表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
148/265

第147話 新たな進路(その1) ー 緊急ヨメンズ会議 ー

新章「第6章 新たな進路、すなわち共に」を開始します。


RRFM社をやむなく退職した主人公の愛唯(メイ)は、新たな進路に進むことになります。


皆様、お付き合いくださると幸いです。





時は7月下旬、RRFM社の人事担当・穂菜美課長に社員証を返却して、共同住宅に帰った日に戻る(第143話)。

 

あの日は朝一番に緑主任と面談し(第136話~第138話)、その後、早川部長と門奈課長とやりあった(第139話、第140話)。

 

その後、緑主任と再度面談した(第141話~第143話)。

 

面談の結果、バカ(=孝)の拍子法行為(第74話)の相手が、緑主任だと確信した私は、バカ(=孝)を守るため、退職を決意し、人事担当・穂菜美課長に社員証を返却し、共同住宅に帰った。

 

 

 

共同住宅に帰ったのは、午前12時をちょっとすぎたあたりだった。あ、昼食は帰り道途中のコンビニで済ませた。

 

当然、共同住宅には誰もおらず、私はスーツを脱ぎ、ラフな格好に着替えた。

やることもなく、ただ漫然と、テレビを見ていた。

 

 

 

 

 

午前12時半を過ぎたあたりだったと思う。バカ(=孝)が共同住宅に帰ってきた。

 

バカ(=孝)は共同住宅で私を見かけると、驚き、声をかけた。

 

「あれ? 愛唯さん、どうして、今、ここにいるんですか?」

 

 

 

私は苦笑いを浮かべて答えた。

 

「ちょっと、部長と課長とやりあっちゃって。。。

 しばらく出社しないことにした。。。」

 

 

 

この時点では退職の旨を人事に伝えたことは言わなかった。

 

 

 

だって、、、

バカ(=孝)の拍子法行為の相手が、私の直接の上司だったなんて(第138話)、、、

とても言えなかった。。。

 

 

 

私は続ける。

 

「ところでさー、孝ー。

 どうして、この時間に共同住宅に帰っているの?」

 

 

 

孝は戸惑いながら、答える。

 

「ああ、、、

 愛唯さん、優子さん、瀬名さんが出勤した後、掃除をするんですが、

 最後にロボット掃除機を起動させて、研究室に行っているんですよ。。。

        

 でも、ロボット掃除機には掃除できないところがあるので、

 昼食の後、そんなところを掃除しているんです。。。」

 

 

 

私は笑顔で答える。

 

「そうか。。。 

 じゃあ、手伝うわ。。。

 しばらく出社しないから、孝の家事は一緒にやりましょう。。。」

 

 

 

こうして、私は掃除を手伝った。

 

 

 

 

 

掃除が終わると、バカ(=孝)は研究室へ戻っていった。

 

研究室に戻る際、私はバカ(=孝)に声をかけた。

 

「孝ー。撫山先生に相談したくってさー。撫山先生に頼んでくれない?」

 

 

 

撫山教授には、バカ(=孝)の拍子法行為の相手が私の直接の上司であり、かつ彼の教え子だったと伝えるべきだと思ったから。。。

 

バカ(=孝)は戸惑いながらも、「わかりました」と言って、研究室へ向かった。

 

 

 

 

 

午後3時過ぎだったと思う。

 

バカ(孝)から連絡があったらしく、優子と瀬名が慌てて帰宅した。

 

彼女達は午後休暇を取ってくれたという。

 

前日も休暇を取ってくれたというのに(第134話)、本当にありがたかった。

 

そして、そのまま、緊急ヨメンズ会議となった。。。

 

 

 

 

 

優子は戸惑いながら口を開いた。

 

「愛唯。部長と課長とやりあったんだって?」

 

 

 

瀬名が戸惑いながら続く。

 

「しばらく、出勤しないんですか?」

 

 

 

私は正直に答えた。

 

「ああ、部長と課長とやりあった。。。

 (第139話、第140話)

 

 でも、その過程で私の直属の上司が、

 バカ(=孝)の拍子法行為の相手だって分かったんだ。。。

 

 しかも、その上司はEC大時代の撫山先生の教え子だったんだ。。。

 

 彼女もそれについて、勘づいた。

 (第143話)

 

 とっさに嘘をついてごまかしたが、EC大出の才媛だから、

 いずれ嘘は見破ると思う。。。

 (第129話)


 だから、バカ(=孝)を守るため、人事に退職の意思を伝えた。。。」

 (第143話)

 

 

 



優子と瀬名は、バカ(=孝)の拍子法行為が、私の直属の上司(=緑主任)であったことに驚いた。

二人とも絶句していた。

 

しばらくして、瀬名は戸惑いながら、優子に向かって問う。

 

「あのウイルスで夫と子供を全て亡くした女性が約1千万人で、、、

 100分の1の男性は数十万人でしょ?

  

 撫山先生の研究室に所属していた人なんて、

 EC大時代とI大時代を含めても、数十人、

 どんなに多くても、せいぜい数百人ってレベルでしょ?

  

 旦那様の拍子法行為の相手が、同じ撫山先生の教え子なんて、

 ありえるの?」

 

 

 

優子は戸惑いながら答える。

 

「ありえないわよ。。。そんなもん。。。」

 

 

 

優子は戸惑いながら、なおも続ける。

  

「しかも、RRFM社って従業員が日本で数万人でしょ?

  

 その数万人のうち、孝の拍子法行為の相手が、

 愛唯の直属の上司になること自体、あり得ないわ。。。

  

 RRFM社って私の会社の親会社だけど、部署だけでも数百あるのよ!

 しかも、一つの部署には数百人の従業員がいるのよ!

 あり得ないわ!

    

 あり得ないことが重なりすぎている!

 これは、もう、『何者かの導き』としか考えられない!!」

 

 

 



私は戸惑い問うた。

 

「『何者かの導き』って?」

  

 

 

優子は戸惑いながら答えた。

 

「孝を守るために、出自を辿らせないために、

 愛唯はRRFM社を退職せざる得ない。。。

  

 愛唯がRRFM社を退職するのは『正解』よ。

  

 でも、新卒で入社して、数か月で辞めたんじゃ、

 再就職先で退職の理由を話さざるを得ない。。。

  

 となると、

 愛唯は100分の1の男性の妻であることを明かさなくてはならないから、

 100分の1の男性の妻に対する偏見を再び受ける可能性が高い。。。

  

 つまり、『今すぐの再就職はよろしくない』。。。

  

 再就職するにしても、少なくとも、『一旦大学院へ行って』、それからね。。。

  

 大学院に行ってから、再就職するなら、就職活動や就職後も事情を聞かれた時、

  『大学院に行きたくなったから』

 って言い訳ができるから。。。」

 

 

 

私は問うた。

 

「つまり、『何者か』は私に『大学院に行け』って?」

  

  

  

優子はうなずき、私を見つめ、答えた。

  

「そういうことだと思う。。。

 それに、あんた(=愛唯)、『大学院に行きたかったんだろ?』

 少なくとも、4月に就職してから、ずっと悩んでいたんじゃない?」

 

 

 

私は驚いた。

 

「わかる?」

 

 

 

優子はあきれて返した。

  

「何年、あんた(=愛唯)と友人として、

 付き合ってきたって思っているのよ。。。」

 

 

 

 

 

そう、ずっと、、、悩んでいたんだ。。。

 

私はヨメンズの中で『最初にバカ(=孝)の子供を産みたかったから就職した』(第99話)。

でも、それは『間違い』ではなかったのか?と。。。

 

 

 

バカ(=孝)が大学に軟禁されてしまった2年生の3月(第11話~第14話)、私は『見栄やプライドに拘る』あまり、バカ(=孝)への思いを否定し続けた。

 

その結果、孤独と誹謗中傷に追い込まれてゆくバカ(=孝)を傍観し、バカ(=孝)は自殺を図った(第15話)。

 

 

 

私がヨメンズの中で最初のバカ(=孝)の子供を産みたいのは、私の『プライド』からだ。。。


もしかして、私はまた、

 『つまらぬプライドに拘って、同じ過ちを繰り返しているのではないか?』

って、ずっと悩んでいたんだ。。。

 

 

 

 

 

ヨメンズ内の孝への貢献も、大学を卒業してしまうと、『私は優子や瀬名と比べて劣る』んだ。

 

優子や瀬名は、時々、差し入れをするんだ。




優子は先日、昼食を差し入れした。


「昼食作っておいたから、冷蔵庫にしまってあるから、昼ご飯に食べて。」




瀬名も先日、お菓子を差し入れた。


「お菓子作っておきました。研究室で休憩するときに食べてください。」

 

 

 

こんな感じに。でも、私ったら、料理下手だから、こんな内助の功はできないんだ。






もちろん、バカ(=孝)はそんなことは気にしちゃいない。

 

「何言っているんですか?

 愛唯さんも家計を支えてくれているじゃないですか?

  

 僕が大学院に進学できるのも、愛唯さん、優子さん、瀬名さんが

 働いてくれているおかげなんですから。。。」

 

 

 

だが、家計を支えているのは私だけでなく、優子も瀬名も同じだ。

今は、3年生の時に恋人として付き合った貯金があるから、ヨメンズの中で私が一番かもしれない。

でも、このままでは『いずれ負けてしまう』。。。

 

それに、100分の1の男性には、給付型奨学金、授業料免除、食費や光熱費を含む寮費免除があり、贅沢をしなければやっていけるのだ。

 





話を戻すと、私がヨメンズの中で一番であり続けるには、バカ(=孝)のそばにいて、『ずっと支え続けることじゃないかって悩んでいた』んだ。。。

 

つまり、『私も大学院に進学して、バカ(=孝)と共に歩むべきだった』んじゃないかって悩んでいたんだ。。。

 

そう、本当は卒業研究が終わった4年生の2月から(第112話)、ずっと、そのことで悩んでいたんだ。。。

 

 

 

 

 

そして、就職して、職場に配属されて、よくわかったことがある。

それは、私はやっぱり『行動力だけのバカ』であることを。。。

 

近くにバカ(=孝)がいないと、私は全く役に立たないんだ(第130話)。。。

近くにバカ(=孝)がいないと、私はダメなんだ。。。

 

そう、就職して、職場に配属されてから、私はバカ(=孝)と共に大学院進学すべきだったんじゃないかと、『悩みを強くしていた』んだ。。。

 

 

 

 

 

ヨメンズ会議の途中にバカ(=孝)から、私のスマホに電話があった。

バカ(=孝)は撫山先生とのアポを取ったとのことだった。

 

私は次の日の朝10時に、撫山教授の個室を訪ねることにした。

 

 

 

(次話に続く)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ