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第65話 3年ぶりの成人式(その4) ー大量のお見合い写真ー

愛唯(メイ)です。今回は成人式後のこぼれ話をしたいと思います。



【成人式後のこぼれ話 その1】

さて、成人式の次の日、私は使っているノートパソコンの背景画像を、写真スタジオで撮影した画像(第64話)に変更した。

 

当然、私のパソコンの背景画像は、私の振り袖姿とバカ(=孝)の背広姿を、スタジオで撮った写真である。実は、バカ(=孝)のパソコンの背景画像も同じである。

  

しかし、、、優子のパソコンの画面を見て、私は叫んだ。


「優子!

 なんで、あんたのパソコンの背景画像が、あんたと孝の写真なのよ!」

  

  

  

優子は申し訳なさそうに話す。


「だってさー。

 私一人が映っている写真だと、なんだか寂しくって。。。」




私は優子を罵った。

  

「知らないわよ! その画像替えなさいよ!」




優子は顔を横に振り、答えた。

  

「イヤだ。しばらくこのままにしたい。。。」

  

  

  

私は優子のパソコンに手を伸ばして叫ぶ。


「えーい! 私が替えるわよ!!」

  

  

  

優子はパソコンを私から遠ざけ、抵抗する。


「ダメー!」

 

 

 

その様子を、他の女子クラスメートがあきれて眺めていた。。。

 

ま、結局、優子のパソコンの背景画像は、私と優子と孝が映っている写真に替えてもらったけど。。。

 

 




【成人式後のこぼれ話 その2】

成人式の1週間後くらいだったと思う。


バカ(=孝)が困った顔して、2つの段ボール箱を抱えて、課室にやってきた。


バカ(=孝)は困った顔のまま、私に問うた。


「愛唯さん、、、これ、どうしましょう?」

 

 

 

バカ(=孝)は1つの段ボール箱、これはバカ(=孝)の実家あての小包だったのだが、これを開けると、大量の女性の振り袖姿の写真が、お見合い写真として、入っていた。。。


バカ(=孝)は困った顔のまま、私に語った。


「先日の成人式で、多くの女の子が撮影したお見合い写真が、 

 僕の実家に大量に郵送されてきて、困ってるんです。。。 

  

 母はもう怒っちゃって、

  『あんたで何とかしなさい! このバカ!!』

 と言って、実家に送付されて来た、この大量のお見合い写真を、

 宅急便で送ってきました。。。」

 

 


私はあきれて、返した。


「そんなもん。。。

 『まだ結婚の意思がない』とか『自分にはもったいないお相手』とか言って、

 送り返せばいいでしょ。。。」

  

  


バカ(=孝)はため息をついて、続けた。


「そうなんですけど。。。 

 もう一つ、これ、どうしましょう?」

      




と言って、もう一つの段ボール箱を開けた。

  

これは寮にいるバカ(=孝)に直接郵送されたもので、やっぱり、中身は大量のお見合い写真だったのだが、その写真を一目見て、私はCCクラスの女子クラスメートに向かって叫んだ。

 

「皆! なんで、バカ(=孝)に、お見合い写真を送っているのよ!!」

  

  

  

そう、寮にいるバカ(=孝)に、直接、お見合い写真を送っていたのは、CCコースの女子クラスメートだったのだ。。。


ま、3年生だけでなく、下級生もいたし、他の学科の女の子もいたが。。。

  



優子が私をなだめた。


「だってさー、親が、

  『1人でも多く、100分の1の男性に、お見合い写真を送れ』

 ってうるさくって。。。」

  

  

  

瀬名が続いた。


「そう、仕方がなかったのよ。。。

 

 ほら、40歳未満の男性が100分の1になっちゃったから、

 親は私達が結婚できるのか心配らしくって、、、

      

  『ともかく、手あたり次第、お見合い写真を送れ』

 って、もう、うるさくって。。。」

  

  

  

里子も続いた。


「私も同じ。。。

 

 私の親なんか、

  『100分の1に男性が減ったから、100人の男性にお見合い写真を送れ』

 って、うるさくって。。。うるさくって。。。

      

 皆同じだと思うよ。。。」

 

     

と、里子は他の女子クラスメートに顔を向ける。




他の女子クラスメートも頷いていた。

 



私はあきれて話す。


「だからと言って、皆、、、

 私とバカ(=孝)が付き合っているって知ってるでしょ?」

  

  

  

優子が答える。


「まあ、別に、皆、あんたから、孝を奪おうとしているわけじゃないんだ。

 

 でもさー、他にお見合い写真を送るアテもないんだよねー。


 例えばさー、愛唯、小学校から大学までの同級生で、

 100分の1の男性って、孝以外に何人思い当たる?」




私は思案顔で答えた。

 

「そういえば、、、ほとんどいないわね。。。」




そう、バカ(=孝)を除けば、あまり親しくなかった小学校の頃の同級生が1人、中学校の頃の同級生が1人と、合計2人が生き残ったと、母から聞いただけだ。。。

  



瀬名が語る。


「そう。仕方がなかったの。。。

 

 友人とかいろんなネットワークから、

 どんな人が100分の1の男性として生き残っているのか調べて、  

 友人の友人とか、ほとんどつながりがなくても、

 孝さんと愛唯さんのように、恋人がいることを知っていても、

 片っ端から、お見合い写真を送るしかなかったの。。。」

       

       

  

瀬名は続ける。

     

「私だけじゃなくって、両親も同じことやっていて、

 片っ端から、お見合い写真を送ったみたい。。。」

 

 

 

里子が続く。


「そして、寮にいる100分の1の男性の名前を調べてね。。。

 寮にいる100分の1の男性全員にお見合い写真を送った。。。

 あ、浩司は別だけど(第64話)。。。」

 

 

 



バカ(=孝)があきれて、愚痴をこぼした。


「それで、僕以外の100分の1の男性にも、

 大量のお見合い写真が送られてきたのか。。。」




私は戸惑い、「そうなの?」と問うた。



バカ(=孝)はうなずき、困った顔で、私に問うた。

  

「うん。。。

 寮にいる仲間は、皆困ってます。。。

 愛唯さん、どうしましょう?」

  



私は投げやりな態度で返した。


「知らないわよ! このバカ(=孝)!!

 送り返すしかないんじゃないの!!!」

  

  

  

私はCCクラスの女子クラスメートにも語った。


「皆も、せめて、自分のお見合い写真、引き取ってよ!」

  

  

  

里子は困った顔で返す。


「勘弁してよ。。。

 お見合い写真を引き取ってきたら、親から怒られちまう。。。」

 


仕方なく、私はバカ(=孝)に語った。

 

「えーい! バカ(=孝)、全部送り返しなさい!」

  

  

  

バカ(=孝)は益々困った表情で語る。


「そうなんですけど。。。

 たぶん、送り返しても、また送ってくると思うんですよね。。。」

  

  

  

私は、あきれて返す。


「だから。。。送り返すほかないでしょ!」

 

 




私とバカ(=孝)以外の、女子クラスメートは、課室の一角に集まり、笑いをこらえながら、小声で話していた。


優子は笑いをこらえながら、小声で話しかけた。


「あの2人(=愛唯と孝)、、、困っている。。。困っている。。。」




瀬名も笑いをこらえながら、小声で話した。


「日頃は見せつけられていますから、たまには、イジメてあげませんと。。。」




里子も笑いをこらえながら、小声で話した。


「たまには良いよねー。。。」

 



私はなにげなく、その一角の中に交じっていた。そして、語った。


「聞こえたわよ~。」

 

 

 

優子は慌てる


「あ、愛唯、、、なんでそこに。。。」

  

  

  

私はブチ切れて、一角から離れ、バカ(=孝)に近づく。


「よっし! バカ(=孝)。

 もう二度とお見合い写真を送ろうなどと思わせないように、

 送られたお見合い写真を破った上で、送り返すんだ!」




バカ(=孝)は慌てて制した。

     

「えー! ちょっと、それは非礼すぎます!」




私はそれに構わず、バカ(=孝)を罵った。

  

「やかましい!


 『まだ結婚の意思がない』とか、『自分にはもったいないお相手』と言って、

 引き下がらないならしょうがねーだろ!

      

 お前(=孝)がやらないなら、私が破るわよ!」

      

      

      

と言って、私はお見合い写真を手に取り、破ろうとした!

 

その様子を見た、優子が慌てて、女子クラスメートに向かって叫んだ!


「ダメ! 愛唯がキレたわよ! 皆! 愛唯を抑えて!」




里子も慌てて、女子クラスメートに向かって叫んだ!


「私たちの振り袖姿の写真を守るのよ!」

 

 

 

CCコース女子クラスメート全員が私を抑えた!

私は抑えられながら、叫んだ!


「放せー!」

  





結局、課室をのぞいていた撫山教授が、あきれてこう言った。


「粘り強く送り返して、あきらめてもらうしかなかろう。」

 


ということで、『まだ結婚の意思がない』と一文を添え、お見合い写真はすべて送り返すことにした。




でも、段ボール2箱分で大量にあり、


「引き取らなきゃ、郵送費と手間賃を徴収したらどうだ?」

 


という、撫山教授の声に、渋々、CCコースの女子クラスメートには、自身のお見合い写真を引き取ってもらった。

 



ただ、それでも、まだ大量にお見合い写真があったので、


「孝君が、お見合いを断り切れなくなったら、困るだろ?」

 


という、撫山教授の声に、私も渋々、送り返す作業を手伝うことにした。




バカ(=孝)が


「100分の1の男性1人1人がバラバラに対応していると非効率ですね。」

 


とのことで、I大学の寮にいる100分の1の男性に送られたお見合い写真全部を、100分の1の男性と、その恋人達の総出で送り返すことにした。

 

その数、段ボール箱、20箱以上!



 

まず、大量の封筒を準備した。


次に、「まだ結婚の意思がない」の一文のテンプレートを準備し、そのテンプレートに、100分の1の男性の名前と、お見合い写真を送付してきた方の名前を追記して、プリンタで片っ端から印刷した。


大量に送られてきたお見合い写真と、印刷したお断りの一文を、その封筒に入れた。


さらに、宛名のシールも準備した。と言うのも1人で、里子のように、I大学の100分の1の男性全員に送付した子もいたのでね。



 

なんとか、全てのお見合い写真を送り返す準備は整ったのだが、郵便局に持ち込むために、100分の1の男性が外出するのも安全上問題とのことで、郵便局員さんにI大学の寮に来てもらって、引き取ってもらった。

 

一方、段ボール20箱以上のお見合い写真の郵送費(封筒代やお断りの一文の紙代を含む)は、外出制限でバイトができない100分の1の男性にとって、小さくない負担となった。


そのため、私とバカ(=孝)の外出デートも、数日、中止となってしまった。 

 

もう、勘弁してよ~!




郵便局員さんが、送り返した封筒が入った段ボール20箱以上を、赤い軽トラに積んで帰っていったとき、私をはじめ、100分の1の男性と、その恋人達はヘトヘトになりながら、その軽トラを眺めていた。


だが、それにバカ(=孝)が、さらに追い打ちをかけた。


バカ(=孝)は、恐る恐る、私に問うた。


「愛唯さん、来年の成人式の後も、こうなるんでしょうか?」

 



私は、面倒くさそうに、答えた。


「・・・そうなるわね。。。」

 

 

 

来年の成人式のことを考えると、余計ヘトヘトになった私でした。。。はい。。。




ま、今年は3年まとめて成人式を行ったので、来年は3分の1の量になるとは思うけど。。。


それでも、送り返す方としては、大変なんだよ!!!

 

 




【成人式後のこぼれ話 その3】

時を巻き戻して、成人式の翌日、バカ(=孝)は、成人式の水彩画(51話)のカラーコピーを2部持って、課室にやってきた。


私と優子に、カラーコピー1分ずつを手渡した。

  

私はカラーコピーを広げる。うん、写真もいいけど、振り袖姿の水彩画も味があって良い。。。


優子もカラーコピーを広げて喜んでいる。


 

 

瀬名や里子をはじめとして、他のCCコースの女子クラスメートも水彩画のカラーコピーを見て、羨ましそうだ。


まず、瀬名が里子につぶやいた。


「いいなー。私もこっち(=大学での成人式)行けばよかった。。。」

  



里子もうなずき、つぶやいた。


「そうね。。。」

 

 

 

私はバカ(=孝)に笑顔で語った。


「ありがとう! これ記念に私の部屋に飾っておく。。。」




優子も笑顔で語った。


「わたしも。。。」

 

 


そうしたら、その日の夕方、バカ(=孝)は、私の部屋を訪ねてきて、オリジナルと交換した。


バカ(=孝)は笑顔で私に語り掛けた。


「飾るのなら、愛唯さんの部屋にオリジナルを飾った方が良いですよ。

 だって。。。」

 


と理由を説明した。

 



私は「そうか」と納得し、次の日、1人でショッピングモールやデパートを回って、額縁を購入し、オリジナルを額縁に入れて、私の下宿に飾った。




優子は毎日、私の部屋に遊びに来るのでね。早速、額縁を見つけた。


優子は私に問うた。


「ねえ、愛唯。この額縁の水彩画、成人式の時のオリジナルじゃない?」




私は笑顔でうなずいた。


「ええ。 そうよ。。。」

  

  

  

優子は不服そうだ。


「取り替えてもらったの? ズルーい。。。」

  

  

  

私が宥める。


「違うの。。。


 孝がね。。。

  『ここ(=愛唯の下宿)なら、私だけでなく、優子や孝も見れるから、

   飾るのなら、ここが最適でしょ?』

 って。。。」

       

       

       

優子は額縁の水彩画を懐かしそうに見つめ、語った。


「そうか。。。ここなら、いつでも見れるもんね。。。」

 

 

 

実は、この額縁に入った成人式の時の水彩画は、成人式から何年も経過した今も、私の家に飾られている。。。


私も、優子も、バカ(=孝)も、時折、この額縁の絵を見て、微笑み、懐かしんでいる。。。











え? 


『なぜ、私の家に飾ってある成人式の水彩画が、

 成人式から何年も経過した後でも、

 私だけでなく、優子やバカ(=孝)が見ることができるのか?』って。。。


がはは。。。


それについてはいずれ。。。






























今、振り返った時、私がバカ(=孝)に告白してから成人式までが(第19話から第65話)、私にとって一番幸せな時期だったな~。

 

もちろん、バカ(=孝)は100分の1の男性で、それに伴う外出制限には閉口し、デートにも苦労した。。。

 

でも、それを工夫して克服してゆくことは面白かった。。。


時に、『悪事』として騒動を引き起こしたり、いろんな人を巻き込んだりしたけど、バカ(=孝)と一緒に、いろんなことを突破してゆくことに、興奮を覚えた。。。

 

そう、今、振り返れば、私がバカ(=孝)に告白してから成人式までは、私とバカ(=孝)は、『男女の枠』を超えて、『強い絆を構築した時期』だった。。。

 

 

 

まもなく、私とバカ(=孝)には、『最大の試練』が訪れる。。。


それをきっかけに、私とバカ(=孝)は、『後戻りできない重大な決断』をすることになる。。。

 

その決断の結果、、、この一番幸せだった時期は、、、終わりを迎える。。。




その決断が間違っていたとは思わない。。。でも。。。でも。。。

 

今でも、、、バカ(=孝)と二人きりのとき、、、いつもではないのだけど、、、私はバカ(=孝)の胸の中で「あの時に戻りたい」って泣いてしまう。。。

 

そう、叶うのなら、、、この一番幸せだった時期に戻りたいんだ。。。


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