幸せの言葉
「ん…」
(ひえー真樹斗!!!)
真樹斗の片手が頭に触れて、そのまま固定されてしまった。
外だから恥ずかしいし、心の準備もなかったから逃れようとしたけど、これじゃあ逃げられない。
(ま、まぁいいか…)
しばらく私達二人は、そのままだった。
真樹斗が唇を離してから、お互い真っ赤になって前を向いてしばらく硬直してた(笑)
「な、なんか言ってよっ」
いたたまれなくて、私はぼそぼそ言った。
「……」
(もぅ~なんか照れるんだけ…)
「好きだ!」
(え、いま何て?え、キスしたのって…あ、そうか…え、でも…)
あまりの驚きで声がでない。ドキドキする。
「……」
「…なんか言えよ」
真樹斗と目があった。今は困惑してるけど、優しくて綺麗な目。私はそんな真樹斗が…
「好き。」
私は、体育座りした膝に顔を埋めたままつぶやいた。
また沈黙が流れる。けど、今回の沈黙は重くない。春の日差しのように心がポカポカしてる。
ちらっと真樹斗をみると、真樹斗も同じ態勢だった。
今の真樹斗と私の周りには、幸せが溢れていた。
このままずっと幸せを真樹斗と感じていたい…
でも、しばらくして真樹斗は口をひらいた。
「沙理に、話さなければならないことがあるんだ」
真剣な目で、見つめられた。
大好きな目だけど、さっきのドキドキとは違って、不安な思いに胸が張り裂けそうだ。