プロローグ
あらすじにも書きましたが悲劇の物語です。将軍と主人公の女性はラブラブになりません。ご注意ください。(今後、酷い描写も出る予定です。)
これはすごく昔にあったかもしれない、とある帝国の話。
とある有力将軍の邸宅では、毎夜のごとく宴が開かれていた。それは"狂乱"と呼ぶに相応しいものだった。
一般市民では到底手が出せないような高級食材で作られた料理と、最高級のワイン。酔いと欲望が赴くまま美食を貪る男もいれば、大声で歌う男も、喧嘩をし出す男も、飲み過ぎで嘔吐室で吐く男も、別室で売女とまぐわう男もいた。
そしてその宴の中心人物は、この豪華な邸宅の持ち主であり、今この国で(皇帝以外で)最も有力と目される◯■✕将軍である。
有力というのは、戦闘力の話だけではない。自らの統率力で屈強な兵士達をまとめ上げ、ありとあらゆる戦で武功を上げ、上位貴族に取り入り娘を妻として貰い受けた。政略結婚に成功した事により、政治の場における発言力も得て増税にも成功した。
おまけに将軍は美貌の持ち主で、彼に惚れない女はいないとさえ国中の民達に言われた。
事実、彼の周りに侍っている妾達は、半ば強引に故郷から連れてこられたにも関わらず恍惚の表情で◯■✕将軍を見つめている。
ーーーただ一人の女性を、除いては。
彼女は他の妾達とは違い、物憂げな表情でワインの壺を抱えながら、将軍の手元を見つめていた。将軍のグラスが空になった時にすぐお酌をしないと、将軍がとんでもなく不機嫌になるからだ。かと言って、「すぐお酌をしなければ!」という緊張感を出してしまうと、それはそれで「落ち着かない!酒が不味くなる!」と将軍に怒鳴られてしまう。
自然体を装いながら、グラスへの注視を欠かさない。彼女にとって宴は気が重たい時間でしかないのだ。
彼女は、他の妾達と違い自分が女性としての魅力に溢れている訳ではないことを知っている。男をすぐ虜にするような美しい容貌も、豊満な肉体も持っていない。故郷の村において同じ年頃の男達は自分よりも美しい女達にばかりアプローチをしていた。自分が妾として将軍のすぐ側に侍っていることが場違いとさえ思えた。
他の妾は将軍にくっついたり将軍を持て囃したりするだけで宴における妾の役目(宴の場に華を添える事と、「妾を複数囲える」という将軍の権力・財力の誇示)を果たしているのに、自分にだけ重たいワインの壺を持たされているのは、自分は魅力に欠ける女なのに将軍の気まぐれでこの邸宅に連れて来られたからだと、自分の身の程を弁えていた。
「私、なんでここに居るんだろう…」
彼女は、溜息のような小さな声で、誰にも聞かれないよう細心の注意を払いながら一人呟いた。
ごめんなさい、将軍が主人公を大事にするようになるという結末には一切なりません…そういう話を欲している方の希望は叶えることができません。ご了承ください。




