第134話 愛唯の有給休暇(その1) ー愛唯、キャラで悩むー
結婚がバレて配属先でいじめられた日(第131話)の翌日、私は有給休暇を取った。
優子も朝、会社に電話を掛けて、急遽、有給休暇を取ってくれた。
7月も下旬になり学校も夏休みになった。
「授業はないから」ってことで、瀬名も朝、赴任先の学校に電話をして、休暇を取ってくれた。
バカ(=孝)も、大学が夏休みに入り、「授業がない」ということで、撫山教授に事情を話して、オフにした。
ああ、I大の修士課程は授業の単位と研究の単位があり、授業の単位は修士1年の上半期にほとんど取得することになっている。
もちろん、大学院の授業に参加しながら、大量の論文をこれまで読んでいたが。。。
つまり、研究の単位の取得、つまり研究活動の本格化は修士1年の下半期からとなる。
I大では、修士1年の夏休みから、研究活動をスタートさせるのが通例だ。
当然、研究テーマも決まっている。どうも、修士進学と共に撫山教授と話し合い、6月頃、研究テーマを決めたらしい。
つまり、修士1年の夏休みから、大学院生は『忙しくなる』のだが、、、
私が職場でいじめられたと聞いて、撫山教授も「仕方が無かろう」ということで、
バカ(=孝)が今日1日、オフにすることを認めたって訳。。。
そう、優子、瀬名、バカ(=孝)は、私のために、休暇を取ってくれたって訳。。。
うれしかった。。。
私達(=ヨメンズ、孝)は、数百万都市のNOH市の繁華街に出掛けた。
まず、私が好きなプラネタリウムへ行った(第115話)。
私はバカ(=孝)の横に座り、プラネタリウムの映す夜空を楽しんだ。
本当は、優子と瀬名はプラネタリウムはあまり好きじゃない(第116話)。
でも、今回は私のために、一緒にプラネタリウムに行った。ありがたかった。
プラネタリウムの後は、バカ(=孝)と手をつないで歩いた。
本当は離れて座って人が手をつないで歩くのがルールだが(第115話)、
「今日だけ特別」ってことで、手をつないで歩かせてもらった。
その後は百貨店に移動して、ヨメンズはショッピングを楽しんだ。
え? ああ、バカ(=孝)は、ヨメンズの後ろについて、荷物運びだったよ。
いろいろヨメンズが服を買ったので、多くの紙袋をぶら下げて、重そうに歩いていた。。。
がはは。。。
食事は百貨店のレストラン街に行き、
「やっぱ、NOH市のソールフードは鰻料理のRTSだよね!」ってことで、
RTSの有名レストランで食事をした。
RTSを食しながら、私はバカ(=孝)に話しかけた。
「孝ー。
私ね、職場の先輩達から、
『あんた、かわいいだけね!』
って言われるんだ。
職場では、『かわいくて、気品ある、お嬢さん』キャラだったのが
悪かったのかな?」
すると、バカ(=孝)が答える前に、優子があきれて答えた。
「そんなもん、あんた本来の『ガサツ』なキャラでいたとしても、
『あんた、本当にガサツね!』って言われるだけよ。。。」
バカ(=孝)が微笑んで答える。
「もし、僕が愛唯さんと同じ職場にいたら、
多分、
『君、本当に頭だけだな!』
って、罵られると思います。。。」
瀬名も答えた。
「結局、どんなキャラでも言われると思います。」
私はため息をついた。
そう、瀬名の言うとおりだ。
どんなキャラでも結局は言われてしまっただろう。。。
私は更にバカ(=孝)に問うた。
「それじゃあさ、孝。
『かわいくて気品のあるお嬢さん』な私と
『男勝りでズボラでガサツ』な私で、
どっちが好き?」
バカ(=孝)は苦笑いを浮かべて答えた。
「あれ? 一度言いませんでしたっけ?
確かに、パンデミック前の
『かわいくて気品のあるお嬢さん』な愛唯さんには憧れてました。。。
でも、今の『男勝りでズボラでガサツ』な愛唯さんの方が、
面白いから、こっちの方が好きだって(第30話)。。。」
優子も微笑み同意する。
「そうね。
以前の『かわいくて気品のあるお嬢さん』な
あんた(=愛唯)も悪くないとは思う。
でも、今の『男勝りでズボラでガサツ』なあんた(=愛唯)の方が、
私(=優子)は好きだなー(第26話)。」
瀬名も微笑みうなずく。
「そうね。私も今の愛唯さんの方が好き(第25話)。」
私は再びため息をついた。
『かわいくて気品のあるお嬢さん』は憧れだ。
だが、それを目指すことに意味はあるのだろうか?と。。。
バカ(=孝)は微笑み、私に語る。
「ま、パンデミックの前の『かわいくて気品のあるお嬢さん』な愛唯さんには、
聡君を除く、CCコース入学直後、
多くの男子クラスメートが憧れていました(第30話)。
だから、
『かわいくて気品のあるお嬢さん』を目指すことは悪いことではないですよ。」
私は驚く。
「え?」
そしてバカ(=孝)は優子にも語る。
「そして、優子さんに憧れた男子クラスメートも多かったですね。。。」
優子も驚く
「え?」
バカ(=孝)は続けた。
「で、男子クラスメート同士、入学当初ですけど、
お嬢さん系の愛唯さんと、セクシー系の優子さんのどっちがいいかって、
論争になったことがあったんです。
愛唯さんと優子さんに憧れた男子クラスメートが
ほぼ同数ってところでした。。。」
私と優子は笑った。
「がはは。。。」
「ふふふ。。。」
バカ(=孝)はさらに続けた。
「でも、しばらく経って、お二人に恋人がいるってわかり、、、
つまり、愛唯さんには健司さんという恋人がいて、
優子さんには翔さんという恋人がいるってわかって、
『やけ酒大会』になりました。
まだ、あのとき、未成年でしたけど。。。」
私と優子は顔を天井に向け、大声で笑った。
「がはは!」
「ふふふ! それは悪いことしちゃったわね。。。」
バカ(=孝)は笑顔で瀬名にも語った。
「瀬名さん。
愛唯さんと優子さんほどではないのですが、
それでも瀬名さんにも憧れた男子クラスメートが数人いたんですよ。」
瀬名は驚く。
「えー!?」
バカ(=孝)は続ける。
「瀬名さんの、清楚で知的でかわいいところが良いって。。。
でも、瀬名さん、内気だから。。。
なかなかきっかけが掴めないって嘆いていました。。。」
私は笑いながら、バカ(=孝)に問うた。
「がはは。。。
孝~。瀬名に憧れていた男子クラスメートって誰?」
バカ(=孝)も笑いながら答えた。
「ははは。。。
○○君、××君、△△君です。。。
特に○○君はぞっこんでした。。。」
優子は笑いながら瀬名に問うた。
「ふふふ。。。
瀬名。それ気付いてた?」
瀬名も笑いながら、顔を横に振り、答えた。
「ははは。。。
全然、気付かなかった!
そういえば、○○君、たまに話し掛けてきた。。。
あれはそういうことだったの?
モッタイナイことしちゃった。。。」
私は笑いながら瀬名に語った。
「がはは。。。。
じゃあ、瀬名の気持ちに気付かなかった、バカ(=孝)を責められないな?」
(第11話、第80話、第90話)
瀬名は笑いながら、頷いた。
瀬名 :「ははは。。。
確かに!」
4人は笑って、そして共同住宅に帰りました。
(次話に続く)
次話も「愛唯の有給休暇」ですが、今話も次話も、決して小休止って訳ではありません。