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長電話

真樹斗には、夜、親が寝静まったら連絡をくれと言われた。


(なんなんだろう…?)


寝静まったらってことは、何処かへ行くのかな…?証拠ってなんだろう…?


真樹斗の衝撃的告白プロポーズを受けて、私はずっとぼーっとしている。


あれから、すぐ二人で高校に行った(当然遅刻)。しかし、そこからの記憶がかなりあやふやだ。


(私、真樹斗とキスしちゃった。しかも、プロポーズまで…!)


夕食の時、耐えかねた弟のひびきが、ついに「姉ちゃん、まぢでニヤニヤし過ぎて気持ち悪い」と言った。


響は、中学生で反抗期だが比較的クールな性格だ。あまり喧嘩になったこともない。きっと、余程だったのだろう…


母は、苦笑して響をなだめた。父は、私に早く食べなさいと促した。


(そんなににやけてたっ…?ダメだダメだっ)


部屋に帰った。一人になって、ふと考えた。


私には、両親と大学生の兄・あかつきと弟・響がいる。


そして、真樹斗にも家族がいる。両親と妹の雪香ちゃんだ。


真樹斗は、小さい時にお父さんがなくなってる。小学校の時にお母さんが再婚して、新しいお父さんができた。しかし、新しいお父さんはとても優しくて、真樹斗は大好きだ。


真樹斗のお父さんは、小さい時体が弱かった真樹斗のために毎週公園やキャンプに連れていってくれた。私もよく一緒に連れていってもらった。


もし、新しい惑星に行くなら…


私達は二度と家族に会えないのかな…


私も寂しいし、きっと家族はもっと悲しむだろう。

しかも、真樹斗はもうすぐ行ってしまうんだ。


家族には何て説明するんだろう。


その時着信がなった。真樹斗からだ。


「沙理、もうおばさん達、寝た?」


「まだだよ。まだ11時だもん。」


私の部屋は二階だがまだ一階からカタカタと音が聞こえる。


「じゃ、寝たらまた連絡くれ。」


「あっ、待って」


急に電話を切ろうとする真樹斗を制した。


「ん?」


「あ、あのさぁ。真樹斗、家族には何て言うの?その…真樹斗がいなくなっちゃうこと」


(正直聞きにくいけど、大切なことだ)


「手紙書くよ。旅に出るって。元気に生きていくから心配すんな。今までありがとうって!本当のこと言いたいけど、言えないからな。」


「そうなの?何で言えないの?」


私はいたって真面目に聞いたが、真樹斗はプッと笑った。


「そもそも信じないじゃん、そんな話!それに異星人らに口止めされてんだよ」


真樹斗は、私の質問が面白かったらしく、ククッと可笑しそうに笑っている。


少しイラっとした。私はその話のせいでこの数日間振り回されてるんだ。


「じゃあ何で私には言ったのよ!?私は馬鹿だから信じると思ってるんでしょ?」


「………」


(なに黙ってんのよ~もう、いっつも真樹斗は私を馬鹿にする)


「…馬鹿だなぁ」


「なっ、」


「沙理が好きだからだよ。沙理がどんなに疑っても、沙理にはわかってもらわなきゃ一緒に来てもらえないだろ?」


ドキッんっ!


(なっ!!)


こ、コレは、本当に真樹斗なんだろうか…


なんだか、今日キスといいプロポーズといい…今まで何にもなかったのに。いきなり急にこんなこと言う人になるなんて…


(う、嬉しいけどついていけないよ。ま、まさか異星人に乗っ取られてるんじゃっ!)


「ま、真樹斗、何か今日変だよ。急にキスしたりプッ、プロポーズしたり…」


「……うん。俺も急にこんなことになって混乱してるのかもね。」


(混乱…ですか…)


「沙理のことはずっと好きだった。けど、ずっと言えなくて…。ただ、もう時間がないんだ。そう思うと後悔したくないから…俺、全力で気持ちぶつけようと思ったんだ。」


顔が燃えそうに熱い…。じ~んと胸があつい。


(な、なんて返したら…)


「あ、ありが…」


「あっ、もう寝たんじゃね??」


「え、あ、うん。」


確かにもう音がしない。


「了解!じゃあ今から行くから!部屋で待ってて。」


「えっ!来るの?!部屋?」


「ツーツーツー」


切れた…


(え、えー!何で真樹斗が部屋に来るの~??な、何しにくるんだ…?)



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