第80話 後戻りできない重大な決断(その2) ー3人目ー
(前話からの続き)
バカ(=孝)は一夫多妻を受け入れ、私と優子と結婚することを決めた。
私の下宿で、私はコタツを優子とバカ(=孝)と囲んでいた。
しかし、どうせ、一夫多妻を受け入れるのなら、、、私は腕を組みながら、つぶやいた。
「うーん、少なくとも、あと一人、結婚相手が欲しいわね。。。」
私のつぶやきは聞こえたらしく、バカ(=孝)は、驚き、あきれる。
「え? まだ結婚しなければいけないんですか?」
私は答えた。
「あ? 聞こえた?
ほら、私達(=愛唯、優子、孝)は、まだ大学3年生で、いま2月末でしょ?
常識的に言って、就職して2年間は妊娠出産は避けた方が良いと思うわけ。。。
となると、今後3年くらいは妊娠出産はできないわ。。。」
優子がうなずく。
「そうね。。。
孝の結婚相手が、私(=優子)と愛唯だけでは、
2年間しか、拍子法行為を含め、精子提供義務が免除されない。
つまり、どうしても、残り1年間の空白期間が生まれてしまう。。。」
私も両腕を組みながら、うなずく。
「そう、だから、少なくとも、あと一人、結婚相手が欲しいのよ。。。」
そう、結婚相手が3人いれば、卒業までの1年余りと、就職してからの2年間は、バカ(=孝)は拍子法行為を含め、精子提供義務が免除される。
就職して3年目以降は、結婚相手が順番に妊娠出産すれば、働いて家計を支える意味でも、育児の面でも望ましい。
ただし、最低条件として、結婚相手同士に固い信頼関係がないと成立しない。
その点については、バカ(=孝)が懸念を言った。
「いや、あまり結婚相手を増やしてしまうと、
僕(=孝)がバランスを取るのが難しくなります。。。
結婚生活の破綻リスクが増してしまうので、避けてほしいのですが。。。」
そう、バカ(=孝)の言うとおりだ。あまり、結婚相手を増やしても、破綻リスクが増すだけだ。
私はバカ(=孝)に向かってうなずいた。
「そうね。とりあえず、結婚相手は3人にしましょう。」
優子も頷く。
「それが良いと思う。」
バカ(=孝)が疑問を呈した。
「でも、3人目って、、、誰かアテがあるんですか?」
そう、3人目の結婚相手は、
『私(=愛唯)と優子と信頼関係を築いている女性』だ。
そして、
『孝に好意を寄せている女性』だ。
その2つを満たす女性でなければならない。。。
そんな女性は、、、1人しかいない!
私は叫んだ。
「そんなもん、決まっているわよ!」
優子も誰が最適なのか、すぐにわかった。
「そうね。彼女しかいないわ。」
だが、バカ(=孝)はわからなかった。
バカ(=孝)は戸惑い、「え?」とつぶやいた。
翌日の朝、私、優子、バカ(=孝)は、図書館の視聴覚室に行き、もう一人の結婚相手の候補を呼んだ。
その候補の女性が視聴覚室に入ってきた。そして尋ねた。
「愛唯さん、何でしょう。用って?」
私は答えた。
「単刀直入に言うわ。 私達と結婚しない? 『瀬名』。」
そう、もう一人の結婚相手の候補は『瀬名』だ。
瀬名は戸惑い、「え?」とつぶやいた。
私はバカ(=孝)から、拍子法行為から守るため、孝には3人の女性と結婚させることを話した。そして、その3人の女性は、私と優子、そして3人目に瀬名になってほしいと告げた。
瀬名は戸惑う。
「孝さんが3人の女性と結婚しなくてはならない理由はわかりました。
でも、どうして、、、私なんですか?」
私は答えた。
「これからの結婚生活の破綻を防ぐためには、少なくとも私と優子と孝の3人に、
信頼関係を築いている女性である必要があるの。。。
それは、瀬名、あなたよ。」
瀬名はまだ戸惑っている。
「でも、私と同じように、信頼関係を築いているのは、他にもおられるのでは?
たとえば、里子さんがいるじゃないですか?」
私はうなずき、再度答えた。
「そうね。。。
正直に言うと、選択肢は、あなたか、里子の2択だった。。。
でも、里子は、
孝を男性としてではなく、聡君(=里子の元恋人)の友人として見ているわ。。。
里子と孝が結婚すると、里子はいつまでも聡君から卒業できないわ。。。」
私は、里子でなく、瀬名を選んだ最大の理由を述べた。
「あなたは、孝を1人の男性として見ている。。。
だって、あなた、孝のことが好きでしょ?
1年生の頃から。。。」
瀬名は驚いた。
「愛唯さん、気付いていたんですか?」
私は黙って頷いた。
優子はあきれて語った。
「というか、、、割とわかりやすいと思うけど。。。」
バカ(=孝)は驚く。
「そうなんですか? 全然気が付かなかった。。。」
私はあきれて、バカ(=孝)を罵った。
「だから、あんたはバカなのよ!
もっと周りをちゃんと見なさい!!」
バカ(=孝)は戸惑いながら、「はい。。。」と答えた。
私はバカ(=孝)を肘でつついた。
「ほら、瀬名にプロポーズしなさい。」
バカ(=孝)は瀬名にプロポーズした。
「瀬名さん。今まで気付かずごめんなさい。
あなたは、僕が1年生の頃から、親しく接してくれました。
パンデミックの前は、女子クラスメートの中で、一番親しい女の子でした。
あなたのことは、信頼しています。
どうか、僕と結婚してください。。。」
瀬名はうれしかったのだろう。
彼女は目から一筋の涙を流し、微笑み、プロポーズを受け入れた。
「はい。」
一方、孝の瀬名へのプロポーズを見ていた優子は、浮かぬ顔をして、拍手をしながら、語った。
「うーん、なんで、孝のプロポーズって、こうも心に響かないのかね~。。。」
(第79話)
私も拍手をしていたが、優子の意見に頷く。
「だろ? 私なんて、1回やりなおしたし。。。」
(第68話、第77話)
瀬名は私と優子に顔を向けて、あきれた表情で語る。
「愛唯さん、優子さん、なんてこと言っているんですか?」
瀬名はバカ(=孝)に振り向き、笑顔で語る。
「孝さん、
あんなこと言っている2人(=愛唯と優子)との結婚なんてやめて、
『私(=瀬名)とだけ結婚しませんか?』」
私と優子は慌てて同時に叫んだ。
「「それはダメ!」」
こうして、私(=愛唯)と優子と瀬名とバカ(=孝)は結婚することになったのでした。
そして、『正式に結婚へと進む』ことになりました。
(次話に続く)
第19話の本文にて、
この後、徐々に、100分の1の男性の過酷な運命の渦の中に、
恋人として私も巻き込まれ、『私の人生は大きく変わっていく』。。。
と記載しました。
今話にて、主人公の愛唯は孝と正式に結婚することになりました。
でもそれは、100分の1の男性の過酷な運命の渦の中心に、愛唯が入ることを意味します。
そう、これからは愛唯の苦しみが本格化することを意味するのです。
そして、それは一夫多妻の妻となる優子と瀬名も苦しみの渦に入ること意味します。
いずれ、その苦しみも触れるつもりです。