殺人同好会
評判が良ければ、続きを書くかもしれません。
ねぇ、知ってる?
殺人同好会っていうのが、あるんだって。
殺しを好んで行うクラブでね、この街にあるんだって。
路地裏の、掲示板に嫌いな人の名前を、書いておくと
殺してくれるんだって、怖いね...。
○加賀山 洋(25)の場合
「...クソッ!!!」
あんな奴、くたばればいい!
俺は、最近彼女と親友に裏切られた。
結婚すると、誓っていたのに...。
街中を、適当にブラブラしていたら
彼女と俺の親友だった浩輝が、一緒にモールで
買い物をしていたのだ。
勿論、追っていって問いただした。
しかし、軽い気持ちだったとか、すまなかっただの
弁解していたが俺は、激しいショックを受けた。
こんな女に惚れた俺が、馬鹿だった。
するとある日、ネットで奇妙な噂を聞いた。
殺人同好会という殺し屋の集団が、居る...?
殺してほしい奴の名前を、書けばそいつを殺してくれる...?
何だよ、最高じゃねえか!
思えば、
あの時の俺はおかしかったのかもしれない。
そして俺は、ネットで情報を調べ、そこに向かった。
そこには、確かに古く錆びた掲示板があった。
彼女と浩輝の名前を書いた紙を、貼り付け
その場を離れた。
*****
ネオンサインの光る通りで、男女が話していた。
その前に、赤いコートを着た男が立ちふさがった。
(何だ?変な奴だな…?)
「どうも、殺人同好会の者です」
あの噂の...殺人同好会...?
中二病かよ、こいつ?
「ねぇ、この人誰?」
「頭がおかしいんだろう。あまり、見るなよ?」
すると、次の瞬間俺の右手の甲には、ナイフが刺さっていた。
「ぐああああああっ!」
こいつ、まさか本物の...?
「加賀山さん...でしたか?からの依頼で参りました」
何...洋が!?アイツまさか!?
「おい待て、話せば分かる!俺はただ...」
胸元に変な感触を覚える。
生暖かい...意識が遠のいていく...。
「いやああああああっ!!!」
「結婚を誓っていたのに、裏切られてさらに
その浮気相手が、彼氏さんの親友...。
彼は相当、苦しかったでしょうね」
女はただ泣きじゃくっていた。
「お願い...命は助け」
彼女の下腹部にも、ナイフが刺さっていた。
「これで依頼は完了...」
男は、フードをかぶるとその場を後にした。
*****
俺が、帰宅するとポストに分厚い封筒が入っていた。
中には、俺の好きな音楽のCDが。
そして、メモが貼ってありそこには、
結婚式用
と書かれていた。
家の中に入り、TVをつけると
浩輝と彼女の写真と共に、事件について放送していた。
そして、封筒の中には
手紙も同封されていた。
彼女と浩輝は、浮気なんかではなく
結婚式用のCDを探していただけだった、
と詳細が書かれていた。
俺はここで、犯した過ちに気づいた。
俺は、
ネクタイを吊すと、そこに首をかけ
足元の台を蹴った。
「しかし...嫉妬と怒りにかられて殺してしまうなんて、
人間は馬鹿ですよね」
「あぁ、人間ってのは悪の固まりだよ...」
暗い部屋で、数人の人影が話している...。
彼らは、今日もあの場所で依頼を待っているのだろうか。
〈END〉