砲射撃の被害を押さえるべく最小限の警戒部隊をコディアックに残して、航空部隊、潜水艦部隊の根拠地をダッチハーバーに移動。上陸開始以降、霧の出たところをみはからって潜水艦、攻撃機、魚雷艇が突撃。上陸部隊に被害を出してもらいます」

「霧がでなければ。あるいは大被害を受けても上陸してきたら」

「警戒部隊は地雷を起動、電波兵器をすべて破壊して降伏」

「ヤクタトは」

「もともと放送局と飛行場ぐらいしかないでしょう。潜水艦でも撤退できます」

「そのあとは」

「コディアックの結果にもよりますが、ダッチハーバーで繰り返しですか」


――1940年3月15日、ロンドン、ダウニング 10


「独がこちらのノルウェー進駐を予期して、鉄鉱石輸入ルートを維持すべく侵攻をたくらんでいるふしが見られます。先手を打って部隊をノルウェー北部に送り込みましょう。敵が出撃してからでも部隊を配置につけられます」




https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alaska_Death_Trap.jpg

エルメンドルフ開設を繰り上げています

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