Y-4(優子ルート・第4話) 優子、大学入学までを語る。
高校3年、私は文系なんだけど、数学は比較的成績が良くってね。。。
といっても、『文系の数学は比較的成績がよかった』んだけど。。。
経営学部とか経済学部を希望していたんだ。。。
でも、両親から、「偏差値から言うと、I大学のCCコースはどう? IT分野だから就職に有利だし。。。」って勧められた。
そう、I大学のCCコースは文理融合学科でね。。。文系の数学と英語で受験可能だったから。。。
ま、私学も受験して、経営学部と経済学部なんかも受けて、幾つか合格した。
でも、国公立大学は親の勧め通り、I大学のCCコースを受験することにした。
そして、その受験会場で、愛唯と会った。私は驚き、制服姿で受験会場に来た愛唯に語り掛けた。
「あれ? 愛唯、I大学のCCコースを受験するの?」
愛唯は苦笑いを浮かべ、頷いた。
「ええ。。。」
愛唯は私に問うた。
「優子? あなたも、I大学のCCコースを受験するの?」
私も苦笑いを浮かべ、頷いた。
「うん。。。」
愛唯はさらに私に問うた。
「どうして、I大学のCCコースを受験するの?
あんた、経営学部と経済学部を受験していたじゃん。」
私は苦笑いのまま、答えた。
「両親から『就職に有利だから』って勧められてね。。。」
私も愛唯に問うた。
「あんたはどうして、ここ(=I大学CCコース)を受験するの?」
愛唯は照れくさそうに答えた。
「文理融合学科で、すこし理数系の匂いがするから。。。
まあ、母への反抗。。。」
(プロローグ)
私は「そっか」と呟いた。愛唯は高校2年の秋まで理数系を志望していた。
そして、私より成績は一段上だった。
でも、愛唯の母の干渉により、無理やり文系を志望させられ、やる気を失い、成績は悪くなった。(Y-3)
I大学CCコースへの受験は、愛唯の、愛唯の母に対する、ささやかな反抗なのだろう。。。
実はね。。。
受験会場に愛唯がいたので、私と愛唯は二人とも合格し、このI大学CCコースに通うことになるんじゃないかと直感したんだ。。。
だって、私と愛唯は親友であり、中学以来の『腐れ縁』だから!
実際、二人とも合格し、学費の面から、I大学CCコースに入学したよ!
そう、本当に私と愛唯は親友であり、『腐れ縁』なんだ!
【現在の愛唯と優子の会話】
リアル愛唯:「(苦笑いを浮かべて)ま、本当に『腐れ縁』だよね。。。
実際、中学・高校・大学と同じ学校だけでなく、、、
孝と一夫多妻の妻になっているし。。。」
リアル優子:「でもさー、、、
ほら、撫山先生に挨拶に行った時、、、
『私、愛唯、瀬名、孝、そして里子を入学させた上で、
つまり、【試練を乗り越える素地を与えた】上で、
パンデミックを起こした。』
って、撫山先生が言っていたろ?(第190話)」
リアル愛唯:「そうね。。。」
リアル優子:「もしかしたら、今振り返ってみると、
私と愛唯との『腐れ縁』も、
【試練を乗り越える素地】として、
何者かが与えたものなのかも?」
リアル愛唯:「(ため息をつき)そうかもしれないわね。。。」
【I大入学式での愛唯と優子】
話を戻そう。
I大学の入学式の日、スーツ姿の私と愛唯はバスと電車を乗り継ぎ、I大学へ向かっていた。
私は電車の中で、愛唯に問うた。
「愛唯、あんた、入学後、何がしたい?」
愛唯は大学生活に期待を込めて、笑顔で答える。
「もち、恋人を作るの! 恋愛!」
ああ、もうこのころには、愛唯は完ぺきに『かわいくて、気品のある、お嬢さん』になっていた。
私はこう答えた。
「ま、今のあんたなら、贅沢さえ言わなきゃ、恋人はできるんじゃないの?」
ま、愛唯って、結構美人だしね。。。
中学時代は『男勝りで、ガサツで、ズボラ』だったから、もったいなかったけど。。。
だが、愛唯は頬を膨らませ、不満を漏らした。
「イヤだ。。。翔君みたいなイケメンが良い。。。」
私はこう言って宥めた。
「まあまあ、、、
まずは入学式でどんな男の子がいるか確かめて、
それであんたの眼鏡にかなう子がいたら、アタックしたら?」
愛唯は期待を込めて、笑顔で答えた。
「そうする!」
I大にバスが到着すると、バス停のあるロータリーから、入学式が開かれる講堂まで歩いていると、部活やサークルの勧誘しようとする先輩達が私と愛唯の行く手を阻んだ。
そして、結果として、チラシをいっぱいもらった。
ま、これが、『これから大学に入学するんだー』って高揚感を掻き立てたなー。
講堂では、CCコースでまとめて座るんだけど、皆、前を向いて座っているし、少し照明を落としていたから、よく顔は分からなかった。
そして講堂で入学式が行われた。
入学式を終えると、CCコースの新入生で集合写真を撮った。
このとき、誰がクラスメートがわかる。
入学式だから、男子クラスメートは背広を着ていたし、女子クラスメートはスーツを来ていた。
集合写真を撮るまでの待ち時間、何人かは私や愛唯に話しかけてきた。
もちろん、私は翔と言う恋人がいたから、彼等は無視した。
愛唯は適当にあしらった。(第157話)
入学式の帰り、電車の中で、少しがっかりとした表情で、愛唯は私に話しかけた。
「優子~、CCコースの男子の中に、私の好みがなかったからさ~。
誰か、紹介してくれない?」
まあ、愛唯は過度のイケメン好きだからね。。。
愛唯好みのイケメンはCCコースの男子の中にいなかったってことだろう。。。
だが、私は問うた。
「うーん、、、本当に好みはいなかったの~?
たとえば、聡君なんか、どう?」
だが、愛唯は首を横に振った。
「うーん、、、聡君はひょうきんだし、面白そうなんだけど、、、
里子だっけ? すでに恋人いるみたいだし。。。」
そう、高校時代からの恋人だったらしく、入学式では里子と聡はベタベタしていた。
特に里子はうれしそうだった。反対に聡は恥ずかしそうだったけど。
私は苦笑いを浮かべ、愛唯に語り掛けた。
「わかった。。。翔に相談してみる。。。」
入学式があった週末、私は翔と映画デートをした。
ああ、翔はこの地方の私学に合格したよ。
そう、大学は異なるが、同じ地方だから、週末はデートし放題だ。
もう大学生だし~。。。えっへっへ。。。
デートの途中に寄った喫茶店で、テーブルの向かい側に座った翔に、私は笑顔で語り掛けた。
「翔~。
愛唯からね。。。
男の子を紹介してほしいって頼まれちゃった。。。」
私と翔は高校で知り合っている。(Y-3)
そして、私と愛唯は同じ高校だ。(Y-3)
つまり、翔は愛唯を知っていたのさ。。。
翔は思案顔で私に尋ねた。
「うーん、、、愛唯ちゃんの好みのタイプってわかる?」
私は呆れながら答える。
「愛唯はね。。。
過度のイケメン好き。
しかも、高身長の。。。」
そう、中学時代から、愛唯の、過度な『高身長のイケメン好き』には呆れていたのさ。。。
翔は腕を組み、天井を見上げて、語った。
「うーん、、、
一人、恋人がいなくて、しかも高身長のイケメンを知っている。。。
彼は俺(=翔)と同じ中学なんだ。。。
でも、、、『かわいいお嬢さん』がタイプなんだ。。。」
私も天井を見上げ、右人差し指を顎に当てて、語った。
「うーん、、、
高校入学当初の愛唯は、、、
『男勝りで、ガサツで、ズボラ』なキャラと、、、
『かわいくて、気品のある、お嬢さん』なキャラが
混ざって変なキャラだったけど、、、
今は完全に『かわいくて、気品のある、お嬢さん』なキャラよ。。。」
翔はなおも腕を組み、天井を見上げて、語った。
「まあ、そうだね。。。
つまり、彼は愛唯ちゃんの好みだし、愛唯ちゃんも彼の好みで、、、
ピッタリかも。。。」
だが、翔は視線を私に戻すと、真剣な表情で問うた。
「でも、彼は、、、
俺と同じ【おバカ】だぞ。。。
それでも良いか?」
そう、翔はね。。。
聡君(=里子の亡き恋人)ほどじゃないけど、結構バカでね。。。
恋人だった私があきれることを何度もしたの。。。
私は答えた。
「愛唯の意向を訊いてみる。」
そして続けた。
「翔。あなたは彼の意向を訊いてくれる?」
翔は黙って頷き、高身長のイケメンの意向を訊いてくれることになった。
(次話に続く)
次話は2024年11月9日の午前0時に公開予定です。




