運命の歯車が狂う時〜邂逅〜
彼女=主人公、という認識でお願いします。
祭りの準備期間は慌ただしく過ぎていき、そして将軍の一行は村にやってきた。
彼等は用意された食事や酒を楽しみ、ご満悦であった。舌の肥えた将軍だけは少し不満そうではあったが、特に文句も言わず食事を口に運んでいた。
将軍を直接もてなしたいと強く希望した者以外、未婚の若い女子達は調理と下げられた食器を洗う作業を担っていた。彼女も調理場にいた。
村の男性達が兵士達をもてなしつつトラブルが起こらないよう警戒してくれていたおかげで、つつがなく夜は過ぎていった。
彼女は、他の未婚女子達と共に村長の家の寝室で眠りにつこうとしていた。(迂闊に自宅で休むと兵士達に侵入され手を出されてしまうかもしれないと懸念した村長の判断で、村長の家に泊まることになった。)
「これで明日にはまたいつもの日常が戻ってくる…」彼女は安堵しながら寝入った。
翌朝、一行が村を経つ支度を済ませ、出発する…かと思いきや。
将軍は唐突に、こう言った。
「この村で、若くて一番美しい女を連れて行く」と。
将軍の発言で兵士達が動き、あっという間に若い女子達(既婚者を除く)は一斉に横並びにさせられた。将軍のこういった発言は珍しくないのか、兵士達の手際が良かった。
将軍が1人1人顔を覗き込んでくる。彼女の顔もジロジロと見られたが、一瞬で選別は終わった。
そして、女子全員の顔を見終わり、将軍は村で一番評判がいい美女を指差し「この女にする」と言い放った。
周りの、将軍に選ばれなかった女子達がガッカリする中、彼女は自分が選ばれなかった事に心底ホッとした。
その瞬間。
耳を疑うような声が聞こえた。
「お前も来い」
将軍は彼女を指差していた。
嘘か、何かの間違いであって欲しかった。
しかし、将軍は明らかに自分を指差している。
逃げ出したい気持ちでいっぱいだったが、そんな事をしたら自分だけでなく村の皆に危害が加えられるかもしれない。特に両親は殺されるかもしれない。以前から聞いていた噂と将軍の有無を言わせない雰囲気から、自分の予感は気のせいではないと悟った。
「…はい。」
将軍と目を合わせられないまま、震える体から声を絞り出して真っ青な顔で返事をした。
それが彼女に今できる精一杯だった。
なんなんだこの将軍は!人をなんだと思ってるんだ!
…というツッコミはさておき。
ここから主人公の悲劇が始まっていくのです。
ちなみに。村長が村の未婚女子達を保護したのは女子達の貞操を守るためでもありましたが、一番の目的は「結婚適齢期の女子達が将軍に惚れて村を出ていってしまうと、男達が結婚相手を失い跡継ぎが生まれなくなり村の存亡の危機に陥ってしまうから、それを防ぎたい」です。




