第100話 次の年のプールデート(その1) ーヨメンズ、孝をからかうー
季節はようやく梅雨も明けた7月下旬、ヨメンズとバカ(=孝)はプールデートとしゃれこんだ。
去年、つまり私(=愛唯)とバカ(=孝)は大学のプールに行っていた(第43話)。
だが、今年はなんと! NOH市の繁華街にある一流ホテルのプールへ行った!!
昨年同様、プールや海は、同伴者が女性の場合、通常は許可がおりない。
だが、昨年、バカ(=孝)が言っていたように、更衣室やお手洗いのセキュリティを強化したプールや海岸の模索が首都圏で行われていたが、この地方にもホテルのプールでそれが実現した。
このプールの安全対策は以下の通り。
・更衣室とお手洗いの出入口は従業員が立っている。
・プール自体は老若男女問わず、インターネットで1週間前までに予約が必要で、
その際に氏名・年齢・性別・住所・連絡先を登録する必要がある。
・予約後、プール側から登録内容に虚偽がないか、聞き取り調査がある。
・プールに入場する際には、身分証明書(運転免許証や保険証)の提示が必要。
・更衣室とお手洗いは、100分の1男性専用に設けてあり、
その中はAIによるカメラ監視付きだ。
数日以内に映像は消去される。監視されるのは恥ずかしいが、
バカ(=孝)は我慢してもらうよりしかたがない。
そこで、撫山教授から、
「安全対策が取られているのでよかろう。」
ってことで、許可を得たので、このホテルのプールに来たって訳!
女子更衣室でヨメンズは水着に着替え、水着姿の私(=愛唯)は優子に笑顔で語った。
「優子、またこの水着を着れるなんてね。。。
去年は下宿でバカ(=孝)をからかっただけだし。。。
ちゃんとしたプールでこの水着を着れるなんて。。。
去年はバカ(=孝)と大学のプールに行ったけど、
大学のプールはスクール水着だったし(第43話)。。。」
優子は更衣室でポーズをとりながら、笑顔で返した。
「そうね。。。
また、この水着を着れるなんて。。。もう3年ぶりか。。。
あの時は、あんた(=愛唯)と翔(=優子の亡き恋人)と健司(=愛唯の亡き恋人)と
一緒に海に行ったもんね。。。」
そう、私(=愛唯)と優子は、3年前、翔(=優子の亡き恋人)と健司(=愛唯の亡き恋人)と海に行った、私は紺のプランジングで、優子は黒のホルターネック・ビキニを着ていた。
優子は感慨深く語る。
「でも、、、3年ぶりに同じ水着だなんて、、、
よく3年も経って、体形変わらなかったね?」
私(=愛唯)は小さく笑って返した。
「がはは。。。それもそうね。。。
お互い、よくもまあ、体形変わらなかったよね?」
優子もうれしそうに小さく笑う。
「ふふふ。。。」
私は瀬名に語り掛ける。
「瀬名、もう着替え終わった?」
瀬名は花柄のワンピース水着を着ながら返す。
「もうちょっとかかる。。。もう少し待って~。。。」
私(=愛唯)は優子に向けて語った。
「じゃ、私、先にプールサイドに行ってる。。。
あのバカ(=孝)が心配だから。。。」
優子が頷きながら返した。
「うん、わかった。。。」
私は優子と瀬名より先に更衣室を出て、プールサイドまで歩いていくと、すでにバカ(=孝)が待っていた。
バカ(=孝)は、スクール水着でホテルのプールに行こうとしていたので、実は慌ててヨメンズが事前にコーディネートした。
全くこのバカ(=孝)は、結婚してもファッションに無頓着なのは、全く変化がない。。。
バカ(=孝)は黒のルーズスパッツに淡い青色のタンクトップだ。
バカ(=孝)は私を見るなり、顔が赤くなり、私から目を背けた。
私は昨年の当時の私の下宿で、私の水着をバカ(=孝)に見せたことを思い出した(第43話)。。。
まったく、このバカ(=孝)は、結婚しても、相変わらずウブな奴だ。。。
私はバカ(=孝)の背後に回り、抱き着いて、笑いながら、私の胸をバカの背中に密着させ、私の胸を上下に動かした。
「がはは!
(胸を動かしながら)ホレホレ♪
おい! バカ(=孝)! どうした?」
バカ(=孝)は顔が真っ赤にして悲鳴を上げる。
「愛唯さん! ヤメテー!!」
私はちょうど更衣室からプールサイドに出てきた優子と瀬名に目配せを送った。
すると、優子は笑って近づき、バカ(=孝)の右から抱き着き、からかった。
「ふふふ!
孝~、何そんなに恥ずかしがっているの~♪」
バカ(=孝)は抱き着いた優子に向って叫ぶ。
「優子さん、やめてください!」
瀬名も笑いながら近づき、バカ(=孝)の左側から抱き着き、からかった。
「ははは!
旦那様(=孝)~、私達(=ヨメンズ)の水着姿を見ただけで、
どうしてそんなに赤くなっているんですか~♪
そもそも、エッチナイトで、私達(=ヨメンズ)の裸なんて、
見慣れているじゃないですか~♪」
バカ(=孝)は、もう耳まで真っ赤になった顔を横に振りながら、答える。
「いや! それとこれとは、話が別です!!」
私は笑いながら、なおも、バカの背中に抱き着き、胸を上下に動かし、からかった。
「がはは!
(胸を動かしながら)ホレホレ♪。。。
何が別だって言うわけ~♪」
優子、瀬名も続く。
「ふふふ! そうよ、孝、ちゃんと説明してよ~♪」
「ははは! そうですよ~、旦那様(=孝)~♪
説明していただけないと、私達(=ヨメンズ)、困っちゃいます~♪」
バカ(=孝)は、真っ赤になった顔を横に振って、叫ぶ。
「愛唯さん、優子さん、瀬名さん、、、もうヤメテ―!」
後の瀬名:「これ、毎年、夏の定番になったよね。。。」
後の優子:「結婚して何年たっても、
孝のウブなところは変わらなくって、、、」
後の愛唯:「毎年夏はプールに行って、水着姿になって、
バカ(=孝)をからかうってのが、恒例行事になった。。。
からかうのが面白いから、、、
どんどん私達(=ヨメンズ)の水着が派手になってさー。。。
優子の水着なんて、ものすごく過激になったよねー。」
後の優子:「何言ってんの!
あんた(=愛唯)の水着だって、過激になっていったじゃない!!」
後の愛唯:「がはは。。。それもそうね。。。
でも、、、瀬名、あんたの水着はあまり変わらなかったよね?」
後の瀬名:「私、痩せ身なので。。。」
後の愛唯:「・・・ゴメン。」
そうやって、ヨメンズがバカ(=孝)をからかっていると、里子のあきれた口調の声が聞こえた。
「(あきれた口調で)あんた達(=ヨメンズと孝)、何をしているの?
『プールに行きたいから、うち(=里子と浩司)の集団デートに便乗したい』
って言うから、許可したけど、迷惑かける気なら帰ってくれない?」
そう、本当は5人の付き添いがいるが、ヨメンズ3人では付き添いが足りない。
そこで里子と浩司君の集団デートに便乗したってわけ。。。
里子の声がした方向にヨメンズと孝は顔を向けた。
里子を見た私は、驚いて、こう言った。
「里子? ・・・だよね?」
そう、そこに立っていたのは、里子であって、里子ではなかったのだ。。。
第2話で述べたように、里子はいかつい顔で、威圧感があったんだけど、、、
柔らかい笑顔を浮かべる、1人の黒のタンクトップビキニの女の子が立っていたのだ。。。
里子ははっとした表情で語る。
「そうか!
この姿を見せるのは、あんた達(=ヨメンズと孝)には初めてだったね。。。
これが本当の私。」
そういえば、下宿の飲み会(第58話)で、バカ(=孝)が聡(=里子の亡き恋人)の話として、
『里子は男勝りにみえるかもしれない。。。
でもそれは里子の真の姿じゃない。。。』
と言っていた。
あれはこのことを指していたのか。。。
私達(=ヨメンズ、里子、孝)はプールサイドのデッキチェアに移動し、各々座った。
私は里子に問うた。
「驚いちゃったけど、、、
でも、どうして本当のあなた(=里子)を晒す気になったの?
たしか、下宿の飲み会で、
『今更、変えられなくて、男勝りをいつも演じている。』
って言っていたよね(第58話)?」
里子は照れくさそうに答える。
「それがね。。。浩司から怒られちゃって、、、
『一夫多妻を受け入れた時、
里子さんは、24時間365日、いかつい表情のままでいる気ですか!
2番目と3番目の妻になる人には、里子さんは素顔を晒さなきゃいけません。
集団デートの時は、里子さんは素顔を晒してください!』
って。。。」
ヨメンズは小さく笑ってうなずき、同時につぶやいた。
「「「確かに!」」」
里子は苦笑いを浮かべて続ける。
「だから、集団デートの時は、素顔のままで臨んだら、
今度は、CCコースのクラスメートとラクロス部のメンバーから怒られた。。。
CCコースのクラスメートからは、
『私達(=CCコースのクラスメート)に、
いかつい表情でいる必要はなかったでしょ!』
って怒られたし、、、
ラクロス部のメンバーからは、
『練習や試合のときはキャプテンとして、
いかつい表情でいるのは、やむを得ないけど、
それ以外の時は、いかつい表情でいる必要はない!』
って怒られちゃった。。。」
ヨメンズは大声で笑った。
「がはは!」
「ふふふ!」
「ははは!」
里子は柔らかな笑顔に戻って続ける。
「だから、、、
以前のいかつい表情の私は、部活をしている時だけ。。。
とても楽になった。。。」
バカ(=孝)は笑顔で里子に語った。
「里子さん、今の表情、素敵ですよ。
今、僕(=孝)は、聡君(=里子の亡き恋人)が里子さんを好きになり、
浩司君が里子さんに憧れた理由がわかりました。」
里子はふざけて、両手で頬を隠し、笑顔で返した。
「あら!」
バカ(=孝)の言うとおりだ。
聡(=里子の亡き恋人)が里子を恋人として付き合い、浩司君が里子に憧れたのは、本当の里子は、柔らかな笑顔をもつ、素敵な女の子だったからなのだ。。。
優子が話題を変えた。
「ところでさー、里子。
浩司君との恋の進展はどう?
特に浩司君の2番目、3番目の妻の選択は進んでいるの?」
里子は微笑み、私達が座っているデッキチェアのあるプールデッキとは、反対側のプールデッキに目を向ける。
「あの反対側にいる8人に絞られたわ。」
そこにはCCコース4年のクラスメート2名を含む、水着姿の8名の女の子と、浩司君がデッキチェアに座って会話をしていた。
それにしてもだ、、、優子は驚く。
「え?
5月の連休明けに、
CCコース4年生とラクロス部メンバと集団デートを
セッティングしたっていったよね(第98話)?
わずか2か月あまりで8人に絞ったの?」
里子は微笑み答えた。
「毎週のように、
CCコース4年生とラクロス部メンバを交互に
集団デートをしながら、すこしずつ絞ってね。。。」
私が問うた。
「CCコースでの交流会で、あんた(=里子)、
『浩司が選んだ女の子が、気に入らなければ結婚しない』
と言っていたけど、、、
どうなの? 絞った8名に不満はないの?」
里子は微笑み答えた。
「浩司、あの子、大学2年なのに人を見る目があるわ。
わたしでも、CCコース4年生とラクロス部メンバなら、あの8名から選ぶわ。
あの8名なら、誰を選んでも文句はないわ。」
瀬名が問うた。
「8名のうち、誰が有力なんですか?」
里子は困った表情で答える。
「うーん、、、
ここから先は、具体的に結婚後を想定して、
相性とか組み合わせを浩司は見ているみたい。
だから、誰が有力かなんて、現時点ではわからないわ。。。
少なくとも、最終的に選ばれなかったとしても、
それは本人自体の問題ではないってこと。」
私(=愛唯)は問うた。
「さっき、『誰を選んでも文句はない』と言ったけど、
つまり、浩司君のプロポーズを受け入れるってこと?」
里子は微笑んでうなずき、答えた。
「ええ、、、浩司は成績も良いしね。。。文句はないわ。。。」
私(=愛唯)は優子と瀬名を見た。二人とも無言でうなずいた。
私(=愛唯)は里子に真剣な表情で話しかけた。
「里子、話があるんだけどさー。」
(次話に続く)