JK、恋文を見つける。
「百合、昔、おじいちゃんと古い屋敷の掃除に行った時の事、覚えてるかい?」
「えーっと、うん、小6の時だよね?おじいちゃんの、そのまたおじいちゃんの恋バナ教えてもらったよね!」
「うん、おじいちゃんは、昔約束したんだ。おじいちゃんのお祖父さんとね。」
そう言って、おじいちゃんがわたしに渡したのは、赤いお守り袋だった。
「これ、その時見せてもらったお守り袋だよね?」
「そう。その御守り袋は、本当は湖に捨てるはずだったんだ。お祖父さんが亡くなる時に、僕に頼んだ。でも、子供だった僕は、なんだかそんな事しちゃいけない気がしてね。お祖父さんが亡くなった後、家族の誰にも見つからない様にこっそり隠したんだ。掃除の時に見つけるまでは忘れていた。お祖父さんが昔好きだった人と駆け落ちした湖に行って、いつかそこに沈めてあげようとは思っていたんだけどね。」
「その好きだった人って、けっきょく見つからなかったんでしょ?」
「うん、大昔だしね。お祖父さんは消えてしまったって言ってたけど、どうなんだろうね。」
「怖いけど、悲しいね。」
「うん。だから、この御守り袋、百合に託しても良いかな?おじいちゃんは、もう長くなさそうだ・・・」
「そんなこと言わないで!おばあちゃんも、お父さんもお母さんもお兄ちゃんも、みんな待ってるよ!」
「ははは、そうだな・・・。」
そうだ、その時おじいちゃんからもらった。結局そのあとすぐ、おじいちゃんは亡くなっちゃって、わたしはそのお守り袋を形見にしようって、失くしちゃったら嫌だから、リュックに入れてたんだ・・・。
ばたばた城内を駆け回るわたしを見て、フェイさんとシャンさんが慌てて飛び出してくる。
「ユリ様!?どうかなさったのでございますか!?」
「はっ、まさか我が王になにか!!」
「ちがうちがう!ごめんなさい、ちょっと探しものを!また後で話しますー!」
ぽかんとしてるフェイさんとシャンさん、そりゃそうだよね。でもいまは・・・わたしの部屋に入って黒いリュックをつかむ。中身はほとんど、こっちの世界に来た時のままだ。えーっと、確かこのポーチの中に・・・。
「あった!!」
やっぱり、同じだ。袋の布、模様。
また走ってセル様の部屋に戻る。今度はセル様の代わりにお仕事してたオームさんとフラーさんも慌てて出てきた。ちがうの!!慌てたせいで、胸のドキドキが収まらない。
これって、もしかして・・・。
「セル様!!ありました、はあ・・・」
思いっきり走ったせいで、息が上がってしまった。
「・・・本当に、秒で、というやつだな・・・。」
セル様は、びっくりした後、笑った。あ、久しぶり、この感じ。
さっき慌ててた時に出てきたみんなも一緒にいる。みんな何があったか分からないって顔してるな。
とりあえず、息を落ち着かせて・・・・・。
「・・・これです。」
わたしが差し出した袋を見て、セル様も唖然とした。そうだよね、だって、全くおんなじなんだもん。
「・・・まさか、その様な事が・・・なぜ同じなんだ。ユリのそれは、何処から持ってきた?なぜ持っている?」
うん、わたしもびっくりです。これこそMJKです。
「これは、おじいちゃんの形見なんです。もともとは、ひいひいおじいちゃんの物でした。」
「それは・・・つまり・・・。」
そう、おじいちゃんのおじいちゃんが駆け落ちした相手っていうのはつまり・・・・・。
「私の母の恋人とは、ユリの高祖父上に当たる方だった、という事か・・・。」
「そういう事、みたいです。」
まったく話についていけてないみんなにも、同じことを説明する。
「あら!それでは、ユリ様は、本当に我が王の運命のお相手だったのですね!!」
「此の様な縁が真に有るとは・・・驚きですな。」
「うむ、我はいま、興奮している!のです!」
「私も、涙は流れませんが、泣きそうです・・・。」
うーん、たしかにこれはすごいことかも。ひいひいおじいちゃんは、忘れないで、覚えてたんだ!!
でも、こんな偶然なんで起こったんだろう。
「ユリ、中に、手紙の様な物は入っていないか?」
セル様は、少し考えた後、思いついた様な顔をして言った。
「あ、一度も開けたことないから・・・入ってそうです、それに、そういえば石みたいな物も・・・。」
ん?石?
「・・・貸してくれ、私が開けよう・・・。」
わたしがセル様が起き上がってるベッドの横に腰掛けて、お守り袋をセル様に渡すと、セル様がそーっと袋を開ける。その中には、ぼろぼろになった古い和紙?のカタマリみたいなものと、小さな赤い石が入っていた。
「それって、セル様の石と、同じ・・・?」
セル様の手のひらに転がった小さな石は、鮮やかな赤。セル様の石よりも少し小さい。
「これは、文の様だな・・・修復の魔術で蘇らせよう。」
セル様が古い紙のカタマリに左手を伸ばすと、紙は広がり、ぼろぼろだったのがきれいになっていく。2枚あるみたいだ。一枚は、新しい。もう一枚は古くて滲んでるみたいだ。滲んで読めなかった方も、セル様の魔法で元どおりになっていく。
「これって、ラブレター、ですよね!?」




