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世界の果てまで  作者: 秋田原 充
はぐれ者編
5/14

第5話 底の本拠地


だけど今更そんなこと思ってもしょうがない。

もう戻れない所まで来てしまったんだ。記憶を取り戻す件よりも、今はその

”バクテリア”集団を止めなきゃいけない。

世界の果てまで侵食される前に、この組織、

はぐれ者の人達と一緒に、世界を救うんだ。



.....その間...


「...了解。」


市橋さんにそんなことを言われた柊さんは、少ししょんぼりしながらも、席を変わっていた。

だから可愛いかよっ!


「というか市橋さん、ずっと不思議だったんですけど、水圧で押しつぶされないんですか?この車」


って聞いても僕が理解できるような説明は返ってこないか...


「まあ特殊な金属を使ってね。卵の殻見たいにそれを覆ってるんだ。」


お、面白そうな話だ!


「どんな鉱石を?」

「スーパー鉱石!って僕らはそれを呼んでるんだ!」


適当すぎだろ!!!!もっと水圧に耐え切れるぐらいなんだから名前くらい考えてやれよ!

...でもはぐれ者って名前を気に入るぐらいだしな...


「いやこの名前にたどり着くのに3日はかかったよ〜」


「!?いやかかりすぎでしょ!!?名前だけでそんな...」


声に出てしまうくらいだぞ...


「ん〜まあいいじゃない。いい名前は付けれたんだし。」


いい名前って...まあでもはぐれ者よりかはマシか...


「でも僕そんな鉱石あるなんて知りませんでしたよ...」

「普通の人なら聞かないね。裏業界ならよく使われるよ。もちろんそれぞれの組織で使われる名前は変わるけどね。」


「へ、へぇ〜

ところで、どこで見つけられたんですそんなもの?

まあ〜〜地底?言うなら」


「えっと...詳しく。」


「実は本当の深海の底っていうのは、水がないんだ。地底ってのは本来温度が高すぎる場所だからね。熱水なんかもなく水が全部蒸発しちゃう。そんな温度でも僕らが耐えられるようになっているのは、その地底にある金属を加工して壁に貼ってあるからだよ。その金属ってのも効果が凄くてね...ちょっと寒いって感じるくらいだよ。」


「ちょっと待って下さい...なんでそんな溶けるような熱さのところで金属の回収なんか」


「それは私が回収した。」


「は!??

あの、




柊さんって本当に人間なんですか?...」







...



沈黙が続く...



「....究。それはあまり、言わないであげて欲しい。彼が特殊な体質なだけで、心は本当に人間なんだ。だから、人間として、仲間、いや友達として接してやってくれ。」


...この発言はまずかったか、次から気をつけよう。


誰にでも触れてはいけない禁忌の発言や、傷ついてしまう発言はある。僕が病院の時にいた時だって、、、、









この人は信じてくれたし、僕の荒んだ心を救ってくれた。なのに僕は、、、、


「はい...すみません、柊さん。勝手にこんなことを言ってしまった僕の責」

「いいんですよ頭、自分でもわかっているんです。私が普通の体では無いことは、、、」

「でも君はっ......


...


...すまない...」

「彼の、究の発言は真理をついています。私の行動は、どう考えても人間離れしている。私が彼の立場でも、同じことを言ってしまうでしょう...

だから究、気にしなくていい。ただ、同じ人間として...









パパとして、接してくれ。」



「ん?」



何真面目な顔して言ってんだこの人!??

会ったばかりの人にそんなこと言っちゃダメだろ普通!??


「まあ、柊、その発言は今後やめようか。


...そんなことは置いておいて、今通っている穴が地底へと続く道だよ。そろそろ本拠地が見えてくるはずだ。」


そう言った市橋さんは、奥の方を指さした。


!??

なんだこれは...






まるで普通の家みたいじゃないか!!!!

本拠地って言うくらいだし、現実離れした話が続きすぎてもっと想像もできないくらいの機械が動いてたりしてるのかと思ったけど、これは意外だ...


車から降りる際、ずっと気絶していた南海さんを起こした。

「あの〜南海さん...起きてくださ〜い」

「あの〜」


うん。


パンッ!

額にデコピンをした。

「んぁ!?」


シュンっ シュンっ

彼女は起きると上下左右首を振っていた。


混乱しているみたいだけど、まるで病院から目が覚めた時の僕みたいなことをする。


「...あの〜着きました。ここがはぐれ者の本拠地です。南海さん、柊さんの運転(アトラクション)でずっと気絶したままだったんですよ。」


『...ギクッ』


なんか効果音が聞こえたような気がするけど、まあ気のせいだろう。


「そ、そうだったんですね。その前に...


そろそろ手を離して貰えますか?」



ん???あっ...

衝撃を抑えるためにずっと手を握って、背中を支えてたんだった。市橋さんの運転に変わってからも、ずっと支えてたのか...気づかなかった...完全に忘れてた...


「すみません!!別に下心はないんです!!!」


「分かってますよ。頭をぶつけたりしないように、支えていてくれたんですよね。ありがとうございます。」


「え、えぇ、まぁ...」


胸を触ってしまったとは、天地がひっくり返っても言えない。記憶の中でじっとしていてもらおう。


「そういえば、普通の家みたいな見た目ですよね。海からは抜け出せたみたいで、良かったですよ!」


「...そうだね。」


色々な説明は後にしよう。今説明してしまうとさらに混乱しちゃうだろうし。特にこの人の場合は...


「おーい!早くこっちに来るんだ!」

市橋さんが呼ぶ。

「呼ばれてますし、行きましょうか。」

「そうですね...」


呼ばれた僕たちは、市橋さんの元へと向かう。

その前に...

「柊さんは行かないんですか?」


「ああ、私は見張りみたいなものだしな。」


「こんな所まで侵入者って来るもんなんですか?」


「...この地底はもう一個の世界だと考えてもらって構わない。そして色んな組織によって支配領域は違う。そういう事だ。」


「侵入者が来るのかどうかを聞いているんですけどね...」


「...すまない。また説明が足りなかったようだ。

組織は支配され支配するの繰り返しだ。だから侵入者が来るんだ。」


相変わらず説明足らずな所はあるけれど、弱肉強食みたいなものか。僕にも理解はできた。


「そうですか。では柊さん。また会いましょう。」


「ああ、究。

あと、私の事は気軽に夜空と呼んでくれ。その方が馴染みやすいだろう。あと敬語も禁止だ。年上年下だからって上下関係が生まれる訳じゃない。」


この人はたまに核心をつくことを言う。

僕もそういうのに憧れているのかもしれないな。


「その通りでsっ...だね。じゃあ、





これからもよろしく、夜空!」



「...よろしくな、究。」


そう言うと、少し嬉しそうな顔をしていた。このような顔を見られるのは初めてだ。いつもは堅苦しい表情をして内面の感情が分からなかったのに...

たまにしょんぼりしてたけど。


でも僕も嬉しい。記憶喪失してから、初めての、






友達が出来たのだから。



「...ーい、お〜〜〜い八中くん?」

「あっはい!すぐ行きます!」

トットットッ

僕は向かっていく。


◆◇◆◇


「何話してたの?柊さんと」


「あぁ〜ちょっとね。

っていうかいつの間にか敬語解いてるじゃん!」


「だって、私達、同じ年齢くらいでしょ?もう敬語なんていらないよ?」


「...まぁ、それもそうだね。」



「さあご覧あれ南海成くん、八中究くん!これがはぐれ者の本拠地、底の家、名付けてボトムハウスだ!」

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