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第39話 vs不届きな奴ら(その4) ー学長室にてー

(前話からの続き)


私をはじめ、CCコース3年生は、大学祭で大乱闘やっちまった。


で、どうやって乱闘を鎮めたかって言うと、約60名の大乱闘だったのでね。近くにいた大学祭実行委員会メンバじゃどうしようもなくって、守衛さん、そして日曜日なのにやむなく休日出勤していた教職員を、総動員してやっと鎮めた。




私達、CCコース3年生は、課室に集められ、撫山教授から、そりゃあ、すんごく、怒られた。撫山教授は、日曜日に自宅で休養していたところを呼び出されたらしく、無理もない。いつもの英国紳士風の背広姿でなく、ラフなシャツ姿で、怒り心頭だった。


「ただでさえ、愛唯(メイ)君と孝君の問題生徒2人を抱えて、

 こっち(=CCコースの教員)は大変だって言うのに。。。


 おまえら(=私とバカ(=孝)を除いた全員)まで、何やってんだ!


 もう、頭痛いわ!!


 明日から(=月曜日から)、みっちり、今回のことの聴取して、

 処分を下すから、覚悟しとけ!!!」




私とバカ(=孝)以外は、撫山教授に怒られた経験がないので、撫山教授の説教が終わると、皆、青い顔して言った。


優子は青い顔でつぶやいた。


「撫山先生って、怒るとあんなに怖いんだ。。。」




瀬名も青い顔でつぶやいた。


「もう2度と、怒られたくない。。。」



 

ま、私は一度怒られているし(第20話)、バカ(=孝)に至ってはしょっちゅう怒られているので、あまりダメージないけどね。。。




里子はスマホで電話しており、彼女はもっと青い顔で、ため息をついた。


「部活の顧問から呼ばれた。

 あの先生、怒るとすげー怖いんだよ。

 はー、『お叱り』のダブルヘッダー第2試合だ。。。」

 



里子は課室を出て、ラクロス部の部室へ向かった。

 



里子を除く、CCコース3年生は、大乱闘の後片付けをすべく、課室を出ようとした。そのとき、スマホで電話をしていた撫山教授から、私とバカ(=孝)は呼び止められた。


「愛唯君と孝君、これから学長室へ行くぞ。学長がお呼びだ。」



 

はー、こっちも『お叱り』のダブルヘッダー第2試合かよ。。。

 

仕方がないので、私とバカ(=孝)と里子を除く、CCコース3年で後片付けを始めてもらうことにし、私とバカ(=孝)と里子は後から合流することにした。





 

撫山教授と私とバカ(=孝)は学長室へ向かった。バカ(=孝)は学長室へは1度行ったことあるらしいが(第28話)、私は初めて行く。事務棟の端で応接室付きの広い部屋だ。

 

学長は身長160cmの中肉中背で、年齢は60歳前後で白髪、いつもは背広姿だが、本日は日曜日で自宅で休養していたらしく、シャツ姿のラフな格好だった。


学長は席に座っており、脇に本田体育系教授と畠山技術系教授が控えていた。二人ともラフな格好だったが、厳しい表情だった。


学長は、私達が入室すると、険しい表情で、おもむろに口を開いた。


「君達が、愛唯君と孝君かね?」



 

私達は黙って頷いた。




学長は続けた。


「本来、大学祭は学生の自治に任せることで、

 我々、教職員が口を出すべき案件ではない。


 しかし、再開した最初の大学祭での、今回の大乱闘を看過できない。


 体育系の学生である久美子君の証言によると、

 今回の大乱闘の背景は、体育系の学生である竜二君が、

 孝君に以前から因縁をつけており、

 本日、孝君に侮辱したとあるが、それは本当か?」



       

私が答えた。


「本当です。」



 

学長がバカ(=孝)に向けて問うた。


「孝君。

 以前から因縁をつけられていたのに、なぜ周囲に相談しなかった?

 撫山君も、体育系の本田君も、初耳だと言っていたぞ。。。」



 

本田体育系教授が続ける。


「竜二君が所属している、

 サッカー部の顧問も、監督も、初耳と言ってました。」



 

バカ(=孝)が答えた。


「寮の仲間から、

 竜二君はパンデミック前は素晴らしい選手だったと聞いていました。。。


 だから、我慢していれば、いつかは解決するものと思っていました。。。」



 

学長がバカ(=孝)に再び問う。


「なるほど、、、だが、結果的にはであるが、、、

 その我慢が、今回、恋人である愛唯君に、

 暴力を振るわせてしまったのではないか?」



 

バカ(=孝)は黙って頷いた。




学長がバカ(=孝)に向かって語る。


「孝君。

 君の一連の行動は、問題解決のための最適な方法は何かを考え、

 行動したとは言えない。

 もう21歳の大人なんだ。そこは反省しなさい。」



バカ(=孝)は神妙な表情で「はい。」とうなずいた。

   



学長は今度は私(=愛唯)に向かって語る。


「さて、愛唯君。

 君の行動は、恋人である孝君を守るためとは言え、

 暴力を認めるわけにはいかない。

 厳正な処分を下さざるを得ないので覚悟するように。」




私はうなずき、「わかりました。」と答えた。



 

学長が私達(=愛唯、孝)に向かって話す。


「私が言いたいのはこれだけだ。

 愛唯君と孝君は退室したまえ。

 あ、、、撫山君は残って。」



 

私とバカ(=孝)は、学長室を退室し、後片付けに合流した。

 





ここから先は、かなり後になって、撫山教授から聞いた話なんだけど。。。

 

私とバカ(=孝)が学長室を退室すると、学長は少し表情を和らげ、撫山教授に向かって口を開いた。


「撫山君、あれが例のわが校の『最凶最悪コンビ』かね?」

 



撫山教授は真剣な表情で「はい。」とうなずいた。



学長は鼻先で笑うと、撫山教授に語った。


「そうか、一度会ってみたかった。

 こういう機会がないと会う口実がないのでな。。。」




撫山教授は戸惑う。


「学長、まさかそんな目的で呼びつけたんですか?」




学長はすまし顔で答えた。


「まあな。私がいちいち注意しなくても、撫山君が叱れば済む話じゃないか。」




撫山教授はなおも戸惑う。


「それは、そうですが。。。」

 


 

学長は本田体育系教授を横目で見て続けた。


「本田君(=体育系教授)によると、竜二君も今回は反省しているそうだ。」



 

本田体育系教授は笑みを浮かべて話す。


「実は、竜二君の生活態度には、我々も手を焼いていて、

 何度言っても聞く耳を持たなかったのに。。。


 今回は反省しているようです。。。

       

 よほど、愛唯君に

  『したいことができないなら、すべきことをやれ』

 って罵られたのが、効いたようです。。。


 撫山先生が仰るように、

  『危なっかしいですが、面白いコンビ』

 ですな。。。」

 


 

撫山教授は苦笑いを浮かべて語った。


「ええ、一度、報告しましたが、

 愛唯君は、車のトランクの中に、孝君を押し込んで、

 2回ほど、検問を突破したことがあります。

      

 孝君から、

  『車のトランクに押し込んで、検問を突破する気だ。』

 と連絡が入った時は、肝を潰しました。。。


 慌てて、警察や自衛隊の緊急出動しないように、

 各種措置を取るのは大変でした。。。


 本当に、『危なっかしい』2人です。。。

  

 でも、1度目は、亡くなった生徒の墓に、

 うち(=CCコース)の3年生を連れて、彼女達を説得したんです(第17話)。


 その後、うち(=CCコース)の3年生は立ち直りました。。。」

   



学長は撫山教授に問う。

   

「君のところ(=CCコース)の3年生が、学内では一番早く、

 あのウイルスの痛手から立ち直ったんだったな。。。」

 



撫山教授は笑顔を浮かべて答える。


「はい。あの2人(=愛唯と孝)は、『危なっかしい』ですが、

 とても『面白いコンビ』です。。。」

 

 


学長も笑顔を浮かべて語る。


「そう、私も『危なっかしいが、面白いコンビ』だと思う。


 今回は乱闘事件を引き起こし、とても『危なっかしい』。


 でも、生活態度で手を焼いていた、竜二君を反省させるとは、

 とても『面白い』。。。

      

 今、男子学生が100分の1となり、I大学の危機だ。

 『撫山君のアイデア』を進めてみようと思う。


 『撫山君のアイデア』を進めるうえで、

  私に協力できることがあれば、言ってくれ。」

 



撫山教授は頭を下げた。

    

「ありがとうございます。」






学長は再び険しい表情に戻り、本田体育系教授に向いて問う。


「本田君。それで、今回被害者の孝君を除く、加害者の男子学生の内訳は?」




本田体育系教授も再び厳しい表情となり、答えた。


「加害者の男子学生3名は、

 竜二君を含め体育系2名で、残り1名は技術系です。


 体育系2名は竜二君はサッカー部でしたが、残り1名はラグビー部でした。


 両名とも、『各運動部のたった一人の生き残り』でした。」

 



畠山技術系教授も厳しい表情で続けた。


「技術系1名は、学部および大学院を含め、たった1人の生き残りです。


 技術系はそもそも女子学生がいませんでしたから、

 『技術系は大学院を含め、彼がたった1人の生徒』です。」

 



学長はため息をつき、天井を見上げた。


 


撫山教授は問う。


「学長、今回の乱闘騒ぎの関係者を、どう処分されるおつもりですか?」

 



学長は答える。


「私に処分を決定する権限はない。別途会議を行って決定する必要がある。


 だが、その会議には私も出席するつもりだが、

 私は寛大な処置をお願いするつもりだ。


 なぜなら、今回の乱闘騒ぎの主因は、我々(=教職員)にあるからだ。」




学長は続ける。


「1年前の6月、大学の再開準備を始めた際、

 男子学生および若手男性教職員が100分の1になったため、

 教職員全員が、研究・授業・部活動に支障をきたすことは、

 あの時点ですでに分かっていた。


 だが、教職員同士のエゴのため、学内調整に余計な時間を費やしてしまった。


 その結果、学生達が疲弊してしまっている。

 その学生達の疲弊が、今回の乱闘騒ぎにつながってしまった。


 我々(=教職員)がだらしないから、今回の乱闘騒ぎに繋がってしまったのに、

 我々を罰せず、学生達を罰するのはおかしい。。。」

 



学長は、撫山教授、本田体育系教授、畠山技術系教授に指示した。


「撫山君、すまないが理数系の教職員の説得を引き続き頼む。


 本田君は体育系と美術系の教職員の説得を。


 畠山君は、技術系の教職員にはツライ選択となるが、説得してくれ。


 私は人文系を説得する。

  

 今回問題を起こした男性生徒と、孝君とは引き離す必要がある。

 と、なると、県や市に協力をお願いする必要があり、

 その際、文科省に助力願う必要がある。


 文科省に助力をお願いした時点で、

 今回の乱闘騒ぎは報告しなければならないだろう。


 そうなれば、文科省から、例の話を持ち掛けられるだろうから、

 今度は断り切れない。


 ただでさえ、まだ戒厳令の効力は残っているし。。。

       

 文科省から、例の話を持ち掛けられる前に、自主的に案を示した方がよい。


 頼む、急いでくれ。」

 



撫山教授、本田体育系教授、畠山技術系教授は、厳しい表情で、黙って頷いた。


この世界において、大学の教職員だけでなく、大人達の苦悩は深いでしょうね。


私のモチベーションが続けばの話で、かなり先の話になりますが、大学の教職員達の苦悩もいずれ触れるつもりです。


その苦悩の中で、大学の教職員達は、主人公の愛唯(メイ)と孝に、

『希望を見出している』のです。

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