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茶色の場合  作者: Kwyt
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Jutland

――1915年1月、ロンドン、ダウニング 10


「チャーチル海軍卿、ドッガーバンクはどうだったね?」

「若干損害はありましたが、大勝利ですな」

「ガリポリ上陸作戦への影響はないかね」

「そもそも独相手には使えない旧型艦を投入する作戦ですから、問題ありません」

「それは結構。また出てきたらどうするね?」

「ドライヤーの射撃盤を各艦に装備します。命中率は大幅に上がるでしょう」

「素晴らしい話だが、数も多い方がよくないかね」

「日本海軍の金剛型4隻を呼びましょう。レンタル料はすでに払ってあるのですから使い時でしょう」

「日本海軍も何やら事件が明るみにでて大変なようだったが」

「尻尾切りで終わっておりますので問題ありません」


――1915年2月、ヴィルヘルムスハーフェン、Friedrich der Große


「ヒッパー提督、ドッガーバンクでなにか発見はあったかね?」

「攻撃面では、我が方の測距儀の優秀性で、最大射程まで高い命中率を達成することができました。防御面ではSeydlitzが砲塔を貫通されながら英雄的な水兵の注水により爆沈しなかったのはすばらしかったと思います」

「なるほど、最大射程の延長、水平防御の強化、弾倉の防火などが必要ということだね」

「まったく長官のおっしゃるとおりです。Von Der Tannの28cm/L45でも最大射程近く、高落角の砲弾は、命中すれば高確率で砲塔天蓋を貫通し、1撃で主力艦を撃破できる可能性があります。砲戦距離をうまくとれば、こちらの被害も抑えられるでしょう」

「すばらしい。工廠と調整しよう。日本の金剛型4隻が増援にくるという情報があるが、どう思うね」

「最新型の巡洋戦艦が4隻、しかも36cm砲装備というのは問題ではあります。距離にかかわらずこちらの垂直装甲も抜かれるでしょう。防御面では英艦と変わらないので、優先目標とするのがよいと考えます」

「先頭にたって突撃されると非常に危険だが、英艦隊に後続するようであればなんとかなるということだね。情報収集につとめよう」


――1915年9月、陸軍省軍務局局長室


「井上課長、ガリポリについてどう思う」

「チャーチルは戦は素人ですが、いろいろ面白いことを思いつきますな。ビートル船で500人規模の部隊を足も濡らさせずに上陸させる、連隊規模を陸に乗り上げさせた貨物船から下ろすなど、今後の戦争はこういう戦いになるのでしょう。何十万が塹壕で向かい合っていても被害がつのるばかりで戦線はろくに動きませんが、背後から対応されぬうちに上陸し師団規模で運動できれば、一気に戦争が終わります]

「失敗の原因はどうだね」

「今回の失敗はトルコ軍に対応する時間を与えてしまったことにあります。上陸場所の選定のため入念な敵情収集も必要ですが、上陸準備、上陸、その後の橋頭堡確保から、機動という流れをどれだけ短時間でできるかが重要になるでしょう。無線を活用し小部隊単位でうごかせば上陸速度は上げられますが、海上での行動速度を上げるには船の研究が必須です。手漕ぎの木造船をデリックでおろして乗り移りではどうにもなりません」

「運輸部の強化については考えよう。海軍もできもしない対米艦隊決戦などにかまけていないで、こちらの研究もすすめてくれるとよいのだが」

「薩摩は直接陸兵の輸送にはかかわらんといっておりますから。なにかきっかけを作りたいところです」


――1916年05月30日、フォース湾、金剛


「長官、ビーティ提督より要請。独高海艦隊出撃せるもののごとし。我が巡洋戦艦隊はこれを捕捉すべく本日22時30分出撃。貴艦隊にはこれに追随されんことを期待する」

「総力出撃に問題はないな。第1特務艦隊、全艦出撃用意。ビーティ提督には全力で出撃すると返信。霧が予想される。霧中曳的を要請せよ」


巡洋戦艦部隊

(英)

旗艦 Lion

第1巡洋戦艦戦隊 Princess Royal、Queen Mary、Tiger

第2巡洋戦艦戦隊 New Zealand、Indefatigable

3個軽巡洋艦戦隊

1個駆逐艦分艦隊

(日)

第1特務艦隊

第3戦隊 金剛、比叡、榛名、霧島

第2水雷戦隊 矢矧、3個駆逐隊


// 金剛型全艦が、実質的には第3巡洋戦艦戦隊として行動している。

// 帝国海軍部隊の参加により、第5戦艦戦隊は本来の任務である戦艦部隊の前衛を務めている。


――1916年05月31日14時32分、北海、金剛


「長官、敵発見との報。本隊は南東に変針します」

「本隊の運動把握に留意して追随せよ」


// 第5戦艦戦隊とは異なり、巡洋戦艦部隊としての共同作戦の経験のあった第1特務艦隊は、無事本隊に追随していく。


――1916年05月31日15時48分、北海、金剛


「前方より主砲発射音確認、本隊は南南東に変針」

「近づかんのか。こちらだけ突撃するわけにもいかんな。追随する。左砲戦用意」

「本隊射撃されています。敵艦視認できません」

「転回終了を待って推定位置に対し射撃する」

「敵艦距離推定1万9000。射撃開始」


――1916年05月31日16時02分、北海、金剛


「全弾遠弾」

「Lion被弾砲塔爆発」

「まだ挟叉できんか。」

「榛名爆沈」

「本隊と分離し突撃する」

「一番砲塔被弾貫通」

「一番砲塔爆発」

「There seems to be something wrong with our bloody ships today」


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