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凸凹コンビほど不思議な関係  作者: 如月朱鳥
第1章 国体に入るまで
3/12

受けるだけ受ける

12月中旬、転機は突然来た。

今治市役所の臨時職員の若本みちかは、翌年3月には契約が切れる予定だった。

彼女は、20歳の時に選挙管理委員会で1ヶ月バイト後、単発の市役所バイトをして今の都市道路整備課にバイトで来ていた。

その後、臨時職員の試験に受かったものの課は変わることなくこの課で働いている。

ぼちぼち就職先を探そうと考えていた時に人事課が発表したのは国体の臨時職員の採用だった。

同じように一般事務の募集もあったが、臨時職員をしているため受けれなかった。

そして、臨時職員の募集要項を読むと年齢や資格には制限は一切なく、臨時職員でも受けられる。

試験は一般の臨時職員と同じで筆記試験と適性検査と面接の3つだけ。

「4月から臨時じゃなくなるなら、受けるだけ受けてみたらいいのでは?」

と課長に言われ、自分なりにも考えて受けるだけ受けてみることにした。

今治市が発表したということは、県のほうも国体の臨時職員の募集はあった。

だが、県の募集している臨時職員は3年以内に全国規模の大会に出場しているとかの規定があり、仕方なく今治市だけの応募をすることに決めた。

昼休み、別室で女子会のように昼食をとっていた。

そこでも国体の臨時職員の話が出ていた。

「このまま受かったら継続して居れるじゃん」

「いや~受からないって、スポーツなんてしたことないのに」

と笑いながら同じ課のアルバイトと話をしていた。

実際、彼女はスポーツの大会を見たことがなければ、一切運動をしたことがなかった。

しかも、今回行われる競技なんてあまり知っている競技は無かった。

「もし受かったとしても、競技ではなく総務じゃないとやっていけないよ」

と言った。

国体の募集は競技だけではなく、ボランティアや広報啓発などの総務の2種類があった。

ただ、受験の際に競技か総務をほぼ選ぶことは出来ない。

書類には、競技・ボランティア関係・広報啓発とチェックする欄がある。

そこで競技以外にチェックをすれば総務になると思うが、そうすると受かる可能性が低くなる可能性もある。

合格したいと思う人は全部にチェックを入れるだろう。

彼女も受けるだけ受けると言いながらも、その項目には全部にチェックをしようと思っていた。

そして3日後、履歴書と面談票を書いて持ってきていた。

両方とも市が指定する様式で、面談票には志望理由ややりたいことを書く欄があった。

履歴書は以前受けた臨時職員試験のままの内容を書いていた。

そして昼休みになり、封筒に書類を入れて

「本当に受からないと思っていくからね!」

と断言して、国体推進課に持って行った。

昼休みということもあり、職員は数人居るだけだった。

入り口の近くに座っている女性を見つけ

「国体の臨時職員の試験を受けたいんですが、書類をお願いします。」

と言いながら書類を渡すと女性は書類を受け取りながら、

「預かればいいんですよね?」

と不意に言われた。

彼女の頭の中で

『受付しているのは知っているはずだから、預かってくれるのでは?』

という疑問が出てきた。

書類を預かって、担当者に渡してくれるだろうと思っていた彼女にとっては疑問になった。

そして、彼女はそのまま

「臨時職員試験の担当に渡しておいてください」

と伝えて、自分の課に戻った。

戻りながら、あの女性は不思議だなと思っていた。

臨時職員の募集を知らないってことはないだろうし、普通に受け付けてくれると思っていたから。

その後、臨時職員試験の1週間前になり郵送で受験票が届いた。

手元に届いた受験票の番号を見て彼女は驚いた。

そこに書いていた受験番号は2001という数字。

千の位が1であれば一般事務、2であれば国体事務と分かれている。

残りの3桁が受け付けた順番であった。

そう、彼女が最初の受付だった。

その時、書類を持っていった時の疑問が解決した。

募集が開始されて3日経っていたが、誰も臨時職員の書類を出していなかったのだった。

だから、初めて書類が来てどうしていいのか分かっていなかった。

疑問が解決したと同時に不安があった。

もしかして、受験者が少ないのかと思った。

以前受けた一般事務の試験の受験番号は、翌日出して30番台だったからだ。

不安とともに試験に日を迎えることになる。

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