06
「行ける、かな……」
「行ける。じゃなきゃ、待ってる俺がムナシイだろ」
好きだ、好きだ、好きだ。
いつのまにか、ずっと永く、心の中だけで繰り返される言葉。
歌のリフレインのような、この言葉は、雛子へ届くだろうか。
「あと一年、頑張って、友達作って、無理じゃない程度に学校きて、そんで高校にこいよ。なんかあれば俺はちゃんと駆けつけるから」
きつい要求なのは、わかってる。
けど
護るから。安心して、ただ一歩、踏み出してくれねーか。
ライトは、絶対に肩がいいやつで、味方に背中を預けられる役。
一番遠い場所から、マウンドで一番頑張ってるやつに、遠くから声をかける役。
俺の、心の中のマウンドには常に雛子が立っていて、病気とかいろんなものを相手に戦ってて
俺は、そんな雛子の背中を護るから。
「------ちゃんと高校合格して追いかけてこねーと、浮気しちまうからな。絶対にそんなことさせねーぞ、って勢いでちゃんと受験して、合格して、俺のとこにこい!今度は俺が、ずっと待ってンだからな!!」
ずっと、俺が見てたのは雛子だけだったから
だから、頼むから、その足で
今度は俺をおっかけてくれ。
どんな問題も、俺がキャッチして、マウンドの雛子のとこへ、必ず返すから。
妹と母親とが、遠くで俺を呼んでいて、俺は手で追っ払った。
ほんとーーーー兄貴なんて、こんなもんだよ。
雛子のこと、ひたすら大事にして、
ずっと頭から、心から、離れないのは、兄貴だからじゃねーよ。
それを見て、雛子が一瞬目を丸くして、微かに笑った。
”いいおにいちゃん”の正体、見たりーーーだろ。
特別なのは、雛子だけ。
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「そんじゃ改めて……俺は卒業すっけど、付き合ってください」
「はい以外に、返事なんかないよ……」
満塁ホームランーーーーーーー
永く永く、願った想いは今。
一つに叶って。
ただ、理想の兄貴になれなくってゴメンーーーー
そう、恋をしなければ、もしかしたらずっと、”いいおにいちゃん”やれたかもしんねーけど
でも、”妹”だったら、やっぱここまでの想いに、ならねーよな。
[カミツレ:親交。君を癒す]
一年間、ずっと雛子を待つ。
どんなやつが現れても、雛子が絶対俺から離れないような、男になって。
次の年、逆境から勝ち上がった雛子を、俺が癒せるように。
カミツレから始まった恋は、これから花を開く。
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なにか恥かしいもにょもにょした作品ですが、例の素晴らしい作品によってカミツレの花言葉がマイブームを起こしたついでに、こんなものを書いてみました。