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凸凹コンビほど不思議な関係  作者: 如月朱鳥
第1章 国体に入るまで
4/12

試験は瞬殺?

臨時職員採用試験当日。

受験会場は市の大会議室で一般と国体の2種の試験が行われる。

会場内は横に12席、縦に20席で、200人近くの受験者が居た。

8割ほどが一般の受験者で、国体を受ける若本の席は左から3番目の一番前だった。

席について見回してみると思った以上の受験者だった。

そして、時間になると試験官が前で説明を始めた。

「前のホワイトボードに書かれているのが試験時間になります。

 面接は各自で確認をお願いいたします。

 欠席者が居るため時間が早くなる場合がありますので、早めに会場に来てください。」

筆記試験、適正試験、面接の順番で試験が行われていく。

筆記は高校生程度の問題だが、彼女が習っていない分野もあり苦戦していた。

試験時間ギリギリまで粘って、全問埋めることは出来たが自信はない。

そして、休憩する間もなく適正試験が行われた。

計算問題や文章の間違い探しと多様な問題があった。

100問中解けたのは70問。

しかも、合っていると自信が有るのは文章の間違いだけ。

他はほぼ自信がない。

この時点で試験に受かる確率は半分くらいだろうと思っていた。

20分の休憩を挟んで最後の面接試験が始まった。

面接試験だけは、一般と国体は試験会場が違った。

国体の受験であった彼女は、大会議室のある建物の応接室での面接だった。

しかも、彼女は一番最初。

誰からも面接内容を聞くことが出来ない。

面接試験は2室用意されて、偶数と奇数の受験番号に分かれて行われた。

「2002番の方、お入りください」

と彼女の後ろで試験を受けていた人が呼ばれた。

面接予定の時間から5分ほど遅れて、

「2001番の方、お入りください」

と呼ばれ、ノックをして部屋に入った。

そこには試験官3人が座って居て、その前に1脚のパイプ椅子があった。

彼女は椅子の横に立ち

「2001番、若本みちかです。

 よろしくお願いします。」

と言うと試験官の1人から座るように言われる。

どきどきしながら彼女は質問されるのを待った。

右端に座っていたぽっちゃりとした試験官が

「まず、国体職員の試験を受けた動機を教えてください」

と当たり前の質問を言った。

「はい、国体という大きなイベントに関わりたいと思いました。

 地元の祭やイベントの運営にも関わっているので、今の知識を活かすのとこの大きなイベントでもっと知識を増やししたいと思います。」

と履歴書に書いているのとほぼ同じような内容のことを答えた。

その後、動機からどのような運営を経験したか聞かれた。

履歴書の資格欄を見ていた左端の試験官が

「この点訳はいつ取得されましたか?」

という予想もしない質問が来た。

彼女は点訳の資格をつい最近取得していた。

何気なく書いたことが聞かれるとは予想外ですぐにいえなかった。

「昨年の12月に取得しました。

 もし3月の契約が切れた後、無職になっても何かボランティアでもと思い」

とあまり考えずに言った。

そして、最後に真ん中に座っている一番えらいであろう試験官が

「もし受かったとして、総務と競技どちらがしてみたいですか?」

「どちらもやってみたいと思います。

 でも、今の自分に出来るとしたらボランティアとかを行う総務だと思います。

 競技に関しては全く分かっていませんから」

と悩むことなく真っ直ぐな目で彼女は答えた。

それに付け足すかのように

「もし、臨時職員を落ちたとしてもアルバイトでも大丈夫ですか?」

と彼女を不安にさせるような一言を言ったが

「はい、アルバイトでも関わることが出来るならしたいです」

と言うと面接は終了した。

彼女はドアの前で試験官にお辞儀をして外に出た。

そこにはまだ面接を控えている受験者が待っていた。

だが、全員の表情が驚いたような感じだった。

彼女は疑問に思いながら時計を見ると面接に入って10分ほどしか経っていなかった。

そして、隣の面接会場はまだ1人目だった。

近くに座っていた受験者が彼女を見て

「どんな質問されたの?」

と聞くと彼女は

「普通の質問だけですね、志望動機とどんなことをしたいかとか」

と笑いながら答えた。

だが、彼女は不安でしかなかった。

全員が驚くほどの速さで終わり、質問もそんなにされていなかった。

筆記試験も自信なく、面接もほぼ落ちた感じの面接だった。

帰りながら

「あ~落ちたと思うから、次の職探すか!」

と言いながら開き直った。

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