1 出発
お待たせしました。
最終更新日2016年とかなってた……もう2018年です……。
応援ありがとうございます。ほんとに嬉しいです。
ちなみに本文少し長めかも?
解散になってみんなが帰ってすぐに荷物の整理をはじめた。といっても召喚時の服や荷物などはすでに亜空間に入れてあったから必要ないんだけど。
なので整理するのは私物ではなく王宮から与えられたものとかだ。
勝手に持っていくのは窃盗なのでは……なんていうなかれ。勇者様御一行が正義である。某RPGだって人様の家勝手に入って家捜しするのなんて有名じゃないですかー。
改めて考えてみるとあれってどうなの? と思わなくもないけど……住み慣れた世界から無理やり引き離された代金だと思えば今回のことはむしろ部屋にあるもの全部持ってっても足りないくらいだよね? うん。
あ、もちろん良い子は真似してはいけないのでそこは注意してほしい所なんだけれどね。
まぁ私は良い子ではなく悪い大人なので気にしないで早速持っていくものを選んでいくことにした。
うーん、作ってもらった洋服はもちろん全部持っていくことにして……貴金属はゴテゴテしたのが好きじゃないからいらないって断ったから全然持ってないんだよなぁ……今思えば売れたよね……貰っとけばよかった。
あ、髪飾りのリボンはいっぱい貰ったから使う用で持って行こう。
あとは絶対必要なのが椅子とテーブル! シンプルなのに乙女の憧れの猫足になってて可愛いから必須!
後はタンス! って言いたいところだけど雑貨とか入れるような三段の引き出ししかないんだよねぇ……基本がドレスだからかクローゼットしかないけどそのクローゼットは壁にはめ込め式ってタイプだし……。
小物の引き出しっているのかなぁ……まぁ一応持ってこうかな、これもテーブルとセットって感じで猫足で可愛いもんね。
あ、そうだよ、リボンとか入れてたんだからそのまま入れっぱなしで仕舞えばよかったじゃん。無駄に出しちゃったよ……。
……うーん、リボン片付け直して引き出し、テーブル、イスも入れたけど……持ってきたいのそれくらいかなぁ……うん。亜空間は収納よりも相当広いから容量まだまだ余裕なんだけどなぁ……。
勇者様が正義とかでかいこと言ったけど結局は全家具持ってく勇気はないヘタレだし、なによりそんなにモノ多くないからあと持ってくものってない気がするんだよねぇ……天蓋付きベッド……?
いやいや、デカすぎでしょ。大人5人くらい横並びできるベッドとか持ってっても置く場所無さそうだからいらないよね……。
悩みながらもベッドに仰向けに寝転がると最近ようやく見慣れてきた薄いレースのカーテンのようなものが視界に入る。
うん、可愛いけど……やっぱりいらない。天井もすんごい高い。
ーーさくらせんせぇ! おにごっこやろぉ!
ーーだめよ……くんっ、さくらせんせいはわたしたちといっしょにおにんぎょうあそびするやくそくしてたの!
ーーあらあら~喧嘩はだめよ~。
桜先生は相変わらず人気ですねぇ。……先生もあそびに入れてほしいなぁ~?
ーーじゃあ……せんせぇはぼくたちとおにごっこね!
ーーじゃあ先生鬼やりたいなぁ~。
「……ん! ……さん! 冴木さーん、起きて!!」
「ふぁっ! ふぇいっ!? 起きてます!」
「寝ないでって言ったのに寝てるし……。おはよう、迎えにきましたよ、起きて……ってヨダレ垂れてるよ……。
部屋あんまり変わってないけど……もしかしてまだ準備してる途中で寝ちゃった感じ?」
ゆさゆさでは足りないくらいガクガクとゆさ振られて目を覚ます。どうやら寝転がっただけのつもりが寝ちゃってたらしい。ヨダレはさすがにどうかと思う!
この世界に来る前日の保育園での記憶を夢として見ていたみたい。
結局あの日は外で楽しそうに遊んでいる男の子たちを見て羨ましくなったのか、女の子たちも鬼ごっこに参加して遊んだんだっけ。
もう1人の先生の策略で何故か2回に1回鬼が私に回ってきてたからヘトヘトになったんだよね。
走り回りたまえ若人よ~って笑いながら言われたけど2つしか歳変わらなかったはずなんだけどなぁ……。
「……冴木さん? 大丈夫? 体調悪い?」
「あっ! ごめんね、日本のときの夢を見て懐かしくなってちょっとぼーっとしちゃってた。
えーっと、なんだっけ……あ、そうだね、準備は大丈夫だよ。
持って行きたいのはいつも使ってたテーブルとイス、そこにあった小さい引き出しとあとは身の回りの洋服とか細々したものくらいだったからあんま変わってないように見えるけど、準備は終わってるから問題ないよ。」
「ふーん、……そっか。
荷物随分少ないね。俺デカイタンスとかも入れてきちゃったよ。」
でかいタンスってのは太一くんたち男の子の部屋にはあった何入れるのこれ、ってくらいでっかい小物入れ(大)みたいなやつのことかな……あれ一番上の引き出し部分私の身長よりもデカかったけど……あんなの、いるの?
「うーん……とりあえずなんでも亜空間に入れておけば問題ないからいいかなって思って必要性をあんまり感じなくてねぇ〜。
よしっ、じゃあ……待たせてごめんね、お手数お掛けしますが移動魔法お願いします。」
ぺこっとお辞儀をして太一くんにお願いすると何故か頭を撫でられる。私の方が年上なのになぜナデナデ……解せぬ。
「……うん、いこっか。荷物とか持ってもらうしお互い様だからね。
じゃあはい、手を出して。」
転移魔法をする際は術者に触れていることが必要らしく、前回進入する際も手を繋いだ。ちなみに恋人繋ぎではない。
彼氏いない歴=年齢の、ちびっことしか手を繋いだことのない私には普通の繋ぎ方でも気恥ずかしいの。
ちなみに余談だけど太一くんは今はちょうどいなかったみたいだけど何人かお付き合いをしたことはあるらしい。
佑太郎くんは顔を真っ赤にしながらブンブン横に振って「一度も出来たことないですぅっ!」って言ってた。初すぎる。可愛い。
観月ちゃんは少し前まで年下の女子高生と付き合っていたらしく「桜とでもあたしは付き合えるよ?」って迫られたのであの子は危険だ。壁ドンハジメテサレタヨ。ほっぺチューもハジメテサレマシタ。
まさか男の子じゃなくて女の子と付き合ってたって言われるとは思わなかったし迫られるとも思ってなくてびっくりした。
少し照れながらも太一くんの出してくれた手に手を重ねる。
するとキュッと軽く手に力を入れて頷いた直後、何回かみた光景……私たちの周りに蛍のような淡い光がふわっと現れて浮遊感を感じたと思ったら瞬きをする間も無くそこは数回足を踏み入れたことのある佑太郎くんの部屋だった。
次回予告
「主人公だもの。」




