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プロローグ ありふれた女子大生生活を送るはずだったのに

私の名前は愛唯(メイ)。I大学のCCコースに通う2年生だ。




同コースの定員は40名、女子は約半分の20名ほどだ。その中で美人の部類と自惚れてる。


身長は160cm弱。顔は色白。髪は黒のセミロングパーマ。

小さいころから、特に高校2年以降は、美人に憧れた。

ここまで磨くのは大変だった。


自分は、『かわいくて、気品のある、お嬢さん』と思っている。

しかし、弟の武から「男勝りで、がさつで、ズボラ」と言われ、憤慨している。




ああ、私には2歳年下の弟、武がおり、高校3年生だ。

私と違い、出来が良い。

たぶん、名門大学に合格するだろう。

帝大や有名私大も夢じゃない。

両親も弟には期待している。特に、母は溺愛している。




私?

はっきりいえば、『おバカな女子大生』だ。


だってな~、本当は高校で理数系を進みたかったのだが、

母がとても保守的だったんだ。


『女の子が理数系に進んじゃいけません』なんて、

文系を強制的に選択させられた。


まあ、ちょっと反抗して、すこし理数系の匂いのするI大学のCCコースに入学した。


それでも、本当に学びたい理数系ではなかったため、大学での勉強に熱が入らなくって、大学での成績はいつも落第スレスレの低空飛行している。




今の興味は、大学の勉強でなく、『オシャレ』と『遊び』と『恋人の健司』だ。




健司は優子からの紹介だった。


優子は私の中学時代からの親友で、高校も同じだったし、大学も同じだ。

しかも! 同じCCコースの2年生だ。


彼女も美人で、私が『お嬢様系美人』を目指しているが、彼女は『セクシー系美人』を目指している。


彼女も身長は160cm弱、顔は色白。

髪はすこし地味に茶色に染めたセミロングストレート。

彼女も私と同じく、『おバカな女子大生』だ。


彼女にも素敵な恋人、翔がいる。実は健司は翔の友人だ。




健司に話を戻そう。


彼は身長が高く(180cm超)、オシャレで、イケメンだ。

所作はエレガントで、彼の発する言葉は私の心を捉えて離さない。

私の自慢の恋人だ。

大学入学直後に優子から紹介され、私はたちまち恋に落ちた。


まあ、翔曰く、『健司は僕と同様、おバカ』とのことだが、それはお互い様だ。

そんなことは問題ではない。




健司とはデートを重ねた。

映画に、ショッピングに、遊園地に、海に、夜景に、レストランに。。。

私と優子と健司と翔でデートもしたことがある。

とても楽しかった。




2年の夏に花火大会の帰り、「卒業して2年後を目途に結婚しようよ」と言ってもらえた。


正式なプロポーズではないが、私はそのつもりだった。




健司は続けて、


「卒業して1年後に、ちゃんとプロポーズするから。

 その時の言葉をこれから考えるから。。。」



と言っていた。きっと、すばらしいプロポーズをしてくるのだろう。。。




私はこのまま、健司と結婚して、幸せな未来が来ることを疑わなかった。

あの10月が来るまでは。。。











大学2年生の10月、突然、凶悪なウイルスが発生した。

発症した患者の100%が死に至る、パンデミックが発生した。


このウイルスは不思議なことに、40歳未満の男性しか感染しない。

感染力が高く、全世界の40歳未満の男性のほぼ全員が感染した。

1か月の潜伏期間の後、発症し、1週間で死に至る。


ちなみに40歳以上の男性には感染しないし、女性にも感染しない。

この不思議な性質から生物兵器との噂が絶えない。


このウイルスの発生源は今でもわからない。

世界中が調べたが今も謎だ。

抑圧強権国家の生命兵器研究施設から漏れ出たものとの噂があった。

しかし、科学的にその証拠はない。

 

このパンデミックは世界中をパニックに陥れた、政府機関や企業などの組織は、40歳以下の男性をすべて失えば、その組織は崩壊してしまう。


特に、政府機関の場合は、無政府状態に陥ってしまう。


病院も40歳以下の男性をすべて失えば、病院も動かなくなってしまう。



 

この凶悪ウイルスに対応しなければ、100年後には人類が滅亡するとして、世界は「人類存亡の危機」として、人権など無視した政策を推し進めるより、他はなかった。


まずは、ほぼすべての国が「戒厳令」を布告した。


日本も滅茶苦茶な審議日程と論理で憲法を凍結し、「戒厳令」を可決成立・施行させた。


次に、地方公共団体を含む政府機関は、失われた40歳未満の男性の穴埋めとして、これまた無茶苦茶な法を通し、元職員を強制的に就労させた。


この中には私の母も含まれる。母は元県庁職員だったからだ。


母だけでなく、多くの定年退職後のOBに過重な労働を行わせたため、体調を崩したり、最悪亡くなった方も少なくなかった。



 

金融、食料品やエネルギーを含む物流も同様である。これらが止まってしまえば、経済がマヒし、やはり無政府状態に陥る恐れがあったからだ。。。

 


 

それだけでなく、企業から無理やり人材を集めた。

また、私が通う大学も教職員を強制的に政府や地方公共団体に働かせた。

そのために、無茶苦茶な法律を成立させ、施行した。


その結果、大学を含む学校は閉鎖に至った。


昨日まで企業に働いていたのに、翌日は警察・消防・自衛隊で働くという、滅茶苦茶だった。


本来なら、数か月を掛けて職場にて訓練や教育が必要だが、そのような期間も教育用の人員も割くのも困難であり、1か月程度の基礎訓練だけ実施して(ひどい場合は1週間程度)、あとは実践という効率も無視したやり方であった。


実は私を含む16歳以上の女子も、「学徒動員」として、わずかな日当で、役所や企業の事務処理や農業の手伝いをさせられた。


こんな無茶苦茶を何度も押し通し、なんとか、無政府状態や経済がマヒに陥ることだけは防いだ。。。






もう一つの問題は凶悪ウイルスに対する、特効薬あるいはワクチンの開発に難航したことにある。


正確には、特効薬やワクチンを開発する時間がなかったのだ。


各国は協力し、わずかに効果の認められた薬を見つけたが、それでも40歳未満の男性の中でわずか1%を救えたのみであった。



 

私の恋人(健司)と弟(武)は、その1%に入ることはなかった。



 

この物語は、パンデミック発生から1年と数か月後、ようやく大学が再開され、しばらくたったころから始まる。

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