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第99話 ヨメンズと孝の進路

前話の交流会(第98話)から2週間後、I大学は大学祭が行われた。


昨年はCCコースを屋台を行ったが(第38話)、今年は行わなかった。

まあ、そりゃ私達も4年生だったんでね、就活と卒業研究に忙しかったから。。。

 

 

 

でも、ヨメンズ(愛唯、優子、瀬名)にとって、大学祭はバカ(=孝)と二人きりでデートする少ないチャンスである。

ということで、大学祭のイベントは3人でじゃんけんで割り振った。コンサートは瀬名、ディスコは優子、映画は私だ。

バカ(=孝)と訪れた屋台も3人でエリアを決めて巡った。

 

ちなみに、、、ジャンケン最弱の私は、一番人気のなかった映画(まあ放映権の問題で10年以上前のアニメ映画だし)と、人気のなかったエリアとなった。。。

 

ち!

 

 

 

 

 

さて、6月早々になると、CCコースは4年生、修士2年生、博士3年生で、企業から内定を得た女子生徒が続出した。

第45話でも述べたが、40歳未満の男性が100分の1に激減したため、女子生徒は『空前の超売り手市場』なためだ。

特に技術系女子は顕著で、いわゆるリケジョは引っ張りダコだ。

最近では、高校でも理数系に進む女子が増えたらしい。

 

CCコースは文理融合学科であるが、IT技術を履修するため、企業は技術系女子として扱っていることもあり、I大学の中では企業への就職率がもともと高かったが、パンデミック後は更に高まった。。。

 

 

 

それで、撫山研究室の修士2年の先輩も大手メーカへの就職が決まった。

 

I大学は国立大学ではあるが有名大学ではないため、実は、パンデミック前は修士課程を出ても大企業の就職は難しかった。。。

しかもパンデミックによる大学閉鎖からの2年の留年のハンデがあるから(第1話)、彼女は就職について心配していた。。。

 

でも、蓋を開けてみると、『空前の技術系女子への売り手市場』であることが、追い風になってね。。。

 

しかも、撫山教授が国内では有名研究者(と言ってもI大に移籍する前のEC大時代のことだが)で、かつ文理融合のCCコースにあって、撫山研究室が最も理数系寄りの研究室ともあって、リケジョ扱いで大手メーカーへの就職が決まったってわけ。。。

 

もちろん、彼女は大喜びよ。「2年留年を受け入れて、頑張って良かった!」って涙を流していた。。。

 

 



 

それで、ヨメンズとバカ(=孝)の進路なんだけど、、、


優子はインターンシップに行った会社(第44話)の就職が早々に決まった。

インターンシップ先が適宜優子と連絡を取っており、優子も就職先として不満はないため、早々に就職が決まったってわけ。。。

 

瀬名はもちろん教員志望(第50話)。

でも、教員採用って狭き門なので、教員採用に漏れたら、大学院修士課程に進むことになっている。

つまり、今年の教員採用に漏れたら、2年後に教員採用に再チャレンジってわけ。。。

 

 

 

 

バカ(=孝)は大学院へ進学一本。でもバカ(=孝)は「修士を出たら、就職したい」って言っている。。。

本人曰く。


「専門性を高めて、100分の1の男性の就職難を突破するために、

 修士課程に進むのは仕方がないとしても、

 愛唯さん、優子さん、瀬名さんに

 養ってもらう期間が長くなるのは良くないと思う。」

 

 

 

でも、特別課題(第76話)をこなして磨いた頭なら、博士に進んでほしいと私個人は思っている。。。

そうは言っても、バカ(=孝)の気持ちも分からなくもない。。。

 

 

 

さて、バカ(=孝)の言うとおり、女子は空前の超売り手市場だが、100分の1の学生は就職難だ。

理由は第70話で述べたが、以下の通りだ。


  100分の1の男性の従業員を、誘拐や拉致から保護する義務が、

  企業に課せられている。

  つまり、企業は、男性従業員を雇うために、高い塀やセキュリティゲート等の

  コストを支払わなくてならない。

  したがって、男性を雇うコストは、女性を雇うコストより、

  必然的に高くなる。

  

  よって、企業はそのコストを嫌い、男性より女性を採用するケースが増え、

  男性の新卒採用率は極めて低くなる。

 

 

 

補足すると、100分の1の男性を保護するための施設を整えなくてはならないから、大企業はともかく、中小零細企業はハードルが極めて高い。

よって、中小零細企業からの100分の1男性の採用はほとんどゼロなのが実情だ。

   

もちろん、官庁からの通達で「採用にわたって、男性差別は行うな」とは言われている。

よって、露骨な男性差別はできないから、全体の100分の1くらいの採用は行う程度である。

 

しかし、毎年100人以上を採用する大企業はともかく、毎年数十人とか数人レベルの採用の中小零細企業の場合、採用する男性がゼロでも、官庁に対して「うちは採用人数がもとから少ないので、100分の1ならゼロになっても仕方がない」と申し訳ができるのだ。

 

そう、中小零細企業の場合、もともと100分の1の男性の採用の意思がなくても分からないのだ。

 

 

 

では、大企業への応募すれば採用されるか?といわれても、先述したとおり、I大学は国立大学ではあるが有名大学ではないため、学歴で篩を掛けられてしまう。。。

 

 

 

もう一つ、100分の1の男性の場合、安全対策を講じなくてはならないため、就職可能な職種や担当も限られる。

たとえば、外回りの営業は難しい。

 

 

 

よって、100分の1の男性を雇うコストや、職種が限定されることを考慮すれば、同じスキル・同じ人物評価なら、女性を採用する。

企業なら当然の判断だ。

 

結果として、男子の就職は極めて難しくなっている。

 

 

 

事実、I大学の4年生の男子学生はバカ(=孝)を含め3名だが、大学院進学希望のバカ(=孝)を除いた2名は一般企業就職希望だったんだが、、、

2名とも苦戦して、一般企業の就職はできなかった。。。

 

結局、2名のうち、1名は成績は悪くなく、彼は実学的な学科に所属していたので、

専門性を高めた方が就職に望みがあるとのことで、大学院進学に切り替えた。

 

 

 

あと1名は、、、所属していた学科は実学的でなく、専門性を高めても就職に有利なることはないこと、、、

またそもそも成績も悪く、大学院への進学は難しい状況にあって、、、

進路に行き詰まった。。。

 

実はね、、、彼は10人以上の恋人がいる、いわゆるハーレムを形成していたんだけど、、、その状況を見た恋人達は霧散して、数人しか残らなかった。。。

 

ヨメンズは「就職できないからって、(霧散した恋人達は)手のひら返して、冷たいよねー」って言っていたけど、バカ(=孝)は「事実は異なる」と言っていた。。。

 

 

 

100分の1の男性の就職難を見てね。

3年生以下の100分の1の男性は、入学した学科に適性がないと判断すると、

I大学を退学して、他大学を再受験したり、専門学校に通う子も少なくなかった。。。


そう、第98話で里子が結婚の条件の一つとして

  「まずは大学内の成績が優秀であること。

   優秀でないなら、とっとと他の大学を受けなおすこと。」

を掲げていたが、それは正しいのだ。


その方が、就職難を乗り切る可能性が高いから。。。

 

100分の1の男性の卒業後の進路って大変なんだ。。。

 

 

 

 

 

え、優子と瀬名とバカ(=孝)の進路はわかったけど、私(=愛唯)の進路はどうなったって?

 

実はさー、撫山教授が、『大学院進学を何度も勧めてきた』んだよねー。

 

私は大学院には行きたくない理由があるんだけど、その理由を直接には言いにくくってね。。。

作り笑いで以下のようにごまかしたのさ。。。

 

「いやー、

 2年まで落第スレスレの低空飛行していた私じゃ無理です~♪(プロローグ)」




とか、

  

「2年の2月なんて、

 留年寸前のところを撫山先生の温情で進級できたんですよ~♪(第2話、第8話)。


 そんな私じゃ無理無理。。。」

 



とか、、、

 

「ほら! 先生! 

 先生は私のこと『行動力だけのバカ』って、仰いましたよね~♪(第86話)

      

 『行動力だけのバカ』が大学院なんて行ったって、

 どうしようもないじゃないですか~♪」

 



こんな感じに、はぐらかし続けていたら、撫山教授は母に電話を掛けたらしい。。。

 

「私はどうしても愛唯君を大学院に進学させたい。


 私が責任もって指導するし、

 就職先もEC大時代の人脈から斡旋するので、

 愛唯君を説得してもらえませんか?」

 



って。。。

 

 

 

母から私のスマホに電話が掛かってきて、

 

「パンデミック前なら、大学院への進学は反対したけど、

 40歳未満の男性が100分の1となって、社会が変わってしまったわ。。。

        

 撫山先生がそこまで言うなら、大学院に進学したら?」

 



って。。。

 

 

 

仕方なくってね。。。

私が大学院に行きたくない本当の理由を母に話したんだ。。。

 

それは、『バカ(=孝)の一番最初の子供を産みたい』からなんだ。。。


そなみに、第96話の『絶対譲れない条件』とは、『私(=愛唯)がバカ(=孝)の一番最初の子供を生むこと』だ。

 

 

 

第96話で、私はヨメンズで平等を受け入れた。


でも、、、やっぱり、、、私がヨメンズの中で一番じゃなきゃ嫌なんだ!

 

平等を受け入れたからこそ、私がヨメンズの中で一番の証が欲しいんだ!!

 

形だけかもしれないけど、私がヨメンズの中で一番の証として、『バカ(=孝)の一番最初の子供を産みたい』んだ!!!

 

 

 

そもそも、私が一夫多妻を受け入れたのは、バカ(=孝)を拍子法行為から守るためだ(第79話、第80話)。

 

ヨメンズは3人なので、3年間はバカ(=孝)は拍子法行為を含む精子提供が免除される。

 

私が大学院に進学したら、修士で就職したとしても、社会の常識として2年は妊娠出産は避けた方が良い。

つまり、大学院進学したら、私が妊娠出産できるのは5,6年後となる。

 

となると、切れ目なくバカ(=孝)を拍子法行為から守るためには、一番最初の子供を産むことを放棄しなきゃならなくなる。

 

それはイヤなんだ!!!!

 

 

 

母にその旨を伝えてね。母はこう答えたよ。。。

 

「まあ、愛唯の気持ちもわかるから、

 私から撫山先生には上手く伝えておく。。。」

 

 

 

どうも、母からその日のうちに撫山教授に連絡が言ったようで、その日からピタリと大学院への進学の勧誘は無くなった。。。

 

 

 

で、、、私(=愛唯)は一般企業に就職することになったんだけど、、、


バカ(=孝)と離れて暮らすわけにはいかないし、バカ(=孝)は大学院に進学するので、来年以降もI大学の共同住宅に住むことになる。

つまり、就職先は地元企業ということになる。


優子がインターン先の企業を選んだのも、実はこれが理由。

 

ということで、私(=愛唯)もI大学に近いの地元の中小規模のIT会社に応募したら、『空前の技術系女子への売り手市場』ともあって、あっさり内定を得てしまった。

 

 

 

まあ、これで就活を終えてもよかったんだけど、、、一生の記念ってことで、、、地元の大企業も受けてみたんだよね~。


どこかって言うと、優子が内定を得た会社の親会社であるRRFM社を、冷やかし半分で受けてみた。

RRFM社は、世界でも業界トップを争う超一流企業で、従業員数は単独でも世界で数万人、連結を含めると世界で数十万人の超大企業だ。

 

何度も言っているように、I大学は国立大学ではあるが有名大学ではないため、RRFM社で採用されるのは、I大学全体で大学院を含めても年間で1人か2人しかいない。

 

まあ、受かるなんてハナッから思っていなくて、一生の記念として受けてみたんだよね。。。

 

 

 

当然、受かるなんて思っていないから、テキトーに受けたよ。

 

優子からはあきれて注意されたよ。。。

 

「あんた(=愛唯)さー。

 RRFM社から採用とりたきゃ、相当準備してないと受からないって話だよ?」

 



って。。。

 

 

 

でもね、なぜかわからないけど、、、

書類選考、一次面接、二次面接等を突破しちゃって、役員面接も突破しちゃって、内定を得ちゃったんだよね。。。

 

面接もテキトーに答えただけなんだけど。。。

 

ということで、卒業後はRRFM社に就職することにした。

 

 

 

撫山教授にRRFM社から内定を得たと報告したら、教授は目を丸くして、素っ頓狂な声を出して、驚いたよ。

  

「なに! 『RRFM社から内定をもらった』!?」

 

 

 

そして撫山教授は考え込んで、つぶやいたよ。

 

「うーん、、、まあ、『大丈夫だろう』。。。」

 

 

 

このときは、『まさか私(=愛唯)がRRFM社の内定なんてもらえる筈がない』って驚いて、『私(=愛唯)でも、RRFM社で働いても大丈夫だろう』って言ったんだと思ったんだけどね。。。

 

実はそうじゃなかったんだ。。。

今から思えば、撫山教授を問い詰めればよかったんだけど。。。

 

 

 

かなり先の話になるから、ちょっとだけ話すと、ヨメンズやバカ(=孝)がRRFM社に就職するのは『支障』があることを、撫山教授は知っていたんだ。。。

私がRRFM社に就職すれば、その『支障』が現実になる可能性があったため、撫山教授は驚いたんだ。。。


でも、撫山教授は思い直したんだ。たとえ、RRFM社にヨメンズまたはバカ(=孝)が就職したとしても、その『支障』が現実になる可能性は極めて低いから。。。

だから、大丈夫って言っていたんだ。。。


それが分かったのは、かなり先の話なんだけど。。。

 

でも、、、可能性が極めて低いことが、現実に生じちゃってね。。。

それは、私をはじめヨメンズとバカ(=孝)を驚かせ、そして撫山教授も驚かせることになる。。。

 

何度も言うけど、これはかなり先の話。













撫山教授が主人公の愛唯(メイ)に大学院の進学を勧めた理由については、かなり先になりますが触れる予定です。

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