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茶色の場合  作者: Kwyt
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対立

――1938年7月31日 参謀本部第一部


「部長、張鼓峰の国境紛争が激化しています。ソは極東艦隊も動員しています」

「大粛清も進んでいるしシルクロードもカシュガルまでたどり着いている。そろそろいい頃合いだろう。圧倒しよう」

「来るなら来いですか」

「制空権を陸上機で確保し、装甲列車で支援の上、師団規模の部隊を鉄道で投入。ただし張鼓峰より先には侵攻しない。海上部隊は出さない。極東艦隊はせいぜい水雷戦隊だが、念の為海軍には潜水艦で警戒を要請。張鼓峰からテレビジョン中継を行う」

「それは大盤振る舞いですな」

「逆上させるのが目的だからね」


――1938年8月6日 参謀本部第一部


「ソの1個軍が張鼓峰攻略をこころみましたが、こちらの火力の前に莫大な損害を出しても撤退せず、壊滅しました。敵空軍は、わが戦闘機部隊が撃破しました」

「飛行機の性能自体は大差ないが、電探哨戒、誘導で結果に大差がでたね」

「街頭テレビジョンによる中継は大人気で、各国の新聞が中継を見て報道していますが、共産党軍の狂気に反発があり、概ね日本に好意的です」

「すばらしいが、海軍はこなかったか。ここで事を起こしてくれると簡単なのだがね」

「内陸で来るということですか」

「そうなるだろうね」


――1938年8月26日 参謀本部第一部


「ソが極東に3個軍程度を集中させています。張鼓峰にくるようです。極東艦隊も動きそうです」

「すばらしい。列車砲、航空兵力、特に戦闘機部隊には余裕を持たせておこう。共産党の督戦部隊の絵が撮れるといいね。海軍にも巡洋艦戦隊ぐらいをだしてもらおう。これもテレビジョン中継しよう。いい見世物になるぞ」


――1938年9月16日 参謀本部第一部


「ごらんのとおり、ソの3個軍が張鼓峰攻略をこころみましたが、こちらの火力の前に莫大な損害を出しても撤退せず、壊滅しました。極東艦隊も昼間の砲戦の結果壊滅しました。督戦部隊とおぼしき部隊が自軍に機銃を撃っている絵も確保しました」

「フィルムで撮ったものは、欧米にも流そう。勇猛な日本兵の必死の防戦と非人間的な共産軍で。しかし、ちょっと単調だね。もう少し工夫があるかと思ったが」

「20cm4門の火力が大きかったですな」

「こうなると、冬に来るだろう。カシュガルから樺太まで、どこに来てもおかしくない。ソには懸念を通知。防共協定各国には、警戒を要請。動員を進め北満は疎開の準備。満州についてはチチハルを防衛拠点とする。戦車中心の侵攻になり、航空機による兵站阻止が必要になるだろう。カシュガル、ウルムチの防空、飛行場、補給設備を強化し西欧との連絡を確保する。重要拠点全域の偵察を強化。張鼓峰には要塞化を施したうえで、部隊は1個大隊程度にとどめよう」

「シベリア鉄道は潰さないのですか」

「もちろんノボシビルスク以東について爆撃準備はしておくが、侵攻前にはやらない。侵攻開始後各国に通知してからのことだ」


――1938年12月11日 テレビ


「こちらは参謀本部です。満州国境全周にわたり、ソ軍150万、戦車5000、飛行機3000が配置されようとしています。いまだ開戦には至っておりませんが、非常に危険な状態です。ごらんのように一部の部隊は、満洲国内の飛行機からも見ることができます。こちらはウラジオストーク近郊、36軍麾下の戦車旅団で、戦車100両程度を基幹としています。陸軍、海軍は動員を進めており、北満には疎開命令が発動されました、事前の案内どおり集合場所に移動してください。それ以外の地域ではテレビ、ラジオの報道に注意し指示にしたがってください」


――1938年12月18日 参謀本部第一部


「ソの宣戦布告、軍の越境を確認しました。各国には通知しました。挙動は事前想定通りです」

「計画通り、全面電波妨害開始。敵航空部隊の排除後、確認されている補給拠点を破壊する。優先順位は北側、東側、西側。並行して沿海州の拠点に艦砲射撃。橋梁は破壊。陸上部隊は遅滞行動をとる」


――1938年12月19日 テレビ


「満州国に侵入したソ部隊は、北、西で約100km前進しましたが、東では、10km程度にとどまっております。全体で侵攻速度は遅くなっています。わが防空部隊はソの航空攻撃隊を撃破、満州南部への空襲の可能性は低くなっていますが、引き続き空襲警戒を続けてください。英独華をはじめとする防共協定加盟国はソに対する抗議の声を上げましたが宣戦にはいたっておりません。米仏は中立を宣言しました。ソは各国に対し中立義務違反を抗議しています。ホロンバイルは無防備地区を宣言しました。陸軍は居留民安全確保のため、北樺太およびカムチャッカ南部に進駐しました」


――1938年12月20日 参謀本部第一部


「シベリア鉄道切断作戦は概ね成功、沿海州の部隊は侵攻が停止しました。北方の侵攻速度は1日60kmに低下。チチハル北方防衛線に近づいています。西方は興安嶺で防衛しております」

「よろしい。イルクーツク作戦を発動」


――1938年12月22日 バヤンノール


「外蒙部隊の活動は低調です。装甲トラック部隊はマンダルゴビを通過、本日中のウランバートル包囲を目指します。パイプライン末端は外蒙に入りました」


――1938年12月25日 テレビ


「外蒙との停戦交渉が始まりました。外蒙縦断を果たした陸軍のイルクーツク作戦部隊は、ウラン・ウデ近郊に到達、現地ブリヤート族の協力を得、各地の収容所から万単位の政治犯や少数民族を解放しています。ごらんのように政治犯たちはやせ衰え、拷問のあともみられます」


――1938年12月25日 参謀本部第一部


「ソ部隊の大規模な反撃はみられません。満州の部隊はほぼ停止しています。西方から部隊を引き抜きノボシビルスクに移動させているようです」

「うまくいっているが、まだシベリア出兵程度だな」


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