横顔の君
真樹斗の衝撃的な告白から数日たっていた。
あれから真樹斗は、毎朝私の家の前で待っていた。私は、真樹斗とあの話がしたくなくて、あの日も帰ってしまったし、あれから携帯にもでていない。
学校でも避けていた。真樹斗に見つからないようにコソコソ逃げ回って、学校が終わるとすぐに帰宅した。
だから真樹斗は、毎朝私の家の前で待つことにしたのだろう。
真樹斗は何か言いたそうで、思い詰めた顔をして私を見つめるが…私は受け止めたくなかった。
背が高く肩幅もしっかりして、いつも明るくて、ちょっと横柄で、でも優しい真樹斗を困らせるのは心苦しかった。
しかし、どうしても真樹斗がいなくなるなんて認めたくなかった。話を聞いたら認めなくてはいけなくなるようで怖かった。
だが、今朝はとうとう捕まってしまった。真樹斗の自転車に乗せられてしまった。
初めは抵抗したけど、逃げ回ってた私が悪いんだ…
(真樹斗とはもう会えなくなるかもしれないのに…)
私は声を圧し殺して真樹斗の広い背中で泣いた。
真樹斗も泣いているんじゃないかなって、ふと思った。
しばらくして、いつもの川原に着いた。子供の頃は遊び場で、いつか二人で花火に行ったっけ。
そしてあの話もここで聞いた…
「座れよ」
「…うん。」
二人で芝生に腰かけた。しばらく二人とも沈黙があった。私は、ちらっと真樹斗の横顔を見た。真樹斗は川辺をみやっていた。長い睫毛が綺麗だった。
(真樹斗の横顔…やっぱり好きだな。)
ちょっと色黒で、鼻が高くて、彫りの深い顔。けど、笑うとかわいいんだよ。昔から…。
そんなことを考えてていると、急に真樹斗がこちらを向いて、ぐっと私の肩を掴んでキスをした。