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第28話 孝の話(その1) ー孝の100分の1の男性専用スマホ ハッキング顛末記ー

どうも、今回の担当となりました。孝です。



今回は、僕がやっちまった件、つまり、第25話で瀬名さんが触れた、『100分の1の男性専用のGPSスマホのハッキング』について説明しようと思います。


100分の1の男性専用のGPSスマホは、3月1日の、軟禁生活初日の朝に、寮にいた男性全員に配られました。目的はもちろん、100分の1の男性の所在を常に追跡することで、100分の1の男性の拉致・誘拐を防ぐためです。


配布されたのは、実はスマホだけでなく、スマートウオッチもありました。寮の部屋とか、事前に登録許可されている場所を除いて、2つとも、常時身につけていないといけないんです。僕の場合は、寮の部屋、図書館、課室、コンピュータールーム、そして実家を、身につけなくてもよい場所として、登録しました。


そこで、取り外して、机の上で充電するようにしています。なぜ、『身につけなくてもよい場所として登録する必要があるか?』って言うと、スマートウオッチも特別製で、高い防水性もあって、お手洗いでも、時計を身に着けたままで、可能になっています。プールや海水浴でも、時計を身に着けたままで、可能だそうです。スキューバダイビングはダメだそうですが。。。


ここまでは良いんですが、取り外すのが、ものすごく面倒にできています。

 

担当官は、こう言ってました。


「スマートウオッチの取り外しが面倒にできているのは、

 君達(=100分の1の男性)が、万が一、誘拐・拉致された場合、

 追跡をかわすために、スマホとスマートウオッチを

 捨てさせるだろうから、その時間を少しでも稼ぐためです。


 と言って、あまり、取り外しが面倒だと、

 誘拐・拉致犯が手首ごと切り落とすかもしれないから、

 取り外しに数十秒程度かかるようにしてあります。」

 



スマートウオッチって充電もいるし、またここまで取り外しに面倒だと、手首が蒸れる訳ですよ。だから、スマートウオッチを取り外す場所として登録しています。

 

ちなみにスマートウオッチを取り外せる時間にも制限があって、寮の部屋や実家以外では、1時間以上取り外すと警告音が鳴ります。警告音がなって数分以内にスマートウオッチを身に着けないと、警察・自衛隊に通報されるらしいです。

 

また、万が一、誘拐・拉致の危険に遭遇した場合の、緊急通報システムもあります。スマホかスマートウオッチのあるボタンを押し、僕があるキーワードを言えば発動されます。ちなみに、他人が僕と同じキーワードを言っても発動しません。


それから、スマホとスマートウオッチが異常を検知した時点で、警察・自衛隊に通報されます。通報が早ければ早いほど、担当者曰く「皆さんが助かる確率は高まります」とのこと。

 

あと、誤通報を防ぐためのシステムもあり、スマホかスマートウオッチのさっきとは別のボタンを押し、僕がさっきとは別のキーワードを言えば、発動されます。これはCCコースの先生の誰かに緊急につながる仕組みで、第17話と第20話で愛唯さんが僕をトランクに押し込んで大学の検問を突破しても、警察や自衛隊に通報されなかったのは、この機能を利用したからです。

 



担当官からは、以下のことをやると警察・自衛隊に通報されるので、絶対にやらないように言われました。

 ・大学の敷地から許可を得ずに1歩でも外に出た場合

 ・スマートウオッチを許可された場所以外で外した場合

 ・スマートウオッチを本人以外が装着した場合

 ・スマホとスマートウオッチの片方でも身に着けていなかった場合

 ・スマホとスマートウオッチの片方でもハッキングを行った場合




担当官は最後に、寮にいる100分の1の男性全員に、こう警告しました。


「政府当局は、皆さんに配布したスマホとスマートウオッチを、

 『常に監視』しています。


 万が一、異常が発見されれば、10分以内に駆けつけるよう、

 『警察は全国で体制を整えています』。


 警察だけでなく、『自衛隊も出動準備を開始する』体制となっています。


 軽い気持ちでいたずらすると、警察沙汰になることもありえます。

 絶対にしないよう、お願いします。」






まだ、愛唯(メイ)さんと付き合う前の話なんですが、第13話で話したように、3月に軟禁された当初、土日はすることがなかったんです。学内の散歩とか、いろんなことやってみたんですけど、ネタが尽きてしまいました。


日曜日の夜、ふと100分の1の男性専用のGPSスマホが目に止まったんです。どんな仕組みになっているのか興味がわいたんです。


別にハッキングがしたかったわけでなく、仕組みが知りたかっただけですけどね。。。


でも、スマホの中身を調べようとした数分後、守衛さんが僕の部屋に踏み込んできました。本当、伊達じゃないです。この100分の1の男性専用のGPSスマホ。。。




当然、翌日の月曜日に、撫山教授に、すごく怒られました。。。


「100分の1の男性専用のGPSスマホは、ハッキングが試みたと感知すれば、

 当局に通報される仕組みなっているんだ!

 

 100分の1の男性専用のGPSスマホは、

 我が国の技術を結集して作った、『トップ・オブ・トップ』なんだ!


 わしらのような、大学教員でも手が出せないような、高度な技術の塊を、

 お前(=孝)ごときの、学部2年生の知識で、

 何とかなるような代物ではないわ!!」




まあ、これで止めれば良かったんですけど。。。


僕ね、『知的好奇心を刺激されると、止まらなくなる、悪癖がある』んですよ。。。



 

で、あの時、愛唯さん、優子さんと図書館で勉強していたので、愛唯さんと優子さんが学びなおしをしている合間に、僕はスマホの勉強して、次の日曜日の夜、再度仕組みを調べようとしたんです。。。


でも、やっぱり、数分後、守衛さんが僕の部屋に踏み込んできました。。。




今度は2回目ってことで、翌日、学長室に呼ばれてね。。。


学長と、学長室に来ていたCV市の警察署長と警察関係者の人々にメッチャ怒られました。。。


特に警察署長と、そばに控えていた警察関係者達の怖かったこと、怖かったこと。。。




まあ、多少かじっただけの知識ではどうにもならないと悟りました。


なにより、これ以上、目を付けらえるのはヤバいので、当面諦めることにしました。。。




でも、後日聞いた話なんですけど。。。。


100分の1の男性専用のスマホにハッキングを試みる事件が、日本全国で多発していたらしく、中には『ハッキングに成功しちゃった猛者がいた』みたいです。。。

 

この状況に、政府当局は頭を痛めて、100分の1の男性用に、娯楽設備の設置や外出制限の緩和を大学・企業に依頼したそうです。関係省庁には、そのための予算措置も依頼したらしいです。

 

そういえば、I大の寮の卓球台は付属学校に譲っていたけど(第13話)、先日、もう1台入って、大学生も使えるようになりましたねー。




たまに、寮の仲間と卓球をしています。


実は、そこに、愛唯さんをはじめ、寮の仲間の恋人も交じって、結構楽しんでいます。。。


まあ、僕は運動神経鈍いから、負けてばっかなんだけど、愛唯さんは結構強いです。


ただ、愛唯さん負けず嫌いだから、愛唯さん卓球始めちゃうと、愛唯さんが勝つまで、愛唯さんはずっと卓球台を占有し続けます。




寮の仲間も、寮の仲間の恋人も、愛唯さんにはお手上げです。。。


ははは。。。




だけど、その猛者って誰か教えてくれないかなー。


このGPSスマホで、どう僕らの動きを監視しているかの仕組みだけでも知りたいんですけど。。。



そして、もう一回チャレンジしたいんです。。。


え? 『僕もヤバい性格してる』って?


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