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第36話 vs不届きな奴ら(その1) ー破られたシャツー

どうも、愛唯(メイ)です。今は5月半ばです。

 


私とバカ(=孝)と付き合い始めて、最初の連休だったゴールデンウイークは、いつもの土日祝日以上に過ごし方が難しかった。

 

バカ(=孝)の実家は、もうバカ(=孝)にとって安らぎの場ではない(第34話)ので、帰らなかった。どうも、パソコンで毎週TV会議しているらしく、荷物は宅配便で送ればいいし、無理に帰る必要はないらしい。。。


実はバカ(=孝)だけでなく、I大学の寮の多くの100分の1の男性も多くは帰ろうとしなかった。たぶん、バカ(=孝)と同じ理由なんだろう。

 



まあ、例外的に実家に帰った人もいたんだけど、バカ(=孝)曰く。


「まあ、恋人がたくさんいる人は、実家に帰りましたね。

      

 近所の人が娘を連れてきても、

 小学校時代の女子クラスメートが訪ねてきても、

 親戚や、両親の勤める会社の同僚や上司が娘を連れてきても、

 すでにたくさん恋人がいることを見せつければ、

 大概はあきらめて帰っていくそうです。。。」



 

それを聞くと、複雑な気分になる、私でした。。。

 

あ、一応、言っておくと、バカ(=孝)本人は、


「僕は恋人を複数作るつもりはありません。恋人は愛唯さん1人で十分です。

 そもそも僕は、

 複数の恋人の間をうまく立ち回れるほど、器用ではないですし。。。」



と言っているので、安心はしているんだけどね。。。

 


     

第12話でちらっと述べたけど、皆さんには100分の1の男性の誤解をしてほしくないので、バカ(=孝)の説明を引用するとね、、、


「寮でも恋人がいる100分の1の男性のうち、

 恋人が複数いる人は、実際のところ、極めて例外ですよ。。。


 寮の20名強の100分の1の男性のうち、

 恋人が複数いる人は数名ってところです。。。

     

 恋人がいる100分の1の男性のほとんどは、恋人は1人です。。。

     

 たぶん、理由は僕と同じだと思います。。。」



ってこと。。。

 

 


さて、話をバカ(=孝)がゴールデンウイークをどう過ごしたかって戻すと、ゴールデンウイークの前半と後半に、各1日は私の実家に連れて行ったが、連日行くわけにもいかない。


まあ、私は連れて行ってもよかったが、バカ(=孝)が嫌がった。


「連日僕が愛唯さんの実家に訪問すれば、

 愛唯さんのご両親が僕を非常識な人と思う恐れがありますよ?

 

 愛唯さんのご両親から、

 愛唯さんに僕との交際を反対するようになったら、どうします?」



と懸念されてね。。。




まあ、うちの両親、とくに母は保守的なので、その心配があったので、連日、バカ(=孝)を連れて行くのはやめた。


そこで、ゴールデンウイークの前半と後半に、各1日を、新鮮な野菜や果物を買うという理由で事前にスーパーに行く申請をしておき、本当の目的はあわただしいデートをしたんだけど。。。


しかし、それだけは埋まらないじゃない。連休中は図書館は午後しか開いていないし。。。

特に、ゴールデンウイークの後半は難しかったなー。



 

そこで、事情を知った、

同じアパートに下宿している優子、

GWでも図書館は開いているので勉強しに来る瀬名と、

午前中は私の下宿でゲームで遊び、午後は図書館で勉強した。。。


夕方には部活で大学に来ていた里子も合流して、再び私の下宿に集まってゲームと飲み会で過ごしたってわけ。。。

 

その飲み会で、バカ(=孝)と里子に、酒の飲み方に共通点があることに気づくのだけど、まあこれはどこかで。。。




さて、ここからがメインなんだけど、、、


ゴールデンウイークが明けて、数日後、朝8:45、いつもの通り、寮の前で、私はバカ(=孝)を待っていた。


いつもより少し遅くて、どうしたのかと思っていたら、バカ(=孝)は大きく破れたシャツを着て、出てきたんだ。。。

 


 

孝は困った顔で私に言った。


「愛唯さん、お待たせした上にごめんなさい。


 ちょっと出かける際に、家具に引っ掛けてしまって、

 このとおりシャツが破れてしまいました。

     

 着替えなおすので、もう少々待っていてください。。。」

 


 

シャツの破れ方を見て、私はすぐにバカ(=孝)の言うことがおかしいことに気が付いた。


「孝。シャツは家具に引っかかったぐらいで、そんな風には破れないわ。

 

 明らかに、大きな力で故意に引っ張られた破れ方よ、そのシャツは。

     

 本当のことを言いなさい。」

 


 

でも、孝は「本当に家具に引っ掛けてシャツが破れたんです。」と、本当のことを言おうとしなかった。結局、私もバカ(=孝)の部屋に行って、破れたシャツに変わるシャツを選んだんだけど。。。


でも、私はシャツが破れた原因を調べる必要があると感じた。だから、孝が課室にいるときに、再度、寮に行って、卓球で遊んだことがある(第28話)、寮の別の男子生徒に事情を聞くことにした。


その人の話だと、

「朝、孝君が寮から出ようとした時、竜二君が因縁をつけて、

 竜二君が孝君のシャツを破った」

とのことだった。




私はその話を聞いて、腹が立った。だって、破られたシャツは武(=弟)の古着、つまり大切な形見なんだ!


第3者から見れば、単なる古着かもしれない。


でも私にとっては、武(=弟)との思い出の詰まった、大切な形見なんだ!!




バカ(=孝)には、この形見を大切に扱うよう、洗濯の仕方や保存の仕方をいつも細かく教えているんだ。




その大切な形見を、因縁をつけて、破るなんて行為は許せるものじゃない!


私はすぐに、その竜二ってやつの部屋に抗議に行った。




竜二の部屋に入ると、竜二は女の子とテレビゲームをやっていた。


竜二は長身で、里子の恋人だった聡君より少し低めの180cm弱の長身で、髪型はツーブロックショートで、顔立ちの整ったイケメンだった。


ほら、第20話で、バカ(=孝)が60点のイケメンで、健司(=元恋人)が90点のイケメンって言った。でも悔しいが、竜二は95点の超イケメン。バカ(=孝)と付き合っていなければ、私も惹かれたかもしれないと思うほど。。。


また、竜二は細身だが贅肉がなく、鍛えられた肉体を有することは、服の上からもわかった。たぶん、体育系なのだろう。


まあ、超イケメンなせいか、竜二の部屋には女の子が多いこと多いこと。あきらかに、例外的に『恋人が多い』、100分の1の男性の一人だった。




それしてもワンルームなのに、女の子が10人くらいいたから、部屋が狭いこと狭いこと。女の子達は、私のことを、竜二にあこがれて訪れた新しい女の子だと思ったらしく、「新入りは部屋の端にいろ」とぬかしやがった。


だが、竜二は私を一目見ると、


「違う、彼女は孝の恋人だ。」



と制した。




意外だった、どうして、竜二は私を知っているのだろう?


少なくとも、私は竜二とは初顔合わせだ。


もしかすると、私は何度も寮に行っているので、竜二はどこからか私を見かけたのだろうか?

 



竜二は冷めた顔で私に尋ねた。


「で、、、何の用?」




私は竜二に抗議した。


「あなた、今朝、孝に因縁をつけて、孝のシャツを破ったそうね。

 

 あのシャツはね、私の弟の形見なの。

 それを因縁をつけて破るなんてどういうつもり?」




竜二は悪びれる様子もなく、答えた。


「あー、あんなこと。。。

 何、怒ってんの? 君バカ?


 まー、あえて言えば、孝が目障りだからかな。。。


 そして、君も目障りだ。」




私はこんな言いがかりに怒った。


「目障りッて何よ! 私と孝が何をしたっていうの!」




竜二は、少しムカついたように、言い放った。


「なぜ目障りかって? 

 だって、孝には頑張れる場所がある。

 でも俺にはないんだ!」

  


  

そういうと、竜二は私を部屋から追い出した。


「さあ、もう君の用は済んだろ? 

 ここは狭くてね、用が済んだら、帰った!帰った!」

  


  

私はもっと、竜二に抗議したかったが、体力差は如何ともしがたく、課室に戻るしかなかった。

 




 

その日の午前中は、課室にいたんだけど、むしゃくしゃして、勉強ははかどらなかった。いつもより、バカ(=孝)のことを、「バカ」って罵ることが多かったと思う。まあ、竜二にシャツを破られたって正直言わなかったってこともあるんだけど。。。




午後1時過ぎ、つまり昼食後に、竜二の部屋にいた女の子の1人が、里子に連れられて、課室にやってきた。


その子は身長170cm弱、黒髪・ミディアム・ワンカールで肌は小麦色の健康美人って感じ。その女の子は、課室に来て、私とバカ(=孝)を見つけると、駆け寄り、頭を下げた。


「孝さんと愛唯さん。

 今朝は、竜二が大切なシャツを破ってしまって、ごめんなさい!

 

 竜二に代わって謝ります。この通りです!」

 

 


女の子を連れてきた里子が話す。


「この子の名前は久美子と言ってね。竜二のパンデミック前からの恋人さ。


 愛唯、仔細は久美子から聞いた。

 

 弟さんの形見のシャツを、

 竜二の奴が孝に因縁つけて、破ってしまったんだってね。

 

 愛唯の怒りはもっともだ。

    

 竜二は男子サッカー部員で、つまり聡(=里子の元恋人)の元チームメートだ。

 

 竜二のことも、そこにいる久美子のことも、よく知っている。


 今回は、久美子に頼まれて、ここ(=課室)に連れてきた。」


(次話に続く)


今話からしばらく、複数の恋人を有する100分の1の男性との対決を描く、『vs不届きな奴ら』を複数話にわたって展開予定です。

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