第101話 次の年のプールデート(その2) ーヨメンズ、里子を誘うー
(前話からの続き)
プールデッキに座る里子は問う。
「話って?」
プールデッキに座る優子が答えた。
「今回、ヨメンズと孝は、
あんた達(=里子、浩司)の集団デートに便乗して、
プールデートに来たんだけど。。。
本当は、あんた達(=里子、浩司)の(恋の)進展状況を確認して、
順調そうなら、里子、
あんたを私達(=ヨメンズ)の計画に誘いたくってさ。。。」
里子は戸惑う。
「計画って?」
プールデッキに座る瀬名が語る。
「旦那様(=孝)や浩司君をはじめとした100分の1の男性には
『永遠の試練』があるわ(第71話)。」
里子は暗い表情で頷く。
「そうだった。。。」
瀬名は続ける。
「『永遠の試練』から守るには、一つの方法として、
100分の1の男性が重要な人物になること(第76話)なんだけど、
それは容易なことではないわ。
もう一つの方法は、私達、100分の1の男性の妻が、
100分の1の男性と社会とをつなぐ『懸け橋』になることなの(第77話)。」
プールデックに座るバカ(=孝)が補足する。
「僕達、100分の1の男性は、学校か企業に軟禁されてますから、
社会との繋がりがほとんどないし、作れません。。。
だから、どうしても、
社会との繋がりは、妻に依存せざるを得ません。。。」
プールデッキに座る私(=愛唯)が里子に語った。
「だからね。。。
里子、あなた、浩司君と社会との『懸け橋』となってくれない?
そして、ここからが本題なんだけど、
『懸け橋』同士で、私達(=ヨメンズ)と連携しない?
『懸け橋』が多ければ多いほど、
浩司君と孝を守るチカラが強くなるんだし。。。」
そう、第98話の『計画』とは、バカ(=孝)以外の100分の1の男性の妻との連携だったのだ。
里子は微笑み、あっさり受け入れた。
「そういうこと。。。
浩司を守るためなら、喜んで連携させてもらうよ。」
里子は思案顔になり、問うた。
「ところで、『懸け橋』は多ければ多いほど良いんだろ?
私達(=里子、浩司)以外に、その話はしたの?」
私(=愛唯)は戸惑いながら答えた。
「それが、ほら、、、
学生結婚したの、まだ私達(=ヨメンズ、孝)を含めて、
4組しかなくって(第91話)、、、
しかも、私達以外、あまりうまくいっていないの。。。」
共同住宅に住んでいる他の3組の学生結婚した一夫多妻は上手くいっていない。
特に、私達の部屋の隣の大学1年生の妻4人の家族に至っては、実は1人離婚して、共同住宅を離れてしまっている。。。
私(=愛唯)は続ける。
「だから、、、話がしにくいんだよねー。。。」
里子はデッキサイドにすわりながら、空を見つめ、腕を組み、つぶやいた。
「そうか。。。一夫多妻って難しいんだ。。。」
優子はため息をつきながら、語る。
「そうね。。。
私達(=ヨメンズ、孝)も結婚当初は喧嘩ばっかでさー。。。
結婚生活が落ち着くのに、1か月近くかかったし(第92話~第97話)。。。」
瀬名もため息をつき、ぼやいた。
「も~、あんな生活、繰り返したくないわ。。。」
里子は苦笑いを浮かべて返す。
「まあ、参考になった。
もう、浩司のプロポーズは受ける気でいるからさ。。。
向こう(=プールサイドの反対側の)8名から、さらに絞る必要があるけど、
これからは、私も浩司と話し合いながら、誰が最適かを浩司と一緒に考えるよ。
優子、同じ研究室なんで、その時は相談に乗って。。。」
優子は微笑み返す。
「もちろんよ。。。」
そう、優子と里子は同じ研究室の所属だ。
ただ、私とバカ(=孝)の所属する撫山研究室と違って、あまり厳しい研究室ではない。
優子と里子の研究室の卒業研究は本格化するのは9月以降で、あまり会う機会はないとのことだ。
優子は語る。
「それにさー、あんたが結婚すれば、
私達(=ヨメンズ、孝)が住んでいる共同住宅に、
あんた達(=里子、浩司)も移り住むことになるからさー。。。
末永くお願いね。。。」
里子は笑って返す。
「ははは! そりゃそうだ。。。」
里子はふと思いついたように語る。
「ところでさ、、、
その『懸け橋』って、他の大学の人と結婚した人でもいいだろ?」
私(=愛唯)は戸惑いながら返す。
「もちろんだけど。。。」
里子は微笑んで語る。
「ヨシ!
久美子(第36話~第38話、第40話、第51話、第87話)にも声をかけておくよ。
彼女も結婚したしさ。。。」
バカ(=孝)は驚いた。
「えー!?
竜二君と久美子さん、結婚したんですか?
それはいつ?」
里子はうなずいて、答えた。
「ああ、、、4月末の連休直前に婚約して、5月の連休後に正式に結婚した。」
私(=愛唯)は戸惑う。
「でも、、、大学で知るものは、ほとんどいないわよ。。。」
里子があきれて返す。
「そりゃ、竜二はHW大に転校する前、
複数の女子学生に手を出していただろ(第36話~第40話)?
結婚したことがI大内に流れると、
久美子が、彼女達から、どんな目に遭うか分からないだろ?」
私(=愛唯)は納得する。
「それもそうか。。。じゃ、結婚パーティはHW大で?」
里子が返す。
「そういうこと!」
優子が怪訝な顔で里子に問うた。
「ところでさー。
I大学には久美子と竜二が結婚したことは流れていないんだろ?
じゃ、どうしてそんなこと、里子が知っているの?
確かに、里子と久美子は親しいけど。。。」
里子は顔色が曇ったが、口を開いた。
「まあ、私は結婚に至った、直接の原因を知っているんだ。」
優子がさらに問う。
「直接の原因って?」
里子は戸惑いながら、答えた。
「つまり、、、『他言無用』の件だ。。。」
私(=愛唯)は戸惑いながら問う。
「それって、、、まさか。。。」
里子はなおも戸惑いながら答えた。
「何度も言うが、『他言無用』だ。
でも、あんた達(=ヨメンズ、孝)なら、経験済みのことだから特別に話す。
竜二も『拍子法行為』に対応したんだ。
あれは、4月連休前のことだった。。。」
里子は竜二の拍子法行為について語りだした。
(次話に続く)