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第194話 新天地(その2) ー引っ越し先ー

(前話からの続き)



幸代准教授は優子に優しく語り掛けた。

 

「でもね。。。優子君。。。

  

 たまに出かけるのは良いけど、たとえ平日でも、

 毎日出かければリスクが増してしまうわ。。。

  

 それに、そもそも、毎日出かけるわけにもいかないよね?

  

 と言って、、、共同住宅でじっとしてられないよね?」

 

 

 

優子は戸惑いながらうなずいた。

 

「ええ。。。」

 

 

 

幸代准教授は優子に語り掛ける。

 

「これは私の提案なんだけど。。。

  

 臨月まで、愛唯君と孝君の研究の手伝いをしない?

  

 もちろん、妊婦だから、毎日じゃなくても良いわ。。。


 体調が良い時だけで良いし、

 夕方に帰ってもらっても良いし、半日だけでも良いわ。。。」

 

 

 

幸代准教授は続ける。

  

「出産して、しばらくして、体調が戻り、

 子供が保育所を預けられるまで成長したら、、、

  

 職場復帰する来年4月までの間、、、

 再び、愛唯君と孝君の研究の手伝いをしない?

  

 これも、毎日じゃなくてよいし、夕方に帰ってもらってよいわ。。。」

 

 

 

幸代准教授はさらに続ける。

 

「優子君、修士論文の内容を論文誌に投稿するんだって?

 (第188話)

  

 研究室で優子君の席を準備するから、そこで原稿を執筆したら?

  

 原稿を執筆しながら、愛唯君と孝君の研究の手伝いをするの。。。

  

 研究室なら、愛唯君も孝君もいるから、

 優子君の体調のフォローもできるし。。。

  

 どう?」

 

 

 

優子は戸惑いながら答える。

 

「もちろん、異論はありません。。。

 でも、私はNOH大の学生ではありませんが。。。」

 

 

 

幸代准教授は微笑み返す。

 

「気にしないで。。。

 

 実は

  『産休中のあなた(=優子)について、面倒見てくれ』

 って、ミドリン(=緑課長)から頼まれているの。。。

  

 あ、学費などは不要だから。。。」

 

 

 

そう、、、幸代准教授は、

新幹線で100分の1の男性へ富士山側の席を譲れと言ったり(第159話)、

懇親会のハラスメントに毅然とした態度をとったり(第161話)、

学会で100分の1の男性のため、実証実験を行うため奔走した(第164話)。。。

 

この幸代准教授はやっぱりカッコよく、私は憧れてしまうのだ。。。

 

ま、研究には厳しく『鬼』であり、瀬名の人生を捻じ曲げた『悪魔』でもあるのだが。。。

 

本当に不思議な女性だ。。。

 

 

 

 

 

そして、幸代准教授の親友である、緑課長も不思議な女性だ。。。

 

私がRRFM社に在籍していた頃(第5章)、私のことを可愛がってくれた(第147話)。。。

 

職場のイジメ(第131話)や、部長や課長からのハラスメント(第139話)から、私を守ろうとしてくれた(第136話、第139話)。。。

 

RRFM社の退職だって、思いとどまるよう、説得してくれた(第140話)。。。

 

そう、一言でいえば、素晴らしい上司だった(第149話)。。。

 

 

 

だが、社のルールとか、組織を無視して、物事進める『困った上司』だった(第129話、第137話、第145話)。。。

 

そして、優子の人生を捻じ曲げた『悪魔』でもある(第176話)。。。

 

 

 

そう、、、緑課長も不思議な女性だ。。。

 

 

 

 

 

思い返せば、私達(=ヨメンズ、孝)にとって、幸代准教授と緑課長との出会いが、人生を大きく変えた。。。

 

不思議な縁だ。。。

 

 

 

 

 

幸代准教授は笑顔で話す。

 

「ま、今日はゆっくり休みなさい。」

 

 

 

私達(=ヨメンズ、孝)は幸代准教授の個室を離れ、引っ越し先のNOH大の100分の1の男性用の共同住宅に歩いて行った。

 

 

 

 

 






さて、拍子法行為を含む精子提供義務は、妻子1人当たり2年の猶予期間がある。

 

私達(=ヨメンズ、孝)は結婚して6年が経過した。

そして、今年、優子が出産する。

優子が出産すれば、8年の猶予期間が生じる。

 

つまり、来年か、遅くても再来年には、誰かが妊娠出産しなくてはならない。

 

今年妊娠出産する優子を除くと、私か瀬名が妊娠出産する必要がある。

 

だが、、、私は瀬名に譲るつもりだ。

 

 

 

なぜなら3年後、私と孝がI大に講師として戻りたい場合、再来年までは重要な時期であるからだ。。

 

そう、私は夢をかなえたいんだ!

 

『10年後には父親や本来の夫婦の姿をよく知らない学生が大学に入学してくる。

 だから、私と孝が共に大学教員となり、本来の夫婦の姿を見せる』という夢を(第152話)!!

 

 

 

 

 

私達は引っ越し先のNOH大の100分の1の男性用の共同住宅に移った。

 

I大の時よりずっと広い! I大の時は洋室2間だったが(第85話)、NOH大では洋室4間だ。

しかも、I大の時は他の家族の部屋とは防音がなされていたが、一つの家族の部屋の間仕切りは薄い壁一枚(第91話)だった。

だから、隣の音は聞こえ放題だった。

 

でも、部屋の間仕切りが厚くなっており、隣の音が聞こえにくくなった。

 

特にこれは優子が喜んだ。

 

「子供が生まれたら、

 子供の泣き声で愛唯や瀬名に迷惑かけないか、心配だったんだよねー。」

 

 

 

そして洋室4間のうち、1間は広いため、家族みんなで食事をする空間かつ、孝の寝室とした。

残り3間は、ヨメンズ一人一人に割り当てた。

 

そう、結婚して6年たって、ヨメンズに個室ができた。

 

これも優子が特に喜んだ。

 

「子供を私の個室で育てることができるから、愛唯や瀬名の負担が減る。」

 

 

 

そして、優子は瀬名にお礼を言った。

 

「これも、3年前の夏、瀬名が幸代先生と交渉してくれたおかげ!」

 (第177話)

 

 

 

そう、人生を捻じ曲げられムカついた瀬名が、幸代准教授を脅し、交換条件として、洋室4間と間仕切りにある程度の防音のある部屋を準備させたのだ。

 

瀬名はどや顔で応じる。

 

「いえいえ、あの時はムカついたので。。。」

 

 

 

ま、葵さんも幸代准教授を通じて、撫山教授に広い住宅の準備を申し入れていたが(第174話)。。。

 

今頃、葵さん、哲君も、私達が住んでいた共同住宅よりも広い住宅に引っ越しているだろう。。。

 

 

 

瀬名は続ける。

 

「それに、、、もう一室、借りる予定ですし。。。」

 

 

 

優子が答える。

 

「そうね。。。いずれ、その一室に私の両親にきてもらうし。。。」

 

 

 

そう、優子が出産するので、優子の両親に共同住宅に来てもらう予定なのだ。

 

ま、トイレ・風呂・キッチン・洋室2間で手狭だが。。。

 

まだ実家を売る予定はないし、、、必要最低限の家具だけ持って、移り住んでもらう。。。

 

 

 

もちろん、優子の両親の快諾は得ている。

 

ほら、一夫多妻だから、生まれてくる子供に、私達(=ヨメンズ、孝)じゃ、正常の夫婦の形を見せてあげられないのだよ。。。

 

加えて、優子も初めての出産だし、私も瀬名も孝も、初めての子育てなので、優子の両親のサポートは不可欠なのだ。。。

 

 

 

ということで、、、これも、幸代准教授に交換条件に呑ませたのだ(第177話)。。。

 

ただし、、、優子の両親の一室については、100分の1の男性本人及び妻の特典はなく、実費で支払ってもらう必要があるが。。。

 

 

 

 

 

また、再来年は瀬名か私が出産予定なので、さらに一室、瀬名か私の両親の部屋を、幸代准教授に準備してもらう。

 

(勝ち誇った笑い)がはは。。。

 

これも、瀬名が幸代准教授に呑ませたのだよ(第177話)。。。

 

私も孝も笑いをこらえるのに必死だった。。。

 

 

 

 

 

そして3年後、もしI大に講師として戻ることができたなら、さらに一室、両親の部屋を撫山教授に用意してもらう。

 

(さらに勝ち誇った笑い)がはは。。。

 

これも瀬名が撫山教授に呑ませたのだ(第177話)。。。

 

 

 

 

 

そう、『我が家で最強なのは瀬名』なのだ(第94話)!

 

『瀬名だけは怒らせてならない』のだ!!

 

 

 

がはは。。。

 

 

 

 

 






ちなみに、孝が40歳になったら、共同住宅に出ることも残ることも可能だ。

 

しかし、孝はこう言っている。


「もう、塀に囲まれた生活は御免です。」

 

 

 

そう、ヨメンズも結婚して6年、ずっと、I大の2,3mの高い塀に囲まれた生活を送ったので、まっぴらごめんなのだ。。。

 

今のところ、孝が40歳になったら、共同住宅を出て、家を建てる計画でいる。。。

 

 

 

しかし、、、ヨメンズ一人が一人の子供を産んだとしても、家族は7人になる。

 

これで、ヨメンズと孝の家族を呼ぶと、15人の家族となる。


さらに、ヨメンズ一人が二人の子供を産んだりしたら、、、家族は18人となる。

 

つまり、とても大きな家が必要となる。。。

 

 

 

なので、実は5年前に就職してから、少しずつ貯金している。

 

結婚した時にもらった250万円(第85話)はいくらか使ったのだが、実は現在、250万円よりはるかに貯金がある。

 

しかし、15人以上の家族を収容する家を購入費用となると、、、

ローンの頭金としても、まだ足らない。

 

私も来年はNOH大の助教になる予定だ。

 

15人以上の家族を収容する家を建てるため、ヨメンズと孝はお金を貯める予定だ。

 

ま、ヨメンズと孝の実家にはその旨を伝え、協力を快諾してくれている。

 

特に、孫が生まれる、優子の両親は乗り気だ。

 

 

 

(次話に続く)


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