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第66話 共通テストで缶詰(その1) ー出られないー

成人式(第63話、第64話)の翌日、私はパソコンの背景画像や成人式の水彩画で優子とじゃれ合っていた(第65話)。

そんなとき、課室に撫山教授がやってきた。

 

撫山教授は課室に入ると、課室にいた生徒に語り掛けた。

 

「知っての通り、今週末に共通テストが行われる。

  

 共通テストの前日の金曜日の朝8時から、

 共通テストが終わった次の日の月曜日の朝10時まで、

 女子生徒は本学には立ち入り禁止となる。

 

 気を付けるようにな。」

 

 

 

そう、大学受験の季節がI大にも訪れたのだ。

 

 

 

撫山教授はバカ(=孝)に顔を向けて問うた。

 

「孝君、共通テストの期間はどうするんだ?」

 

 

 

バカ(=孝)は憂鬱そうに答えた。

 

「妹が受験ですし、そもそも実家には2人しかいません。

 ですから、実家に帰るわけにはいきません。。。」

 

 

 

撫山教授はため息をついた。そしてバカ(=孝)に語った。

 

「仕方がないな。寮から一歩も外に出ないように。」

 

 

 

バカ(=孝)もため息をついて、「はい」と答えた。

 

 

 

 

 

そのやり取りを見て、私は恐る恐るバカ(=孝)に問うた。

 

「孝、大学受験の時は、(I大の)100分の1の男性はどうしているの?」

 

 

 

孝は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「実家に帰るか、寮で過ごすしかないですね。。。」

 

 

 

撫山教授も苦笑いを浮かべて繋げた。

 

「寮で過ごすと言っても、『寮から一歩も出られない』がな。。。」

 

 

 

課室にいたCCコース3年の女子学生は、撫山教授の言葉に私を含め全員驚いた。

 

私は思わず問うた。

 

「なぜ?」

 

 

 

撫山教授は表情を戻して答えた。

 

「知っての通り、通常、大学は学生や教職員や一部業者しか立ち入りができない。

 

 それ以外の方で立ち入りが必要な場合は、

 その都度、臨時立ち入り証を配布している。」

 

 

 

私は頷いた。

 

「ええ。。。」

 

 

 

撫山教授は続けた。

 

「しかし、入試となると、、、

  

 多くの受験生や、送迎に来た多くの家族の方に対して、

 大学の立ち入りを認めなくてはならなくなる。

 

 そんなに多くの人に臨時立ち入り証を配布できない。

 

 たとえ、配布できたとしても、

 セキュリティゲートの守衛さん達が処理しきれない。」

 

 

 

撫山教授はさらに続けた。

 

「だから、入試の際は、一般の出入りを自由にせざるを得ない。

 

 でも、そうすると、学内に残る100分の1の男性の安全を確保できない。

 

 受験生やその家族のふりをした犯罪組織が学内に入り込み、

 100分の1の男性を誘拐・拉致を行うかもしれないからな。

 

 だから、仕方がないから、

  『100分の1の男性は寮にとどまり、寮の出入口を守衛で固めるしかない』

 のさ。」

 

 

 

私は戸惑いながら問うた。

 

「つまり、寮の出入口を守衛で固めている間、

 (I大の)100分の1の男性は寮から一歩も出られないと?」

 

 

 

撫山教授とバカ(=孝)は無言で頷いた。

 

 

 

瀬名も戸惑いながら問うた。

 

「金曜日の朝8時から月曜日の朝10時まで、

 (I大の100分の1の男性は)寮から一歩も出られないんですか?」

 

 

 

孝は手を振って答えた。

 

「正確には1日中ではなく、朝7時から夜8時まで寮から一歩も出られません。

 

 朝7時まで、あるいは夜8時以降は寮からは出られますが、

 学外には出ることができません。

 

 そして学内でも受験会場等、立ち入り不可の場所がありますが。。。」

 

 

 

撫山教授が話をつないだ。

 

「金曜日は朝8時から夜6時まで、

 土曜日と日曜日は朝8時から夜8時半まで、

 セキュリティゲートをオープンにして、一般の出入りを自由にする。

 

 だから、朝はその1時間前の朝7時から、

 夕方は2時間後、金曜は夜8時まで、土曜日と日曜日は夜10時半まで、

 男子学生は寮から一歩も出られなくなる。」

 

 

 

優子も戸惑いながら問うた。

 

「なぜ朝は1時間前で、夕方は2時間後なんですか?」

 

 

 

撫山教授は答えた。

 

「そりゃ、朝は実家に帰らなかった100分の1の男性が、

 全員揃っているのを確認して、

 セキュリティゲートをオープンすればよいだけじゃないか。

 

 でも、夕方はセキュリティゲートをクローズして、

 学内に女子の受験生あるいは家族が残っていないか、

 守衛さん達が、建物一つ一つ回って確認しなきゃならん。

 

 その確認の時間が2時間という訳さ。」

 

 

 

優子は戸惑いながらさらに問うた。

 

「じゃあ、なぜ、

 (I大の100分の1の男性は)夜10時半以降から翌朝6時までは寮から出られても、

 学外に出てはならないのですか?」

 

 

 

撫山教授は苦笑いを浮かべて答える。

 

「入試期間中は守衛さん達の負担が大変重いからだ。

  

 とても100分の1の男性の外出まで手が回らないそうだ。

 

 ま、そもそも女子学生の立ち入りを禁止しているから、

 (I大の100分の1の男性には)付き添いがいないだろ?」

 

 

 

優子は「そうか」と呟いた。

 

 

 

里子はなお戸惑いながら問うた。

 

「試験当日の土日だけでなく、

 なぜ、金曜日と月曜日の朝10時まで寮から出られないのですか?」

 

 

 

撫山教授は答えた。

 

「正確には、月曜の午前は寮から出られるが、学外には出ることができない。」

 

 

 

撫山教授は続けた。

 

「金曜日は午前7時から午後8時まで寮から一歩も出られない。

  

 なぜなら、ほら!

 試験前日の金曜日には、女子の受験生の試験会場の下見があるだろ?」

 



里子は「あ!」っとつぶやいた。




撫山教授は話を続けた。

 

「そう前日の午前8時から夕方6時まで、セキュリティゲートをオープンにして、

 女子の受験生の下見をうけいれなくちゃいけないからさ。」

 

 

 

撫山教授はさらに続けた。

 

「しかも、I大は小さいながらも国立大学なので、

 男子受験生の共通テスト会場の一つを担っている。

 

 だから、金曜日の夜8時以降、男子の受験生数十名が

 数台のマイクロバスでロータリーまで分散してやってくるんだ。

 

 守衛さん達の誘導の下、ロータリーから大学が準備した宿泊施設に案内して、

 その夜から月曜の朝まで宿泊するんだ。

 

 試験本番では、その宿泊施設と試験会場の間を、

 守衛さん達の誘導のもと、往復するんだ。」

 

 

 

撫山教授はさらに続けた。

 

「男子受験生の宿泊先および試験会場の出入り口には守衛が立つ。 

 担当教職員以外は近づくことすらできない」

 

 

 

撫山教授はさらに続けた。

 

「日曜の夕方、共通テストが終わっても、

 男子の受験生達はその日は大学の施設で宿泊するんだ。

 

 そして翌朝、

 つまり月曜日の午前10時までにマイクロバスで帰るんだ。」

 

 

 

私は戸惑いながら問うた。

 

「つまり、、、

 男子の受験生は金曜日の夜から月曜の朝まで、

 3泊4日、大学の施設で宿泊し、共通テストを受けるのですか?」

 

 

 

撫山教授は黙って頷いた。

 

 

 

 

 

つまり、センターテストが開かれる前日の金曜日の朝8時から、翌日の月曜日の朝10時まで、I大は厳重警戒体制となるのだ。

 

その厳重警戒態勢を敷く、守衛さん達の負担は極めて重い。

 

バカ(=孝)を始め、I大の男子学生は、日中は寮から一歩も出られず、学外へ外出できないのは仕方がないのだ。

 

だが、私を始め課室にいた、CCコース3年生の女子学生は全員唖然とした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらく後、私は気を取り直すと、バカ(=孝)に語り掛けた。

 

「孝~。

 

 金曜日の朝から月曜日の正午まで学外を出ることができなくって、

 金・土・日の日中は寮から一歩も出られないならさ~。

 

 実家に帰ったら?」

 

 

 

だが、バカ(=孝)は苦笑いを浮かべ、顔を横に振って答えた。

 

「愛唯さん、ダメですよ。。。

 ほら、愛唯さんと一緒に実家に帰った時、

 大変なことになったでしょ(第34話)?」




私は思わず、「あ!」とつぶやいた。

 

そうだった、バカ(=孝)がうっかり実家にいようものなら、『あまり親しくもなかった小学校時代の女子クラスメート』なり、『近所の人』が娘を連れて、押し寄せてきた

 

そう、実家はもうバカ(=孝)にとって、『安らぎの場ではない』のだ。

 

 

 

バカ(=孝)は続ける。

 

「しかも、妹が受験生で、入試本番ってときに、

 実家を騒がすわけにはいきません。」




私は下を向き、「そうだった。。。」とつぶやいた。

 

年末年始でも孝のお母さんから、孝の妹さんが受験で気を遣っているから、バカ(=孝)を連れて、バカ(=孝)の実家に来るなと念押しされていたし(第61話)。。。

 

 

 

 

 

 

だが、それでも寮から一歩も外に出ることができないバカ(=孝)はかわいそうだ。


だから、私は一つのアイデアをバカ(=孝)に行った。


「それじゃあさ、、、」

 

 

 

(次話に続く)


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