第43話 プールデート
愛唯です。
購買に対する『ハイパーモグラたたき』の騒動(第41話)も収まり、今は7月後半となりました。
それにしても、、、梅雨が明けて、、、この地方はメチャクチャ蒸し暑い。
実は瀬名はお父さんの仕事の関係で転勤族でね。。。
その瀬名が、
「私、いろんなところに移り住んだけど、この地方の暑さは別格よ。」
と、言うくらいだ。
7月後半となり、大学は夏休みに入った。
パンデミック前は、夏休みには、健司(=元恋人)といっぱい遊んだ。
でも、バカ(=孝)をはじめ、100分の1の男性は外出の自由がない。大学からは基本出られない。
もちろん、『ハイパーモグラたたき』(第41話)で、ある程度、外出はできるようにはなった。
それでも1時間程度の短時間の外出のみで、かつ大学周辺に限られる。
つまり、海とか山とかに、遊びに行くってわけにはいかない。
と、言うことで、、、夏休みに入っても、しばらくは課室で勉強していたのだが、、、『3年生になるといろいろあって』ね。。。
『課室には私と瀬名とバカ(=孝)の3人しかいない』んだ。。。
課室にあまり学生がいないのを見た、撫山教授がね、
「経費削減で、あまり学生がいないのに、
クーラーつけて課室を使うのはやめてくれ。
すまんが、図書館で勉強してくれ。」
ということで、夕食までは図書館で勉強することにした。
ま、私がいれば、バカ(=孝)に言い寄る女子学生もいないし(第40話)。。。
これまでは夕食から21時までは、私の下宿で、バカ(=孝)と過ごしていたのだが(第21話)。。。
下宿じゃ、クーラーの光熱費がバカにならないのでね。寮のバカ(=孝)の部屋で過ごすことにした。
だって、寮だったら、クーラーの光熱費は100分の1の男性は免除されるし(第2話)。。。
まあ、図書館は100分の1の男性のために、夏休みでも22時まで開いているから、図書館で粘ってもよかったんだけど。。。
夕食は寮のバカ(=孝)の部屋で食べているから、また、図書館に戻る気がないって言うか、、、朝からずっと、夜まで図書館にいるっていうのも飽きるんだよ。。。
21時以降は私の下宿に帰るんけど、優子と1日交替で、それぞれの部屋で一緒に寝てる。
だって、、、クーラーつけないと暑くて眠れないから。。。生活費抑えるために仕方がないんだよ。。。
ただ、21時までバカ(=孝)の部屋にいることを、撫山教授にバレちゃったみたいでね。撫山教授の個室に呼ばれて、注意されてしまったよ。
「愛唯君、孝君の部屋に21時までいるらしいが、それはいかんよ。
不届きな連中の一部は転校したけど(第40話)、
それでも、寮から『あの時の喘ぎ声』が
無くなったわけじゃないんだから。。。」
私は頬を膨らませて、抵抗を試みた。
「そうは言っても、下宿が暑くって。。。」
撫山教授はあきれて返す。
「クーラーつければいいだろ。」
私は顔を下に向け、小さな声で反論した。
「生活費抑えなくちゃいけないんです。。。」
撫山先生は困った顔だったが、不意に笑ってこう言った。
「だったら、孝君に課している特別課題を君もやってみるか?
夏休み中、2人共同に課してあるからって、寮の方には話をつけてやる。
もちろん、21時まで孝君の部屋にいて良いことにする。
悪い話ではないと思うが、、、どうだ?」
当然、特別課題なんぞ、やりたくないので、抵抗した。
「えー? そんな殺生な。。。」
すると、撫山教授はすまし顔で返した。
「ふーん。。。じゃ、21時まで孝君の部屋にいちゃダメ。」
私はクーラーの誘惑に負けた。
「ファーい。。。喜んで、特別課題をやらさせていただきます。。。」
翌日から図書館で、その特別課題に取り掛かったんだけど、、、難しいったら、ありゃしない。。。
「孝~。これ全然わかんないんだけど。。。」
バカ(=孝)は課題を一目見て、図書館の本棚から本を取り出した。
「あー、それ、、、
授業で習わない範囲だから、この本から調べないといけませんね。。。」
私はあきれた。
「孝~。なぜ、授業で習わない範囲をやらないといけないの?」
バカ(=孝)は、すまなさそうな表情をして答えた。
「うーん、、、
僕個人が、『将来、生き残るため』と、言えばいいんですかねー。
関係ない愛唯さんを巻き込んじゃったみたいで、申し訳ないです。。。」
また、このバカ(=孝)は、訳わからんことを言う。
まあ、このバカ(=孝)は、将来を見通して行動するから、その将来に備えてのことだとは分かるのだが、『その将来とは何だろう?』
私は真剣な表情となり問う。
「孝。あなたが備えている将来って何?」
すると、バカ(=孝)は暗い表情となり、答えた。
「うーん、、、
あまり愉快な話ではないので、話したくないです。。。
将来、もし、、、
愛唯さんと僕が結婚することになったら、お話します。。。」
この時、私は、バカ(=孝)と付き合い始めて、まだ3ヶ月が経ったばかりだったので、これ以上、詮索しなかった。
まあ、本当、この特別課題は大変だった。。。3月に軽く学びなおしをしたんだが(第11話~第14話)、そんなレベルで間に合わず、もっと深く学びなおさなくちゃならなかった。これについては、バカ(=孝)も申し訳なさそうに、一緒にやってくれたんだけど。。。
それに、、、ほら、、、私、文系だから、、、理数系のように数学の知識が高くないんだよ。。。
特別課題の一部には、かなり高度な数学があって、高校の理系の数学も勉強しなきゃならなかった。。。
高校の理系の数学の勉強してから、この特別課題の数学を勉強するということになった。。。
ま、理数系のバカ(=孝)が懇切丁寧に教えてくれたけど。。。
この時は、本当、母に無理やり文系を選択させられたことを後悔したよ(プロローグ)。。。
つうか、、、文系の私に、、、こんな特別課題を課すんじゃねーよ! まったく!!
結局、夏休み中に全部終わらなくって、、、9月以降もやっていたよ。。。
夏休み中に全部終わらなかったので、、、ペナルティとして10月に新たな特別課題を課せられて、、、
それが終わると、また新たな特別課題を課せられて、、、
そんな調子で、4年生になるまで、ずっと特別課題を課せられ続けた。。。
まあ、そんな猛勉強をさせられたおかげで、大学の成績は上がっていったけどね。。。
これまで、私の成績は、パンデミックの前は『落第スレスレの低空飛行』だった(プロローグ)。
今年の2月に至っては3年に進級するのが危うかった(第1話、第2話、第8話)。
でも、猛勉強のおかげて、早くも3年生の9月には、CCコース3年で真ん中より上になった。
最終的には(=3年の2月には)、CCコースの中で3位になった。。。
もちろん、1位はぶっちぎりでバカ(=孝)で、2位は瀬名だったけど。。。
話を戻す。
それにしても、、、こんなに難しい特別課題をこなしていると、、、頭が痛くなってくる。。。
気分転換が必要だ。
よって、寮のバカ(=孝)の部屋で、バカ(=孝)にネダッた。
「ねー、孝ー。
夏だからさー、海とか大型遊泳プールに行こうよー。
ねー、ねー。」
すると、バカ(=孝)は、困った顔で首を横に振った。
「残念ながら、、、
海とか大型遊泳プールには、許可がおりません。。。」
私は驚き問うた。
「え? 私が付き添ってもだめなの?」
バカ(=孝)は困った顔のまま、うなずき、答えた。
「はい。
たとえ愛唯さんが付き添っても、
更衣室とかお手洗いに、愛唯さんが付き添うのは不可能じゃないですか?
海とか大型遊泳プールの更衣室とかお手洗いは、
『どうしても裸になります』し。。。」
私は「あ!」とつぶやいた。
そうだ! 海とかプールでは更衣室やお手洗いは裸になる。
性別の異なる私は付き添うのは不可能だ。
バカ(=孝)は少し悲しげな表情で、視線を下に逸らして、話を続けた。
「実際、海とか大型遊泳プールの更衣室とかお手洗いで、
誘拐されたケースがあるそうです。。。
どうしても、海とか大型遊泳プールに行きたい場合は、
『男性の付き添いが必要』です。」
となると、父の付き添いが必要になるが、私達のために、付き添いをお願いするのは気が引ける。
現状、海や大型遊泳プールに行くのは不可能だ。
孝は苦笑いを浮かべ、私を見つめ、話を続けた。
「そのかわりと言っては何ですが。。。
大学のプールなら、予約すれば可能です。」
私は戸惑い、問うた。
「え? 大学のプールは使えるの?」
孝はうなずき答えた。
「ええ、水泳部の練習の合間だけですが。。。
水泳部の練習時間帯は決まっているので、
その時間帯を外して予約すれば可能です。」
私は興奮した。
「この際、海や大型遊泳プールじゃないけど、
とりあえずプールなら、なんでも良いわよ!
だって、パンデミックの前、2年前、
優子と健司(=愛唯の元恋人)と翔(=優子の元恋人)と海に行った、、、
あの水着をまた着たいもん!」
ちなみに、2年前、4人で海に行ったとき、私は紺のプランジングで、優子は黒のホルターネック・ビキニを着た。
健司(=愛唯の元恋人)は私の水着を見て、褒めてくれた。思い出の水着だ。
だが、バカ(=孝)は顔を横に振って、私をガッカリさせた。
「ごめんなさい。愛唯さん。。。
大学のプールは、スクール水着オンリーです。。。
というより、、、
大学1年や2年の時の体育の授業で、それを知っていたはずでは?」
私は顔を下に向け、つぶやいた。
「そうだった。。。」
そう、大学のプールの入り口には、『水着はスクール水着のみ』って、デカデカと看板が立っていたんだ。。。
それでも、、、大学のプールでも、、、スクール水着でも、、、プールに行きたいという欲求には勝てなかった。
だって、、、メチャクチャ、蒸し暑いんだもん。。。私の下宿。。。
私達は大学のプールの使用予約を行うと、両方の実家へ行って、スクール水着を探した。
ま、孝のお母さんから、バカ(=孝)は罵られたけどね。。。
「そんなもん、こっち(=孝の母)が探して、
宅急便で送ってやるから、帰ってくるんじゃないわよ!
このバカ(=孝)!」
がはは!
孝のお母さんの仰る通りでした。。。はい。。。
大学のプールを予約した日時、プールに行くと、大学の寮にいる100分の1の男性と、その恋人達も来ていた。
たぶん、私とバカ(=孝)と同じように、100分の1の男性は、海水浴や大型遊泳プールに遊びに行けないので、大学のプールで我慢しているのだろう。。。
大学もそれを知っているのか、大学のプールの使用可能な時間帯を増やしているとは、バカ(=孝)の話だった。
私とバカ(=孝)は、スクール水着を着て、少し泳ぐと、プールサイドに腰かけた。
バカ(=孝)は口を開いた。
「愛唯さん、
首都圏では、更衣室やお手洗いのセキュリティを強化して、
僕ら、100分の1の男性でも、安全に海水浴や大型遊泳施設が利用できるよう、
いろいろ模索が続いているようです。。。
ですから、来年には、この地方でも、愛唯さんと一緒に行ける、
海水浴場やプールが出現すると思います。。。」
私は答えた。
「そうか。。。
今年は、大学のプールで我慢するしかないか。。。」
バカ(=孝)はうなずいた。
「はい。」
私は問うた。
「孝。山とか、高原とかの、避暑地には行けないの?」
バカ(=孝)は顔を横に傾け、斜め上に空を見上げ、答えた。
「うーん、、、
避暑地となると旅行となってしまうので、
旅行は国内も海外も全部ダメなので。。。」
私はため息をついて語った。
「そうか、、、避暑地は無理か。。。」
孝はうなずき答えた。
「避暑地への旅行は、相当先になると思います。。。」
そう、今話のはじめに書いたが、少し緩和されたとはいっても、100分の1の男性に外出には制限があり、ましてや旅行の自由はない。
今は、大学のプールで我慢するしかないのだ。。。
この年の夏は、2,3日に一度の割合で、大学のプールで、デートとしゃれこんだ。
ま、スクール水着だったけど。。。
しかしだ。。。やっぱり、私としては、2年ぶりに、健司(=元恋人)と海に行った水着を着たかったので、私の下宿でそのときの水着を着て、バカ(=孝)に見せた。
そしたら、、、バカ(=孝)は、顔を真っ赤にして目を背けやがった。
私は笑いながら、バカ(=孝)に近づいた。
「がはは! おい、バカ(=孝)!
どっち向いてる? ちゃんと私を見ろ。」
バカ(=孝)は、顔を真っ赤にしながら、必死に目を背けて答えた。
「愛唯さん。
その水着、刺激的すぎます。勘弁してください。」
バカ(=孝)が、ここまでウブだとは知らず、面白かった。
まー、あんまり面白かったんでな。。。
次の日は優子も誘って、優子も2年ぶりに、翔(=優子の元恋人)と海に行った水着を実家から持ってきて、二人で水着着て、バカ(=孝)を私の下宿に呼んだんだ。。。
そしたら、あのバカ(=孝)、今度は耳まで真っ赤になって、私と優子から必死になって目を逸らしやがった。。。
「だから、、、 愛唯さんに優子さん。
その水着、刺激的すぎます。 もうヤメテー!」
私と優子は笑いながら、バカ(=孝)が目を逸らした方向に移動して、バカ(=孝)をからかった。
「がはは! 優子、そっち行け! 私はこっち行くから!」
優子はうなずき、私が示した位置へ移動した。
「はいよ!」
バカ(=孝)は目を必死に逸らし、悲鳴を上げた。
「だから、、、ヤメテー!」
いやー、面白かった。。。うん。。。
優子からも大好評だった。
「いやー、ここ数日、慣れないことやっているから、
緊張が続いて、ストレスが溜まっていたので、良い気分転換になったわ。。。」
がはは!
真夏の寝苦しい夜は、バカ(=孝)をからかうに限る!
孝が備えている将来については、いずれ触れる予定です。
かなり先の話になりますが。。。
すみません。次話から2話ほど、また寄り道します。
この世界について知ってもらうためです。




