クラフトとジーン
「俺はクラフト。君は?」
「私?う~ん」
何か躊躇している女。少し考えて、
「いいわ、私はジーン」
「ジーンか、よい名だ」
そうクラフトが言うと、
「本当?そんなこと言ってくれたの、貴男が初めてよ」
クラフトは、そういわれると、下を向いた。
「貴男、もう、その布、取っちゃいなさい」
ジーンは、そういうや否や、クラフトのローブに手をかけた。
ばさっ!
「……」
「あらあ、結構いい男じゃないの」
クラフトは、ローブの下の姿をあらわにされた。
服は、ヨレヨレのジーンズと、Tシャツ。髪は少し伸びていて、黒い。180㎝くらいありそうな身長と顔つきは結構いい男だった。
「なんか、良い服でも来たら、もっといい男になりそうね」
そんなジーンは、ブロンドの髪とスレンダーな体をしていて、その体型をフルに生かした、ピチッとした服を着ていた。
「そうね、私が買ってあげる」
そういうと、ジーンは、クラフトの腕をつかんで、町へ繰り出した。
「ここなんて、どう?」
そう言って、ジーンが立ち止ったのは、ブランド品が並んでいる、見るからに高そうな店。
「入るわよ」
そういうと、ジーンは、店の中へ、
「いらっしゃいませ」
店内は明るく、店員は、丁寧に斜め45度に身体を曲げてお辞儀をしていた。
「貴男のお好みは?」
「……俺は」
そういうと、クラフトは考え込んでしまった。
「あら、貴男優柔不断?いやあねえ」
ジーンはそんなクラフトを見ると、自分で、パパッと服を選んだ。
「どう?こんなのは」
「そうだな……」
「じゃあ、これは?」
「……もう少し、かっこいいのが」
ジーンははあーっと息を吐くと、
「ああんなた、優柔不断のくせに、選り好みするの?もおう」
「……いや、そういうわけじゃあ」
そう言われると、クラフトは口をつむんでしまった。
「あら?あ、ごめんなさい?」
「いや……君が選んだのでいいよ」
「そおう?」
じゃあ、ということで、ジーンが服を選んだ。
「こんなのは?……と、良いみたいね」
クラフトの表情を見て、ジーンがそう言うと、
「じゃあ、これ、カードで」
はい、と素早くカードを店員に渡した。




