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第158話 孝の学会発表(その1) ー準備ー

今話からしばらく、孝が学会発表した話を展開予定です。


学会発表と言っても、あまり分かりにくい話は避けたつもりです。

実は学会以外のトピックスがメインというか、ほとんどになっております。

なので、お付き合い願います。


そして、学会発表にて、主人公の愛唯(メイ)と孝は、複数の重要人物に出会う予定です。

その重要人物達との出会いが、愛唯(メイ)と孝の人生を大きく変えていくことになります。


私は大学院に進学して、100分の1の男性の妻の特典を受けた。

優子と瀬名が働いており、私とバカ(=孝)は学生ということで、第127話の里子達の特典と同じとなる。

すなわち、

 給付型奨学金50万円×2人+授業料全額免除×2人

 +(給付金50万円+社会保険料半額免除)×1人

 +食費および光熱費を含む住宅費の補助75%

の補助を受けることになった。

そう、給付型奨学金50万円と授業料全額免除を受けた。


これに、『IT特別ヘルプ』のバイト(第153話)をしているから、ようやく肩身の狭さからは解放された。

もちろん、収入は優子や瀬名の方が、断然多いけど。。。

 

 

 

第134話でも話したが、I大では修士には授業の単位と研究の単位を取らなけばならない。

ここで、授業の単位は、修士1年の上半期で取り終えないといけないんだ。

 

ということで、撫山研究室での研究活動は4月に入って、少しセーブしている。

まあ、3月末までがキツカッタんだけど。。。

 

そして、撫山教授からも、バカ(=孝)からも、7月の夏休みに入るまで、無理にバカ(=孝)を手伝わないように、きつく言われている。

 

実際、6月末までは撫山教授は私にはあまり大量の作業指示はしなかった。

 

修士2年になったバカ(=孝)には作業指示は大量だったけど。

 

でも、バカ(=孝)は7月の夏休みに入るまでは、絶対に私に手伝わせなかった。

午後9時には絶対、私は共同住宅に帰らなくてはならなかった。

 

そして、バカ(=孝)一人で、研究室を徹夜して作業していた。

 

 

 

その代わりと言っちゃなんだけど、『ナイトメア・フライデー』で金曜日の夕方には、撫山教授は私にも山ほどの作業指示があってね、土曜日朝まで、バカ(=孝)と二人で徹夜作業だったよ。。。

 

金曜日の夜は、バカ(=孝)は手伝うのを許してくれた。

 

ま、7月になり、夏休みになると、私にも大量の作業指示をするようになり、週2回は徹夜作業になったかな。。。

 

そう、4月から6月末までは、少しゆっくりさせてもらった。。。

 

今となっては、あの日々が懐かしい。。。そう、それからは『地獄の日々』だった。。。

 

 

 

 

 

そして、2月までは進捗が芳しくなかったバカ(=孝)の研究は、撫山教授の指導により、7月くらいには少しずつだが進捗がみられるようになった。

 

そして、、、バカ(=孝)も少しずつだが、笑顔が戻っていった。

 

 

 

ところで、何度も言うように、修士を卒業するには、授業の単位と、研究の単位の両方を取得する必要がある。

 

またまた何度も言うように、授業の単位はI大の場合は修士1年の上半期でほとんど取れるようにカリキュラムが組まれている。

 

そして残りの1年半で研究の単位を取るのだが、I大の場合、研究の単位とは少なくとも1回の学会発表が必要なんだ。ま、不文律なんだけど。。。

 

そう、修士2年間の間で、修士論文発表の前に、その内容を学会発表しなければならないんだ。

 

修士論文発表が2月なので、修士2年の秋から冬までに学会発表を行う必要があった。

 

 

 

8月の前半だったと思う。

 

研究室に撫山教授がやってきて、笑顔でバカ(=孝)に語り掛けた。

 

「孝君、今年の12月上旬で、BB市で開かれる予定の学会発表に参加しないか?」

 

 

 

撫山教授は続ける。

 

「(旅行の自由のない)100分の1の男性の学会発表は、

 これまでずっとオンラインのみだった。

  

 でも、この学会は、特別に実証実験として、

 100分の1の男性でもBB市のPF地区まで旅行して学会発表するんだ。」

 

 

 

撫山教授はさらに続けた。

 

「しかも、旅費及び宿泊費は、今回だけ特例で、

 スポンサー企業からの補助により割安となっている。

  

 学会発表しない家族についても、

 今回だけ特例で旅費や宿泊費の補助が出ることになっている。

  

 加えて、学会の翌日にはBB市の観光もオプションでついている。

  

 孝君、君、愛唯君や優子君や瀬名君と一度も旅行してないだろ?

 新婚旅行の代わりにどうだ?」

 

 

 

バカ(=孝)は顔を輝かせながら答えた。

 

「もちろん! 行きたいです!!」

 

 

 

バカ(=孝)の隣に座っていた私もうれしかった。

 

やっと、バカ(=孝)と旅行に行けるんだ!!

 

 

 

その日の夜、共同住宅で、バカ(=孝)の学会発表でBB市に旅行に行けると、優子と瀬名に言うと、二人とも大喜びだった。


優子はバンザイしながら叫んだ。


「やったー! やっと、孝と旅行に行ける!!」




瀬名もとてもうれしそうに叫んだ。

  

「当日は絶対休暇を取って、BB市に行くわよ!」




優子は瀬名にうなずき叫んだ。

  

「もち!」

 

 

 

 

 

こうして、筆頭著者はバカ(=孝)、二番目の著者に私、研究責任者に撫山教授の学会発表に応募することが決まった。

申込期限は9月半ばだ。


まあ、これが『地獄の始まり』だったんだけど。。。まったく。。。

 

 

 

その日から、バカ(=孝)、そして私も、撫山教授の強い指導にあった。

週の半分は徹夜となった。

 

 

 

何度も実験と論理構成をやり直し、学会発表できるレベルとして撫山教授が認めたのが9月上旬だった。

 

査読用の原稿は9月半ば締め切りギリギリまで掛かった。

撫山教授に何度もダメ出しを喰らって何とか提出した。

 

もう、間に合わないじゃないかと思った。。。

 

最後の1週間は5徹だった。

 

まったく、、、撫山教授、寝不足は美容の大敵だっつーの!

 

 

 



9月半ばに提出した原稿の採択可否を通知は10月上旬だった。

 

『その間、のんびりできるか?』と言えば、そうでもなくって、撫山教授から一喝されました。


「査読用原稿作成で滞った部分を取り返さないか!」

 

 

ってことで、やっぱり、週の半分は徹夜で滞っていた部分をリカバーした。

 

 

 



無事、採択通知を10月上旬に受け取って、最終原稿を10月下旬に提出した。

 

その最終原稿には、追加実験結果も追加することになり、

追加実験結果の考察内容が学会発表レベルと撫山教授が認めるまで大変だった。

 

また、最終原稿も「これを多くの人が読むんだぞ!」って何度もダメ出しを喰らって、やっぱり提出期限ギリギリで何とか提出した。

 

最後は3徹だった。。。

 

 

 



11月上旬の2週間は、やっぱり「最終原稿作成で滞った部分を取り返せ!」ってことで、週の半分は徹夜となった。

 

 

 



11月中旬から12月上旬まで、研究概要を5分間に要約したパワーポイントのスライド作成と、および研究詳細を記した約2m四方のポスターを製作した。

 

研究概要を5分間のビデオで学会の大会サイトと大会会場で流され、詳細はポスターセッションで発表する予定だ。

 

 

 

これも、大変だった。。。

 

撫山教授に何度もダメ出し喰らいながら、なんとか教授のOKをもらった。

 

最後の1週間は5徹だった。

 

だからね。。。何度も言うけど。。。

撫山教授、寝不足は美容の大敵だっつーの!

 

 

 

12月中旬、学会発表の前日の深夜11時に撫山教授はビデオとポスターを見て、不満そうだったが、口を開いた。

 

「まあ、しょうがない。これでいけ。」

 

 

 

撫山教授は続けた。

 

「研究概要のビデオは大会サイトにアップロードしておけ。

 明日、朝4時半にロータリーに迎えのバスが来る。

 それまでに旅行の準備をしておけ」

 

 

 



深夜11時を回っていたが、急いで研究概要のビデオを大会サイトにアップロードした。

いつもならこのまま研究室で寝泊まりするのだが、私もバカ(=孝)も着替えなくてはならないし、風呂にも入りたい。

だから、会場に持ち込むパソコンとポスターと共に、集合住宅に戻った。

 

まだ、優子と瀬名は起きていた。




優子が私に近づき、心配な表情で語り掛けた。


「いよいよ明日ね。。。」




私は申し訳ない表情で優子に語り掛けた。

  

「ごめん、これから風呂に入るけど、今回は風呂掃除は勘弁して。」




瀬名は苦笑いを浮かべて返した。

  

「良いわよ。そんなもの。。。」

 

 

 



こうして、私は風呂に入った。私の入浴後、バカ(=孝)が入浴した。

私は髪を乾かしたり、身支度をし、旅行カバンに着替えを詰め込んだ。

そして優子と瀬名と仮眠をとった。

 

バカ(=孝)は風呂から出ると、髭を剃ったり、身支度をし、旅行カバンに着替えを詰め込み、仮眠をとった。

 





朝3時半に起きると、私はスーツを着て、バカは背広を着た。

 

朝4時15分過ぎに、旅行カバンとパソコンとポスターを持って、共同住宅を離れた。

 

共同住宅を離れる際、優子と瀬名も起き出し、私達に声をかけた。

 



優子は苦笑いを浮かべて、私とバカ(=孝)に語り掛けた。


「じゃ、現地で。。。」




瀬名も苦笑いを浮かべて、私とバカ(=孝)に語り掛けた。


「私達(=優子と瀬名)は、夕方、合流するから。。。」

 

 

 

そう、優子と瀬名は休暇を取り、BB市で夕方、私達(=愛唯、孝)と合流する予定だ。

 

私は笑顔で答えた。


「わかった。。。」




孝も笑顔で答えた。

  

「いってきます。。。」

 

 



 

そして、私とバカ(=孝)はI大のロータリーまで歩いて行った。

 

今日は、バカ(=孝)の学会発表の日だ!

 

 

 

(次話に続く)


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