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JKは魔王の嫁になる。  作者: かつらぎ
番外編
73/93

〜先語り〜魔王とJKの子、不思議な娘と出会う。(東国王太子視点)

テーマソングはエドシーランの、「Photograph 」で、どうぞ!!


活動報告に、登場人物紹介アップ済です。

「エルファス、なぜお前まで一緒に着いてくるんだ。」


王都から森までの草原には、心地良い風が吹いている。


隣の馬に乗っているのは、一つに縛った長く美しい黒髪を風になびかせ、紅い瞳を生活しやすい様に普段は緑に変えている僕の親友。まあ、この容姿じゃ瞳の色を変えても目立つんだけど。


「そんなの、俺の可愛い妹が・・・たとえハル、お前でも・・・男と2人きりになんてさせられるわけないだろ!!」


一応婚約者なんだけどな。それに、好きって気持ちはもちろんあるけど、彼女はまだ14歳だ。手なんて出したら、父上達に殺されかねない。


「わかってるよ・・・。でも、エルこそこんな事してる場合じゃないんじゃないのか?そろそろ城に戻って、妻を娶って、魔王にならなきゃいけないんだろ?」


親友は、図星をつかれて、苦々しい顔をする。そうだよな、お前はまだ恋した事がないんだった。



僕は、東国の王位継承者だ。ルイ・シャルル。父上から同じ名を貰った。周りからは王太子殿下と呼ばれている。両親からは、シャル。何故かこの隣の親友は、物心つく前から僕の事を、シャルではなく『ハル』と呼ぶ。今はもう慣れて気にしてないけど。なんでだろう、さしすせそが、子供の頃うまく言えなかったからか??


幼い頃から仲が良く、学業も剣術も、魔術も共に学んだこの親友だけは・・・この魔王の子だけは唯一対等に付き合える相手だった。


強く、賢く、美しい彼は王立学院でも人気者で、かなり大規模な後援会(ファンクラブ)がある程だった。女の子達もエルを放っておかない。


だが彼は、女の子が苦手で、身内以外の女性とは、照れて全く話せない。代わりに話すのは、いつも僕の役目だった。まあ、それがより一層神秘的だとか騒がれる原因にもなってるんだろうけど。・・・とにかくこいつは、魔王種のくせに、純情過ぎるのだ。



今日は、僕の婚約者であるエルの妹マリを森の湖まで迎えに行く。魔王とその妻、つまりエルと彼女の両親である彼らの意向だ。


ほとんど追い出されたみたいなエルの時と違って、魔王だけはずっと渋っていたみたいだけど。何よりマリ本人がこちらに来たがっていた。マリはこれから人間界で暮らし、王立学院へ通う。


幼なじみだった彼女は、生まれた時から僕の婚約者だった。子供の時から可愛かったけれど、先日のデビュタントの舞踏会で久々に会った時の衝撃は忘れられない。


その黒髪も、魔王種特有の紅い目も美しく、目が釘付けになるとはこういう事か、と、妙に冷静に納得してしまった。


女人(にょにん)を、美しいと思ったのは初めてだ。まるで・・・』


(ん?なんだ、今の声・・・切ないけど・・・懐かしい。)


既に、父上達の尽力で国交も復活している。僕が魔王種の妻を娶ることに、年寄りの頭の固い大臣(じじい)どもは反対していたけど、魔族と手を組み、国もより栄えた。それに、愛らしい彼女を幼い頃から知る国民の者達は、皆歓迎してくれている様だ。


『白い・・・花』


(あれ、なんだろう、この記憶は。どこで見たんだろ?ああ、でもその白い花ならマリに良く似合う。喜ぶかな、贈ってみようかな。)


実は最近、よく変な夢を見る。悲しい夢だ。夢の中で、僕は、何故か血まみれで、一人で泣いている。でも、マリの声が聞こえて、僕は光に導かれて・・・いつも夢から醒めるんだ。


(・・・18歳にして恋を知った僕は、きっと今、ものすごく浮かれてるんだろうな。)



「おい、ハル・・・アレはなんだ?」


湖の手前の大木の根元に、何かがある。あれは・・・人かな?


「怪我して、動けない様だな。・・・女の子みたいだけど。」


本を握りしめて、意識を失っている様だ。


この辺じゃ見たことない、随分と変わった格好をしてる。この近くの村の娘か?


あ、でもあれは王都で流行りだした恋愛の物語だな。ラノベ、だっけ。


エルが見せてくれた宝物の本が面白くて、それを参考にして、つい最近エルと一緒に出版してみたばっかりなんだけど。


「・・・なんであの子、ずいぶん古そうなの持ってるんだろう?」


エルは、僕の言葉を最後まで聞かずに馬を走らせる。あーあ、あいつ大丈夫かな?


「おい!大丈夫かーーーー」


エルが揺さぶると、変わった格好の女の子は目を覚ました。足をくじいてしまっただけの様だ。


大きな・・・これも最近王都で流行っている『リュック』という鞄を背負ってて、それにしても裾がずいぶん短い服だな。エルの母上が昔着てたっていう『制服』ってやつに似てる。


でも、こんな格好で、森のど真ん中で、寝ていたのか?無防備過ぎるだろう・・・。


その時になって、エルはようやくそれが女の子だと気付いたらしい。


「あ・・・すまぬ!!」


顔を真っ赤にしてぱっと手を離して、でも彼女を見つめたまま、動かない。そのまま時が止まってしまった様になっている。あれ?いつもなら、直ぐに目をそらすだけなのに、めずらしいな。


「エル・・・」


こういう時は、僕の出番だ。僕が声を掛けようと馬から降り立った時、大木・・・『(カツラ)の木』の下で眠っていた彼女もまた、エルの目をじっと見つめて言った。



「あ、ほんとに会えた。あの、私、あなたの・・・魔王のお嫁さんになりに来ました!」

JK魔王本編と、番外編はこちらで完結になります。


最後までお付き合い下さいまして、誠に有難うございました!!!m(_ _)m


この後、外伝が20話続きます。こちらは、セル様の曾祖父ギルファスが主人公です。『魔王の子、魔王になる。』までの、一人の少年の(後書きにて、JK魔王によるおまけ解説付きの)冒険のお話です。


本編で語りきれなかった登場人物達の出会い、歴史、伏線が、全て回収され、全て未来のJK魔王本編につながっていきます。


JK魔王の世界を、より深くお楽しみ頂けるかと・・・是非、そちらも併せてお読み頂けると、嬉しいです!!


どうぞ皆様、くれぐれもお体おいとい下さいませ。長文にて大変失礼いたしました。


感謝を込めて。かつらぎ

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