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異世界保育士さん  作者: なの
2.異世界召喚
6/23

1 召喚 - 1

「ーーー!?」

「……ーー。」

「ーーー……」

「ーー!」


 遠くで何か騒いでる声が聞こえる。

 複数の男性の声と女の声……いくつか聞き覚えがあるんだけど、どこで聞いたっけなぁ……つい最近……?


「桜が起きなかったらどう責任とってくれるんだよ!?」


「お、落ち着いてくださいミツキ様……と、とりあえずそちらの女性を安静にできる場所にお運び致しますゆえ……」


 ミツキ様……ミツキ?

 観月……?


「……汚い手で冴木さんに触るな。」


 この声は太一くん……? あぁ、よかった無事だったんだ……。


「っ!」


「み、んな……無事だったんだ……よかった……」


「っ! 桜大丈夫!?」


 目を開くと目の前には私を庇うかのように太一くんの背中があって、その肩越しに心配そうな表情をした佑太郎くんと目があった。驚いたように瞠ったあとに泣きそうに歪んだ顔を見て苦笑する。

 観月ちゃんの姿は今は見えないけど声が聞こえたからすぐ近くにいて、そして無事なのだろうと安堵の息を溢すと同時に声に出ていたようで慌てたように振り向いた太一くんとこちらに駆け寄ってきた観月ちゃん。

 佑太郎くんも近くまでとことこと小走りでやってきた。


「よかった、桜だけ来ないし……来たと思ったら意識ないし……泣いたっぽい跡あるし……心配した……」


「どこか痛かったりしないか?」


(ざぐら)ざん無事で良がっだでずぅ……」


 ほっとしたような顔で見てくる観月ちゃんと太一くんに笑顔で大丈夫と返事をすればほっとした顔が返ってくる。色々聞きたいことがあるけど、とりあえず佑太郎くんの顔が涙と鼻水で凄いことになっているので苦笑してカバンからティッシュを取り出して鼻にあてる。


「はい、佑太郎くん、ちーんして。」


 素直にちーんってする高校生男子とか。なにこれ可愛い。あっ、鼻水多すぎでビローンってした。

 観月ちゃんも太一くんも思わず苦笑いしてるよ、佑太郎くん。もう一枚取り出して鼻にあてるとまたちーんってする。


 ……子供か!


 そのあと仕上げとばかりにもう一枚使ってーー最後は自分でやってたーーハンカチで涙を拭ってあげると照れたように笑っていた。うんうん、泣いた顔よりも笑ってる方が可愛いよ。

 思わず頭をポンポンしてあげると顔を赤くして照れていたのでこれもまた可愛かった。高校生男子、これでいいのかな。


「あー……こほんっ……そちらの女性の意識も戻ったようなので先ほどの続きをよろしいでしょうか?」


 使ったティッシュを一緒に持っていたゴミ袋に入れてカバンにしまっていると最初に聞こえた知らない声がした。

 声のした方を見てみればゲームやアニメとかでイメージするような白い神官服をきた白いひげのおじいちゃんと、その後ろの方には肩で息をしながら死屍累々といった様子で転がってる同じような服をきた人たち。なにこのカオス。


「えっと……?」


「見た目の通り神官なんだってさ。どうやらコスプレではなくガチで、勇者召喚とやらをして現れたのがあたしたち、だってさ。」


「はっ?」


「さっきまでの俺たちの反応もそんなだった。」


 思わず口からこぼれ出た言葉を拾ってうなづく太一くん。無表情だけど。


「えーあとから来た女性もいますのでもう一度説明させていただきます。


 まず私はここ、クレヴァンス王国にて王都の協会にてダリア教神官長を務めさせていただいておりますオリバーと申します。

 古の時代に封印されたという伝説の魔王が復活したらしくて魔獣の活性化が各所で確認されております。なので勇者様方には魔王を倒していただきたく……」


「え、嫌です。」


 思わず口からポロリと出た否定の言葉に周りの人たちも口を開けてポカーンとしている。ごめんなさい、つい。


「私たち普通の日本人ですし。そんな力ないですし。


 ……実はみんなめっちゃ強いとかないよね?」


「「「ない(です)。」」」


「ほら、倒せるわけがないです。」


「ああ……なるほど、そういうことですか……。

 安心してください、異世界から召喚された勇者様たちは未知の力を持って召喚されると言われています。過去の文献によれば勇者様お1人で一国と渡り合えるほどの力をお持ちだとか。

 通常の召喚はお一人なのですが、今回は4名いらっしゃいますし……その分倒すのも楽になっていると思います。


 こちらに鑑定具があります。

 この鑑定具を使えば貴方様たちのステータスや魔法適性などが分かるようになりますので、それに合わせて訓練をすれば魔王を倒したあとに奪われた返還の書を奪い返して頂ければ元の世界にお戻しすることができます。」


 未知の力……。電車の中で意識を失う直前に出てきたあの幽霊が言ってた愛される力……ってやつ?

 いやでも私以外幽霊に遭遇してないはずだもんなぁ。


「帰れるってのは絶対なんだろうな?」


 アァン? ってつきそうな態度で神官長にメンチ切る観月ちゃん。態度がおじいちゃんをカツアゲしてる若者にしか見えないよ……。


「は、はい……も、もちろんです。」


 ほら、神官長も脂汗めっちゃかいてるよ。どうみても怖いよ。

 ため息を吐きながら使い方教えろってめっちゃ命令口調な観月ちゃん。髪の毛アシンメトリーにメッシュはいってたりするからヤンキーっぽくて怖いよ!


「ではこちらに手を乗せていただいて……。そうしたら自動的に魔力を吸い上げますので……おおっ!?」


 おっとこれは予想外だけど似合うかもしれない。

 使い方を聞いたのに説明途中で鑑定具に手を乗せた観月ちゃんの表示は予想外だけど似合っていて、なんかとっても観月ちゃんらしいなと思うような内容だった。








お待たせいたしました。

ついに異世界きちゃいました。

桜ちゃん合流できて良かったね!


佑太郎くんが地味に保育士さんたらしめてくれていますね。


さて、次回予告をつけてみます。

「サクラ、異世界職業を知る」です。

やっとタイトルを桜ちゃんが自覚しますよ。



後付けですが1〜5話にも次回予告つけときました。


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