遭遇
「え!UFO?!」
真樹斗は、驚く私の腕をつかみ、強引に布の上に仰向きに寝かせた。
そして、リュックからもう一枚布を取り出し、私達の上にかぶせ、真樹斗も私の横に寝転がった。
戸惑う私を横に真樹斗は何故か楽しそうだ。さっきの会話がなかったら、二人はまるで星を見に来た恋人どおしのようだと思った。
不安な顔をしていたのか、真樹斗が顔を覗きこんできた。やっぱり何か楽しそうだ。顔がにやけている。
(ち、近い…!)
焦って身体を離そうとしたが、予測に反して真樹斗が抱き寄せてきた。
(…………!!!)
「ちょ、ちょっと、」
「なんだよ?怖いんだろ?」
真樹斗は、ニヤニヤしながら見つめてくる。やけに色気がある。
(あ、あんたがな…)
「大丈夫、こうしといてやるから」
そう言って更に私を自分のほうに引寄せた。焦る私をみて、真樹斗は尚更楽しそうだ。
(っ、もぅ!)
私は厚い真樹斗の胸に顔を埋める態勢になってしまった。
春先とはいえまだ夜となれば肌寒い。まぁ寒くないしいいかと自分を納得させた。しかし、真樹斗に聞こえるのでと心配になる程、心臓の鼓動は高鳴っていた。
真樹斗は、ふっと微笑んだかと思うと、空を仰いだ。
そして、右手にはめられた指輪を天に向かってつき出した。
(あ!あの青い宝石の指輪だ)
「これは、オーシャニアの石だ。石は全ての力の土台となっている。」
ふぅんと、私は曖昧な返事をした。正直あまりピンとこない。
「ブラックホールを越えてくるんだ。彼奴らの科学力は、地球の比じゃない。しかし、更に凄いのが、魔法…いや、いわゆる神力っていったほうが正しい…それが同時にあるってことだ。」
真樹斗は、手を伸ばしたまま目を閉じて、眉間に皺を寄せている。うっすらと汗も見える。
「風神や雷神ってわかるだろ?地球ではまぁいるのかもしれないけど、見えないし自然は、あくまで゛自然゛なんだ。雨が降るのに人はいらない。しかし、あっちは違う…」
真樹斗は、目を開いた。見間違いかもしれない…
しかし、確かに…
真樹斗の目が、あの宝石と同じ青に輝いている。
「それを動かすのが王なんだ…」
そう言った瞬間、真樹斗の指輪から一筋の青色の光線が飛び出した。
「…っ!」
一瞬地面が揺れたように感じだ。青い光の塊は、勢いよく空に舞い上がった。そして、瞬く間にまるで花火のように空に広がった。
「きれい…」
驚きを忘れ、あまりの美しさにため息が溢れる…
しかし、次の瞬間…
その光の雨の背後に影が現れた。その影はしだいに大きくなっていく。
そして、青い光の間に、きらきらと銀色の光が見えかくれしているのに沙理は気づく…。
その銀色の光が、巨大な円盤から発せられていることに、沙理が気づくまで数秒とかからなかった。