7-8 マリスガス・ミレニスの憂鬱⑧
すると、今、ネットで、しきりに話題になっている人物がいた。それは、「自滅屋」と呼ばれていて、そのような人物がいるという噂である。正式な名称は、わからない。だが、高額ではあるが、その依頼をすると、誰か人の手を借りずに、自ら命を絶つことができるということであった。
そして、もちろん、その方法には触れてはいないが、昨今増えている自滅は、すべて飛び降り自滅であった。しかも、それらの飛び降り自滅は、誰かが押したり、それらを誘発させるようなことは、一切目撃されていない。
警察本部でも、この「自滅屋」という人物が実在するかどうかは、わからないが、何か自滅する人たちに、もしかしたら関わっている人物がいると、捜査を開始した。
そして、飛び降りれば、怪我の程度ではなくて、確実に自滅できるのであった。それが起こりそうな場所には、カメラを設置したり、捜査官が怪しい人物がいないかを、現場の見回りを強化することで対応し始めていた。
そこで、ミレニスのマリスガスが使用されることとなり、飛び降り自滅を促す人物がいれば、その現場には、必ずその人物が現場にいるはずなので、このガスによって、悪意のある犯人は必ず見つけ出せるとされていた。
ところが、たまたま飛び降り自滅が起こり、その場所で、その場にいた人たちを調べたが、マリスガスに反応した人物はいなかったのである。
ということは、自滅屋というのは、元々いないのか、それとも別の場所から、仕掛けているのか。
この事件は、全く手掛かりがなく、暗礁に乗り上げてしまうのか、心配されていた。しかし、そこで、このような場での出番は、あまりないのだが、美麗隊・特殊部隊サージ隊長、アニエス・エリザベス・デルフィーノ は、自ら、懸命に「自滅屋」を探していた。そして、最初の飛び降り自滅が起こってから半年後、アニエスは、ようやく「自滅屋」の情報をつかむことができた。
それは、ちょうど、2回目の飛び降り自滅事件が起こった頃のことであった。アニエスは、友人と外食をしたり、カフェでお茶をする機会がある時、必ず友人との話しの中で、自滅にとても興味があり、実は、いつかしてみたいということを話していた。




