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水晶玉


 街のカフェテラス。

 そこに、クラフトとジーンはコーヒーを飲んでいた。

 「ふう……ねえ、クラフト」

 「……ん?」

 何かを言いかけたジーンだったが……、

 クラフトはシガレットケースを出した。


 「あんた、タバコも吸うの!?もおう」

 あきれた調子にジーンが言う。

 「仕方ないだろう」

 「もおう、アストンマーティンもクラッシュしちゃったしい」

 「……ジーン、君はなんなんだ?」

 「あ……あの、私ね?……マフィアの父がいて……」

 クラフトは、それを聞いて、コーヒーを吹き出しそうになった。

 「マ……マフィア……か」

 「そ、そうなの、あのね、それでこんな」

 「気楽な生活をしていた……か?」

 「そ、そうそう、でも、私、知っちゃって……」

 「世界滅亡を……か」

 ジーンは身を乗り出した。

 「私、好奇心旺盛で……ふふ」

 「そうか……ふふ」

 二人は、少し笑った。


 「しかし、どこに世界滅亡なんて事態がくるんだ?」

 クラフトは、周りを見回した。


 「そうねえ……」

 ジーンもそれにならう。


 「まあ、知りたきゃ、……これが、ある」

 そう言って、クラフトが、自分のスポーツバックから取り出したのは、水晶玉。

 

 「それで……なんかわかるの?」


 「ああ……」

 そして、クラフトは水晶玉に手をかざして、目をつむった。

 

 …………



 「なにが解るの……?」


 そんなジーンの言葉も聞こえないほど、クラフトは集中していた。


 


 サアアァァ……



 ……これは



 水……?

 


 水の音か……。



 なんだ……?


 ザーザー……、



 滝……?




 ここは……アメリカの……。



 「ふう……」

 そう言って、クラフトは瞑想を止めた。


 「なんか、解った?」


 「……ああ、しかし……少し……疲れ……」



 ふうー……、

 

 ともう一度深いため息をすると、クラフトは寝むってしまった。


 

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