5 密談
今日は一週間に1回の寝る前のお話タイム、という名の密談会の日。
お茶とかも自分たちでやるからとメイドさんを追い出して、これはいつでもそうだけど護衛の人たちも廊下の外に出てもらっている。
そして便利チートな太一くんの風魔法を使って会話が外に漏れないようにしてもらう。
屋根裏なんかに見張りの人がいるらしく気配を感じるらしい。
太一くんも観月ちゃんも分かるとか人間離れしてきたね。
佑太郎くんは分からないそうなので仲間です。
会話を聞かれても嫌なので太一くんが闇魔法を使って幻覚のようなものを見せて適当に紛らわせているらしい。
どんな幻覚なのか内容は太一くんしか知らない。
「前回の集まりから一週間たったけどみんなどう?
私はもう学ぶことはないんだよね。
光魔法は魔力の流れとかすぐ分かって使えるようになったし……そもそも教えれる人がいないから過去の勇者の本の情報しかないし。
あ、本にはなかったけどライトとか便利だなー。
本よりも太一が言ってたように『自分のイメージする光魔法』が使いやすいね。
あとは武器の扱いも一通り学んじゃったからそろそろ実技かーなんて話が出てるくらいなんだよね。」
実技って魔物退治か。
……いつか戦争するかもしれないにしても、いきなり対人じゃないよね?
ていうかライトって。
勇者様専用属性なのにまさかの光を灯す魔法とか。
過去の勇者もわざわざ魔法使いいるのに自分の光魔法で明かりを灯したりなんてしなかっただろうしねぇ……。
「僕は一応必要なことがあるかもしれないので薬草のことを教わってるくらいですかね。
基本的には治癒術頼みなので日本の知識の方が役立ってますが万が一魔力切れた時に薬草の知識があった方がいいと思ったので。」
実は佑太郎くん、ご両親がお医者さんなうえにお父さんは院長さんとかとてもすごい方らしく……昔から後を継ぐために医学の勉強をしているらしいです。
だからあまり専門的すぎるとまだ分からないけど、ある程度なら知識があるからこそ治癒術を行使することが出来るのではないかとの予想らしい。
他の魔法と同じでイメージで使うらしいので間違った回復の仕方をすると変な風に回復してしまうとかなんとかゴニョゴニョ。
ヨクワカラナカッタ。
ちなみに小中学校はお受験で市立に通って、本来ならエスカレーターで高校にいってお父さんの病院附属大学に通う予定だったらしい。
太一くんのバスケに出会うまでは。
たまたま中学生のときに見た太一くんのバスケの試合を見て高校は無理やり太一くんの母校に行ったらしい。
めっちゃ親を説得して条件付きでやっと入学した高校だったのに召喚されちゃって……って嘆いてた。
ちなみに条件は『学年1位を取り続けること』『大学は予定通り附属大学に通うこと』『バスケで怪我をしないようにすること』らしい。
バスケで怪我をしないって結構無理そうだけど、これは条件って言うよりも親としての心配なのかね。
ちなみに1位の方は余裕だと思う。だそうです。
入学試験も満点で1位合格したらしいし、試験でも一位をほぼ満点でとっていたらしい……ナニソレコワイ
おかしいな、佑太郎くんの高校そんなに偏差値低くないんだけどな……?
聞いた時もれなく皆目が点になってたよ。
ちなみに太一くんは常に学年20位には入ってたらしいです。
あれ、私はもっと偏差値低い高校で100/約250位以内に入ればいいなーくらいだったよ……?
何この差。
ちなみに観月ちゃんは一言も発してなかったとだけ言っておこう。
本人も今の大学入れたのは奇跡だって言ってたしね。
「俺も特にないな。
今やってることと言えば文字を覚えることだけど、正直冴木さんに教えてもらえるし識字率はそんなに高くないようだから書けなくても読めなくてもそこまで困る気がしない。」
「私の方は書庫の本はほぼ見終わったよ。
貨幣だったり国の名前だったり一般常識的なことは佑太郎くんにもらったノートにメモもした。
あと私の保育士って職業、稀にいるらしくて職業一覧の本みたいなのに載ってたよ。
やっぱり予想通り戦闘職ではなくて日本と同じ保育士、だったよ。
泣ける。
まぁそんな感じで……私があとやることといえば指定立ち入り禁止区域の二層目の本を読むことくらいかな。」
「「よし、じゃあ侵入するか。」」
太一くんと観月ちゃんが声を揃えて言った。
次回予告
『勇者様はJustice!』




