7-7 マリスガス・ミレニスの憂鬱⑦
これで、ミレニスは、正式に美麗隊の開発チームに参入が決定したのであった。
その後、このマリスガスは、最近頻繁に起こる放火事件の現場でも、その威力を発揮して、その燃えている現場にいる多くの野次馬の中から、犯人を導き出し、その被害を最小に食い止め、他の事件でも、これまでは、証拠の少ない事件は、解決までなかなか進まなかったが、犯人の悪意が確実視できることから、その捜査もスムーズに進められて、早期解決できるようになってきた。ただ、その黒くなる顔の影が、数値化されるものではないので、微妙な黒さには、その判断に慣れが必要であり、誰もが判断できにくいことが、まだまだ課題を残していた。
世間では、様々なものが、話題となり、人々というのは、どんなものが流行るかというと、それは予測できないことも少なくないものである。
その頃、巷では、とても常識では信じられないことが話題となっていた。若者たちが、最近、非常に気になっていること、それは、なんと、自殺、であった。
コトールルミナス人は、その特殊な国民性で、自殺することは、全くない。そもそも、まず、死、という概念がなく、コトールルミナス人は、この世から消え去る時は、自然に肉体は消滅し、空気のようになって消滅することから、これを、死、とは言わず、消滅、と言い、コトールルミナス人の女性は、その命よりも、女性の美貌を何よりも大事に思うことから、その寿命がたとえ短くても、より美しい顔を選ぶという考え方から、寿命が短いことや、消滅することに対して、特に気にしていない。そんな価値観から、自ら己れの命を消滅させることなど、考えも及ばない。
しかし、他国において、自殺する人がいるという情報は、この国にとっては、極めて珍しく、もちろん、その気持ちはとても理解できないことから、最近の若者たちが、自殺、が気になって仕方ないのであった。それを、不思議と思うことは、もちろん、どうしてそんな気持ちになれるのか、とか、中には強烈に興味を持ち過ぎて、自分もやってみたい、と思う人たちまで現れた。だが、絶対に自分の意思では、できないので、かえって、憧れてしまっているのであった。また、この国の意識からすれば、自殺、ではなく、自滅、という言い方がふさわしい。
すると、突然、実際に自滅をしてしまう、若者が出てきた。自滅願望があっても、いざ、それを実行することは、間違ってもできない人種なので、警察も手を焼いていた。
そして、その件について、捜査をしていると、その自滅者に共通する点は、高所からの飛び降り自滅であるが、してみたいけど、絶対にできないと話していたという。
では、その自滅した者は、高所にいる時、誰かに押されたのではないかと言われていたが、目撃者の話しでは、本人自ら飛び降りていたという。それと、飛び降りた女性たちは、自滅にとても憧れが強かったということであった。
警察内でも、自ら飛び降りることなど、いくら自滅に憧れていたとしても、絶対に自分からできるわけはないと、その意見は絶対に動かなかった。それなら、誰かが、その飛び降りを手伝ったとしか考えられなかった。
やはり、本人の意思を変えることはできないし、そもそも、本人たちは、ただの憧れではなくて、自分では決してできないが、自滅することを強く望んでいたという、新たな事実が判明していたのである。
それに、ここ10件ほど、急激に増えている自滅。コトールルミナス人は、絶対にできるわけはないので、誰かが、手を貸しているに違いない。




