9 決定
「「「「……」」」」
ほぼ毎日書いていた神崎貴樹さん改めてエドモン・ダンテスさんの日記は色んなことが書いてあった。
色々つっこみたいことが大量に書いてあったけれど、ほぼ毎日観月ちゃんのこと書いてあった。
どんだけ観月ちゃんのことが好きなの。
最初はそんなに自覚なかったみたいだけど写真持ってるとか自覚ない状態でそれとかどうなの……。
色々衝撃なことが書いてあったのに生暖かい目線になっちゃうのは仕方ないと思う。
本人である観月ちゃんは頭を抱えてるし。
「あー……なんか……ごめん……。」
顔を上げた観月ちゃんは耳まで真っ赤だった。
「ちょっ、観月ちゃん、顔真っ赤だよっ!
な、なんかこっちまで照れるねっ!?」
「ご、ごめん……なんか見ちゃいけないものを見たなと……恥ずかしすぎる……」
「なんていうか……神崎さんってこういう人だったんですね……。
バスケットボールの申し子とか言われててすごい神様みたいな感覚だったんですけど……普通の、いやちょっと変わった感じの人だったんですね。」
「貴樹さんは……うん、だいぶ自由な人だった……。」
太一くん、遠い目になってるよ。
「ていうかあれだね、禁書になってた謎の本たちのは神崎さんの知識だったんだね。
お風呂とかなかったんだね、よかった今はあって。」
ぶっちゃけ入るの面倒くさいと思ってるけど、やっぱり入ると気持ち良いし入れないと困るから水道設備どうにかしてくれて本当に助かった……。
「それにしても……貴樹さんがいなくなったのと俺たちがこの世界に来た年月がすごい差があるな。
ダリア歴853年ってことは今1310年だから約450年前だぞ。
ここと地球の時間の進み方が違うのか、根本が違うのか……。
そもそも……長生きしていたとしても、今も生きてるとは、限らない。
それでも、俺は会える可能性があるなら会いに行きたいと思う。」
450年も生きていたとしたら……どんだけ先に周りの人が亡くなっていってるんだろう。
感情は、残っているのだろうか……。
自殺とか……してない、かな……大丈夫かな。
「あたしも会いに行くのは賛成。
貴兄のあとに誰か召喚されたのかは分からないけど、それでも貴兄が生きてるなら誰かに会いたいと思うから。
それに、あたしも、会いたい、し……」
デレた観月ちゃんにニヤニヤしつつこれからの話を考えることにする。
「とりあえずここでやらなきゃいけないことは無くなったよね。
訓練もいらないし、本も読み終わった。
神崎さんの日記も見つけられた。
あとは出て行くだけかな?」
「そうだな、とりあえず明日1日休息するか?
冴木さんや俺はともかく倉橋先輩や佐藤は訓練の疲れを癒したほうがいいだろう。」
たしかに私と太一くんは日中は本を読んでるだけだから疲れてないけど観月ちゃんと佑太郎くんは訓練に参加してるから疲れてるだろうな。
1日の休息をとってからのほうがいいのかもしれない。
「あ、えと……僕は今日実は薬草の本を読んでたら寝てしまってて……そんなに頑張ってないんです。」
えへへっと照れ臭そうに頬をかく仕草がとても可愛い。
女の私よりも可愛いのではないかと最近思ってる。
「あたしは軽い運動程度だから大丈夫だよ。
明日になったとしても休まないと思うから。」
高校生になってから軽音部に入ったという観月ちゃんは実は運動が好きらしくて、元から動いてはいたようだけど最近は脳筋説が私たちの中で浮上している。
なんか常に動いてる。
前に歌ってもらったらシャウトしたりヘッドバンキングしだしたので歌もおとなしくなかった。
初めてヘッドバンキングを生で見たからむしろちょっと怖かった。
「じゃあ今日ここを抜け出すか。
一度解散して時計が0時になったら1人ずつ迎えに行く。
それまでに準備しておいてくれ。
……貴樹さんを見習って俺は使えそうなものは何でも持ってくつもりだから、入らなかったら冴木さんよろしく。
冴木さん、佐藤、倉橋先輩の順に迎えに行く。」
実はこの世界に来てだいぶたっているけど時計の機能は使える。
なんと太一くんの雷魔法で充電が出来たので、電波は入らないから電話やメールは出来なくても電卓や時計、アラームやカメラなどの機能は使える。
電波がないのは不便でも、この世界だと思うと残った機能だけでもすっごい便利なのでよかった。
まぁアラームはメイドさんたちを驚かせてしまうので使わないことにしている。
初日に大騒ぎになって太一くんに怒られたからもう使わない。
あれ以降は誰かに起こしてもらうことにしている。
「じゃあまた0時に。
寝ないで準備して待っててくれよ。」
次回予告『ほんのりホームシック』




