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一日院長

「おはようございまーす!」

「おはよう駿くん!待ってたよ」と瑞希ちゃん。

「駿くん、おはよう!」

「今日は息子がチョロチョロしますけど・・」

「息子ね・・」

「何よルミ」

「理沙に息子がねえ・・」

「だから何なのよ!?」

「羨ましーい!」

「ぷっ!思いこもってますね、山崎さん」これは千穂ちゃんの言葉。

「私も早く言ってみたいな!これがうちの息子ですって」

「その前に結婚しないとですね」

「千穂ちゃん、その考えはちょっと古いわね。未婚の母なんて最近流行ってるのよ」

「はあ」呆れてる?!

「何バカなこと言ってるのよ!駿くん、行こう」

「はーい」


そして

「お大事にどうぞ」

「お大事に」

ん?その声に私は受付の方を振り返った。

「駿くん!?」

「へへぇ!」

「今日は駿くん、このクリニックの一日院長なんですよ!」

「はあ?」

「どうしたの?寿さん」

現れたのは真司さん。

「あれ・・」

私は受付を指差した。

「駿!何やってるんだ?」

「ごあいさつしてるんだよ!お大事にって」

「ご挨拶って・・」

「いいんだよ龍崎先生。私がお願いしたんだから!」

「院長」

「患者さんにもなかなか好評だよ!」

「しかし・・」

「まあまあ」

まあまあって院長先生・・。

「真司さん、どうする?」

「しばらくようすを見てみるか・・」

「うん・・大丈夫かなあ」


診察室ではでは

「はい△△さん、終わりましたよ」

「ありがとう。ところで、あの受付にいたお子さん、あなたの息子さん?」

「はい」

「可愛いわね。大きな声でお大事にって。お年寄りは特に!皆笑顔で帰っていくわ」

「はあ、どうも・・」


午前の診察が終え、私は控え室に。

「ふう、疲れたあ」

「お疲れ、理沙」

「お疲れ」

「大丈夫?顔が疲れてるモード入ってるよ」

「駿くんのことが気になってさ」

「あら、全然大丈夫よ!患者さんにも大ウケで」

「うん、だけどね・・」

「母としては、そうもいってられないか!?」

「まあーね」

「駿くんは?まだ受付に」

「うんん、男子休憩室。パパのところ」


コンコン

「入っていいですか?」

「駿くん、いいわよ」

「お邪魔しまーす」

「駿くん、お疲れー!大変だったでしょ、受付のお仕事」

「うん。でも楽しかったよ!」

「そう、良かったね」

「パパとお弁当食べてきた?」

「うん」

「理沙、今日はお弁当?」

「そう」

「もしかして龍崎先制のお手製とか?」

「違う!共同作品よ」

「何対何?」

「フイフティーフイフティーよ!」

「本当は?」

「7対3」

「やっぱりね!」


「駿くん、まだ受付のお仕事するの?」

「もうやらないよ。絵日記書かないと!」

「ああ」私は少しホッとした。

「絵日記かあ、懐かしいね。理沙もつけてたでしょ?」

「と思うけど、忘れちゃったな」

「私は覚えてるなあ。プールに行ったとか花火をしたとか!・・さあ、仕事に戻ろっかな。理沙はもうちょっとゆっくりしてな」

「うん、ありがとう」


「そうだ駿くん、今日の卵焼きどうだった?」

「甘くておいしかった!」

「そう!良かった。いつか駿くん言ってたもんね。甘い卵焼きがいいって」

「千穂お姉さんのやつでしょ!」

「うん。だから今日は理沙ママが、挑戦してみましたー」

「えっ!理沙ママが作ったの?」

「そうよ。愛する駿くんの為に理沙ママが作ったの!」

「ありがとう!理沙ママ」

「どういたしましてー!」

私は駿くんに抱きついていた。

「何やってるんだ?」

「愛の抱擁よ!・・ん?」

「パパ!?」

「愛の抱擁ね!」

そんな嬉しさがお腹の子にも伝わったのか。

「あっ!動いた」

「赤ちゃん?!」

「うん!」

「触ってみて!」

そして二人は私のお腹に手をおいた。

「あっ!」

「何してるんだね?」

「命の産声を確かめているんです!・・ん?」

「院長先生!?」驚く真司さん。

「それで、新しいらしい命は何て?」

「こんにちわって!」

駿くんはこたえた。

「うん」笑顔の院長先生。


こんにちわか・・そうだね駿くん。この子も早くお兄ちゃんに会いたがってるよ!

卵焼き、美味しいって言ってくれてありがとう。




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