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7-9 マリスガス・ミレニスの憂鬱⑨

 すると、アニエスは、ある時、とても小さな古びたカフェで、たまたま1人でいた時、トイレに行って、戻ると、今まで飲んでいたコーヒーカップの下に、何やら名刺のようなものがはさんであった。


 それは、トイレに行っている間に誰かが置いて行ったものであった。そこには、表に、【 S・M 】の文字があり、裏には、連絡先の携帯番号が記してあった。アニエスは、それをみて、直感で、これは、自滅屋からのお知らせではないかと思い、すぐに、その番号に連絡をした。


すると、

「あの、、、すみません。名刺の番号に今、連絡をしているんですが、そちらは、どなたですか。」


すると、若そうな女性の声、

「えっ?どなたですか。」

「いえ、あの、カフェで飲んでいたコーヒーカップの下にあった名刺なんですが、、。」

「なんのことかよくわからないわ。番号がお間違いではありませんか。」

「いえ、たしかに、この番号だと思うのですけど、、、。」

「うーん、私には、わかりかねますから、もう切りますね。」

そして、電話は切られた。

「あら、この名刺は、いったいなんだったのかしら。」


すると、次の日、突然、アニエスの携帯が、鳴った。

「昨日の連絡のあった方かしら?」

驚いたアニエス。昨日、名刺の番号から連絡した女性からであった。

「これは、昨日の番号ではないわ。もう、これからは、昨日の番号に、そちらからは、もう連絡はできないからね。覚えておいて。今後は、こちらからだけ、連絡するわ。名刺の表に、書いてあった文字、あなた、覚えてる?」

一方的に、ここまでしゃべり、自分のことや、要件には、ふれずに名刺の表の文字を聞いてきた。

「えっ?えーと、たしか、SとMだったかしら。」

「そうね、それは、セルフ・マーダーの頭文字よ。意味は、自滅!」


やはり、「自滅屋」だった。自滅屋から、アニエスに連絡がきたのだった。

「あなた、自滅屋ね。まさか、そちらから、連絡してくるなんて。」

「改めて、聞きたいけど、あなた、自滅を望んでいるの?本当に?」

「そうよ、そうなのよ。自分で自分の人生を閉じるなんて、こんな、ミステリアスなことって、他にはないわ。それに、この国の人間には、決してできないことよ。」

「そうね。たしかに、この国では、自分ではできないことね。それで、あなた、自滅することで、命がなくなることをどう思っているの?」


 まさか、こんなことを聞いてくるとは、思いもよらなかったアニエスは、犯人がいったい、何を望んでいるのかが、わからなかった。それに、自滅したい人が、いったい、自滅することに、いったい何を望んでいるのかも。


 しかし、これは、自滅を申し込むためのテストのようなものかもしれないと、とにかく、アニエスは、考えた。自滅を望む気持ちが、ウソだと思われてはいけない。そして、犯人が、望んでいる答えを!


「それは、もう、未知の体験をする幸せですね。そのあと、どんな世界が待ってるかもしれない。ただ消滅するのとは、違って、自滅することで、違う世界が待っていると思うの。」


アニエスは、とにかく、必死であった。とにかく、自滅を経験したいという気持ちを、ありったけ、犯人にぶつけていった。


すると、犯人は、嬉しそうして、

「わかったわ。あなたに、幸せな世界に行くための手助けをしてあげるわ。あとから、連絡する振込先へ、そのための幸せへの旅立ち代として、50万ミラを振り込んでね。確認ができたら、また連絡するわ。」

「わ、わかった。必ず、振り込むわ。ありがとう。また、連絡を待ってるわ。」


 その後、入金をして、自ら、自滅の申し込みをして、それまでのことを事件の担当者たちと話しをしていた。


 そして、しばらくして、アニエスからは、「自滅屋」のことについて、何もふれてこないのを、不思議に思った警察本部では、飛び降り自滅事件に関わる担当者から、アニエスに確認をした。しかし、アニエスは、自滅屋に申し込みをしたこと以外、何一つ覚えていなかった。


 警察と美麗隊本部では、それを聞き、大騒ぎとなった。それというのも、おそらく、もう自滅のための打ち合わせというか、アニエスに対して、すでに何かが行われて、記憶を消されているに違いないと思ったからであった。アニエスが自滅させられるまでに、「自滅屋」をなんとかして、捕まえなければ、アニエスは、本当に飛び降り自滅してしまうに違いないのであった。


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