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第84話 結婚へ向けて(その4) ー手続き、そして報告ー

【結婚への手続き】


3月初旬、両親の結婚の許しと、墓参りを済ませた、ヨメンズ(=私と優子と瀬名)とバカ(=孝)は、結婚の手続きを始めた。。。

 

まあ、、、慌ただしいものだった。




理由は、一夫多妻の特典である、授業料免除・給付型奨学金の申請には期限(4月15日)があるためだ。

 



もう一つ、実はI大学は旧女子寮を改装中だったが(第13話)、改装が完了し、既婚者向きの住宅として新たに入居者を募集するとの情報を撫山教授から得た。


ただし、募集締め切りの3月20日に、間に合わせる必要があった。

 


 

あと、100分の1の男性の妻に対する優遇措置として、住宅賃貸料や光熱費や大学内の食費の減免措置がある。。。

 

これは、いつでも受け付けているのだが、申請時に婚姻届けや戸籍等の書類が必要なのだ。

 

 

  

すなわち、

・100分の1の男性の妻に対する授業料免除・給付型奨学金の申請にも、

・既婚者向きの住宅に応募にも、

・引っ越し後の住宅賃貸料や光熱費等の減免申請にも、

・100分の1の男性の妻に対する大学内の食費減免申請も、 

婚姻届けや戸籍等の書類が必要なのだ!

 

 

  

優遇措置は分厚く、『免除がある・なし』で天と地の差なのだ。。。。

 

給付型奨学金だけで、私達(=ヨメンズとバカ(=孝))が受け取る金額は、なんと、年間150万円!

 

授業料免除も、私達(=ヨメンズとバカ(=孝))の場合、75%が減免される。つまり年間150万円超!!

 

つまり、給付型奨学金と授業料免除で、年間300万円超!!!

 

デカいだろ?

 

 


それだけでなく、住宅賃貸料や光熱費や大学内の食費の減免措置もある!

 

私達(=ヨメンズとバカ(=孝))の場合、授業料免除と同じで、75%が減免される。。。

 

つまり、I大学内で生活する限り、生活費は25%しか払わなくていいんだ。。。

 

 

 

それらを活用すれば、、、100分の1の男性と違って、妻は外出自由だから、、、ちょっとバイトすれば、生活が成り立つレベルなんだ。。。

 

 


私達(=ヨメンズとバカ(=孝))が、一夫多妻を受け入れたのは、

拍子法行為をはじめとするバカ(=孝)に対する精子提供義務の免除だけでなく、

この優遇措置を受けるためでもあるんだ。。。

 

だから、絶対、この優遇措置を受けなくてはならない。。。

 

 

 

そのためには、まず、戸籍や婚姻届などの役所での手続きを、大急ぎで行う必要があった。

 

I大学のある、CV市役所での手続きが必要があった。

 

役所の手続きが終わると、今度は授業料免除・給付型奨学金・住宅入居・光熱費を含む賃貸料免除・大学内での食費免除の申請を大学で行う必要がある。。。




もう、時間との勝負だった。。。

 

私達(ヨメンズとバカ(=孝))だけでなく、両親にも手伝ってもらった。。。

 

 

 

でも、バカ(=孝)が100分の1の男性で助かった。


というのも、100分の1の男性の不要な外出を避けるため、バカ(=孝)のパソコンから全てオンラインで、必要な書類を依頼可能になっていた。


バカ(=孝)自身の必要書類はオンラインで依頼すると、速達で翌日には郵送された。

 

ま、ヨメンズは実家の役所から一部書類を取得する必要があったので、ヨメンズの両親にも手伝ってもらった。。。

 

 

 

必要書類を集め、オンラインでCV市役所とつなげ、必要項目を確認した。


そして、申請書類を作成し、申請書類に問題ないかの事前確認を、バカのパソコンからCV市役所に依頼した。


CV市役所から、事前確認において、書類に問題ないことを返答を得た。

 

そして、1回だけ、バカ(=孝)の外出許可を得た上、ヨメンズとバカ(=孝)はCV市役所に必要書類を提出し、正式に結婚が認められた。

 

もちろん、パソコンからCV市役所には訪れる時間も予約済だった。

 



CV市役所から、ヨメンズの結婚を証明する書類を入手したら、授業料免除・給付型奨学金・住宅入居・光熱費を含む賃貸料免除・大学内での食費免除の申請を大学で行った。

 

なんとか3月15日に完了!

 



ヨメンズもバカ(=孝)も、

お義母さんズ(=私と優子と瀬名とバカ(=孝)のお母さん)も、

お義父さんズ(=私と優子と瀬名のお父さん)も、

皆さんご苦労様でした!!

 





【クラスメートへの報告】

でも、この過程で、いくつかヨメンズとバカ(=孝)で話し合ったことがあってね。。。

 

あ、話し合った場所は、いつも、私の下宿だった。。。

 

 

 

話を戻すと、何を話し合ったか?というと。。。

・夫婦別姓を選択するのか?

・同居するのか?

と言うことなんだ。。。

 

 

 

ああ、パンデミック後の世界では、夫婦別姓が選択可になっている。 

というのも、『一夫多妻を受け入れた女性に対する偏見』があるためなんだ。

同居する/しないも、この偏見による。

だから、その偏見を避けるため、夫婦別姓と別居を選択することも、珍しくない。

 

 

 

もちろん、ヨメンズはバカ(=孝)の姓に変更したいと思っている。

そして、同居もしたいと思っている。

 

 

 

すなわち、姓を変更するなら、在学中の方が良い。

CCクラスのクラスメートが私達を偏見の目で見ることはないだろう。

逆に、就職後に姓を変更すると、会社の同僚や上司に偏見の目で見られる可能性がある。

 

つまり、姓を変更したり、同居するとなると、クラスメートに結婚を報告しなければならなくなる。

 



え? 結婚の報告が何が問題かって?

 

 

 

バカ(=孝)が私だけでなく、優子や瀬名とも結婚したとなると、その理由をクラスメートに説明する必要があるだろ?

 

となると、バカ(=孝)の拍子法行為を明らかにする必要があり、そこから出自を辿られる恐れがあるためだ。


加えて、バカ(=孝)をはじめとして、100分の1の男性に対する新たな偏見も生じる恐れもあるからだ。

 





結婚の事実を伏せるべきか? それとも公にすべきか? で意見は割れた。

 

優子は当初、『結婚の事実を伏せる派』だった。

優子は私達にこう力説した。

 

「結婚の事実を明らかにすれば、

 拍子法行為を明らかにする必要があるから、

 結婚の事実は伏せるべきよ。

   

 ヨメンズは別姓を名乗り、同居も止めて、

 今まで通り、私と愛唯は下宿住まい、瀬名は実家から通ったら?」

  

  

  

一方、瀬名は『結婚の事実を明らかにすべき派』で、こう反論した。

 

「結婚の事実を伏せたところで、

 結婚によって、皆(=ヨメンズ、孝)の挙動が変わってしまうだろうから、

 訝るクラスメートが出てきて、結局、バレてしまうんじゃないかしら?」

  

  

  

確かに、特に、このバカ(=孝)は『天然バカ』なので、挙動が変わってしまって、そこからバレる可能性が高い。


さらに瀬名は続けた。

 

「それに卒業後に公にするの? 

 それとも卒業後も永遠に結婚の事実を伏せるの?

  

 もし、卒業後も結婚の事実を伏せるのなら、

 私達、ヨメンズは、『懸け橋』の役割(第77話)を担えないんじゃないかしら?」

 

 

 

そう、卒業後も結婚の事実を伏せるのなら、バカ(=孝)と世界を結ぶ『懸け橋』として役割を担うことは難しくなる。

 

なぜなら、卒業後は、クラスメートとの一切のかかわりを断ち切らない限り、卒業後も結婚の事実を伏せることは難しいからだ。。。

 

 

 

あ、『懸け橋』の役割については、瀬名へのプロポーズの時に、視聴覚室にて、私が優子と瀬名に話している。

 

当然、二人とも、『懸け橋』の役割については、快諾している。

 


     

話を戻す。瀬名から反論された優子も腕を組み考えた。。。

 

「そうね。。。

 『懸け橋』を担うのなら、結婚の事実は公にすべきね。

 でも、孝の拍子法行為については、伏せなくてはならないわ。

 難しいわね。。。」

  

  

  



バカ(=孝)が口を開いた。

 

「僕の名誉なんぞ、どうでもいいですが。。。

  

 僕が拍子法行為を対応したことが分かれば、寮の仲間に偏見が生まれます。

 だから、拍子法行為だけは伏せる必要があります。

      

 でも、結婚の事実は公にすべきと思います。  

     

 だから、結婚の事実は公にして、拍子法行為は伏せましょう。。。」

 

 

 

私はあきれて問う。

 

「そんなこと、可能だと思う?」

 

 

 

孝は苦笑いを浮かべ返す。

  

「僕が愛唯さんだけでなく、

 優子さんと瀬名さんとも結婚に至った理由については、 

 もっともらしい理由をつけて、ウソをつくしかないと思います。。。」

 

 

 

瀬名が賛意を示す。

 

「それしかないと思う。。。」

 

 

 

優子も賛意を示した。

 

「そうね。。。」

 

 

 



だが、私は問うた。

 

「じゃあ、『もっともらしい理由』って何?」

 

 

 

孝は腕を組み、困った顔で返す。。。

 

「うーん、

 一般に、真実とウソを混ぜてしまえば、バレるリスクは減ります。

  

 まず、

  『愛唯さんと僕は、当初、一夫一妻の結婚を模索した。』

 と、ここまでは真実です。

 

 つぎに、 

  『でも、一夫一妻は難しいことがわかった。』

 と、ここまでも真実です。」

 

 

 

私は返した。

  

「そうね。。。」

  

 

 

孝は続ける。

 

「だから、

 『一夫一妻が難しいことが分かった理由』にウソをつく必要があります。

  

 まず、

  『一夫一妻は一夫多妻と比べ、経済的に不利』

 というのは、周知の事実です。

 そこは伏せる必要はありません。  

  

 でも、

  『拍子法行為を避けるために一夫多妻を選んだ』

 ってのは、伏せる必要があります。 

 そこが難しいですね。。。」

  

 

 

私は思わず罵った。

  

「だから! そこが問題なんでしょ! このバカ!!」

  

 

 

孝は困った顔で返す。

 

「すみません。

 そこは、

  『何か、愛唯さんと僕に問題があり、

   結婚生活を続けることが難しいと判断した』

 って、ウソをつくしかないです。。。」

  

  

  

私は問うた。


「『何か』って?」

  

  

  

優子が答えた。

  

「そんなもん。

 『愛唯と孝が【ポンコツカップル】だから(第38話)』しかないわ。

  

 しかも、特別合宿で、愛唯と孝が家事がまるでダメなことは、

 クラスメート全員知っているし(第75話)。。。

 

 よって、 

  『愛唯と孝は家事がまるでダメで、

   結婚生活を続けるのが難しいと判断し、私と瀬名に泣きついた。』

 って、ウソをつこう。。。」

 

 

 

私は思わず抗議した。


「えー! ヒドイ!!」

  

 

 

だが、優子がジロリと睨み制した。

 

「他に良い言い訳でも?」

 

 

 

そう言われると、私も思いつかない。。。渋々受け入れることにした。。。

 

「わかったわよ。。。」

  

  

 

 

 

瀬名も同意したが、懸念も示した。

 

「私も、優子さんのアイデア以外、良い言い訳はないと思う。。。

 でも、全員納得するかしら? 一部は疑うんじゃない?」

 

 

 

優子も腕を組みながらこぼす。。。

 

「そうなんだよね~。。。」

 

 

 

バカ(=孝)が問うた。


「愛唯さん、優子さんと瀬名さん以外に、

 僕が拍子法行為を行ったって知っているのは、

 『誰』ですか?」




私は戸惑いながら答えた。


「え? 里子だけど(第73話)。。。」

  

  

  

バカ(=孝)は笑顔で語った。

 

「じゃあ、ちょうどよかった。里子さんを呼びましょう。

 そして、里子さんだけは、本当の理由を話しましょう。」




ヨメンズは3人とも、とまどい、同時に「「「え?」」」とつぶやいた。

 

バカ(=孝)は自分のスマホを取り出し、里子に電話を掛け、私の下宿に来るように伝えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

約10分後、里子が私の下宿にやってきた。

 

里子はコタツに座ると、口を開いた。

  

「で、用って何?」

 

 

 

ヨメンズとバカ(=孝)は、里子に結婚することを伝えた。

 

そして、なぜ、一夫多妻を選んだかも、包み隠さず。。。

 

 

 

里子は戸惑いながら、祝意を述べた。

 

「そ、そうか。。。まずはおめでとう。。。」

 

 

 

次にバカ(=孝)は里子に語った。

 

「ですが、僕が拍子法行為を行ったことを隠すため、

 本当の理由は隠そうと思います。

    

 公式には、 

  『愛唯さんと僕は、当初、一夫一妻の結婚を模索した。


   でも、一夫一妻は難しいことがわかった。  

   まず、一夫一妻は一夫多妻と比べ、経済的に不利だから。

   そして、愛唯さんと僕が【ポンコツカップル】だから。

  

   よって、結婚生活を続けるのが難しいと判断し、

   優子さんと瀬名さんに泣きついた。』

 ってことにします。」

 

 

 

里子はなおも戸惑う。

 

「うん。。。なんか最後が強引だが、わかった。。。」

  

 

 

孝はうなずき続ける。

  

「そう、『強引』なので、不審を抱くクラスメートは何人か出ると思います。」

 

 

 

確かに。。。私だけでなく、優子も、瀬名もうなずいた。当然、里子もうなずいた。

 

 

 

孝は里子に依頼した。

 

「そこで、里子さん。お願いがあります。

  

 もし、不審を抱いて、里子さんに相談する女子クラスメートがいたら、

 『他言無用』を徹底した上で、

 『個人的に、その子達に、本当の理由を教えてやってほしい』のです。

  

 僕達(=愛唯、優子、瀬名、孝)は、

 本当の理由を教えるわけにはいきませんから。。。

  

 里子さんの方から、うまく伝えてもらえませんでしょうか?

 ご無理を言ってすみません。。。」

 



そういうと、孝は里子に頭を下げた。

 

ヨメンズも頭を下げた。

 

 

 

 

 

里子はしばらく腕を組んで黙っていた。

 

 


数分の沈黙の後、里子は口を開いた。

 

「わかった。。。任せといて。。。

  

 もし、あんた達の結婚を不審を抱いて、

 私に相談してくる子がいたら、本当の理由を伝える。


 もちろん、『他言無用』を徹底させる。。。」

 

 

 

私は里子に礼を言った。

 

「里子、ありがとう。」

 

  

 








翌日、課室にて、私達(=愛唯、優子、瀬名、孝)は、結婚したことをクラスメートに告げた。

 

結婚の理由は、孝の言う、『公式の理由』を告げた。

 

不審を抱くクラスメートは数人いたが、私達(=愛唯、優子、瀬名、孝)は『公式の理由』しか、述べなかった。

 

 

 

 


後日、里子によると、バカ(=孝)の予想通り、私達(=愛唯、優子、瀬名、孝)の結婚の理由について、里子に相談したクラスメートが数人いたそうだ。

 

里子は、相談に来たクラスメートを、1人ずつ、誰もいない部屋に連れて行き、本当の理由を告げた。

 

もちろん『他言無用』を約束させた上でだ。

 

 

 

里子は後にこう語る。

 

「本当の理由を知った何人かのクラスメートは、ショックを受けてね。。。

 一部、涙を流していたよ。。。

 もちろん、全員、『他言無用』を約束してくれた。」


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