6-10 B & W ⑩
すると、そこへきた2人の女性たち、
「ニコラとマリアンナ、じゃなくて、今は、ホムリスとフレアね。2人ともおめでとう。」
「ええ、ど、どうしたの?なんで、ここにいるの?」
その女性たちは、ホムリスとフレアの母親たちであった。ホムリスの母親、エステル・シルバーロートは、
「ホムリス、あなた、今回は、危なかったけれど、2人で協力してよかったわ。」
すると、フレアの母親、アマンダ・ヴォルフも、
「フレア、あなた、他の人と協力するなんて、よく決心したわね。お母さんは、それが一番うれしいわ。」
すると、2人は、少し涙ぐんで、
「お母さん、私たち、これまで、負け知らずで、あまりにもいい気になっていたわ。それに、私たちを超える人がいるなんて、今日も勝つことはできたけど、2人で協力しなかったら、きっと負けていたわ。本当にごめんなさい。」
実は、このイベントは、実務計子の企画であったが、それは、ホムリスとフレアが来日して、事務所に所属した時から始まったことであった。
実務は、この2人について、その素性を調べていった中で、2人は、伝説とうたわれた「漆黒の美少女」と「純白の美少女」であることが判明した。そして、さらに、2人とも、それぞれ次期プリンセスという立場でありながら、家出して探されていることがわかった。
そこで、実務は、それぞれの国のプリンセスに連絡をして、2人は、モデルラボ事務所に所属して、モデルとして雇われたことを伝えた。
すると、「漆黒の美少女」であるフレアの母親であるアマンダ・ヴォルフは、実務に、相談を含めて、これまでのことを話し始めた。
「漆黒の美少女」との異名をとる、本名 ニコラ・ヴォルフは、ブラキリシス国で、プリンセスの長女として生まれた。
ブラキリシス国は、別の名で、黒の国とも言われ、全世界にも数少ない、「色成国」の一つであり、その国に伝わる色を尊重し、この国では、黒を全身に身につけたり、住居なども黒色にすることで、その国の人としての生活が守られ、その生命にエネルギーが与えられ、人生が好転的な影響が与えられると伝えられている。したがって、この国の国民は、黒以外の衣類は身につけないことが日常であり、その住居をも黒い建物で統一されていた。
と、これらのことは、今から50年以上前のことであり、これらの習慣などは、時を経て、大きく変わってきた。それというのも、様々なことで、黒色による制約が多すぎて、男女ともに、衣服が黒のみ一色であることなどもなんとかしたいという声が上がっていた。
しかし、黒いものを避けていった者たちは、短命だったり、病いにかかりやすかったり、日常生活において、様々なトラブルが起きやすいことは明確になってきた。あくまでも、国や国民1人1人の人生に、黒色は欠かせないものなのであった。それらを調査した調査委員会が、緊急に発表した。そのまとめた報告としては、国に生きる国民としては、黒色が単なる縁起がいいとか、運が開けるなどという、いわゆる、迷信のようなことであったり、気休めであるような影響ではなく、国民にリアルに影響を与えているもの、それも好転的に影響を与えているものである、と発表した。すると、ある学者や科学者たちが共同で研究を始め、ある鉱物研究に携わる専門家により、ある鉱石についての研究結果を発表した。
それによると、偶然に採掘された「黒濃石」と呼ばれる鉱石が、それを所持することで、黒色の衣類を着用することや、その環境に黒を使用することに、とって変わることができるという研究結果とともに、その「黒濃石」を日常的に使用できるように製品化することを発表した。
これは、一見、ただの黒い石かと思われるのだが、よくみると、その黒い色は、ものすごく奥深く、その黒さを集中して凝視していると、本当にその黒さの中に吸い込まれてしまう錯覚を起こすほど濃厚であった。
これを様々な形状や、仕様に加工して、キーホルダーや、ネックレス、ペンダント、ブレスレットなど、個人的な好みの仕様で、所持することで、服装や、これまで身の回りに黒い物を置かなければならなかったことが必要なくなったのであり、国民は、黒の制約から自由になったのである。しかし、これは、どこまでも国の色なので、成人式や結婚式、その他の祝い事や他の特別な状況の際には、全身黒を着用することは、ほぼ当たり前のこととして、国の習慣として残っている。
そして、王室においては、様々な行事などでは、まだまだ全身黒のスーツが通例となっている。プリンセスも外出時は、全身黒を着用し、娘のニコラも、子供の頃から、まだ校内でも、たった1人全身黒で通学していた。
だが、クラスメイトたちは、赤だったり、青や緑、その他、自分たちの好きな色で、通学をしていた。
だから、ニコラは、これがとても羨ましかったのであった。
「お母さん、私も、赤とか青の服を着て、通学したい。」
「この国ではね、全身黒なのが正式な服の色なのよ。」
「それは、昔の話しでしょ。今、お祝い事でもなければ、そんな服装の人なんていないわよ。」
「それは、一般的なことでしょ。私たち、王室の人間は、外出する時も、常に黒よ。」
「だって、今は、黒板があるじゃない。」
黒板とは、「黒濃石」で作られた製品すべてを指し、「黒濃石」を国民が全身黒を着用する代わりに所持するためのものが初めて作られた時に、小さな黒い板状のものが作られて、それを黒板と呼んでいたことから、今では「黒濃石」で作られた製品すべての呼び名となっている。
「それはね、一般国民のためのものでしょう。あれは、黒の略式みたいなものよ。私たち、王室の人間は、あれじゃいけないのよ。赤とか緑じゃいけないのよ。わかってちょうだい。」
だが、ニコラは、あきらめきれなかった。
それというのも、学校に行くと、
「あら、ニコラ、相変わらず、全身黒ですごいわね。悪いけど、私だったら、耐えられないわ。時々ならカッコいいとか思うけど、いつもそれは、ちょっときついかも。」
「私だって、黒ばかりなんて着たくないわよ。赤いのとかも着てみたい。」
「でも、王室の人って、他の色を着られないんでしょ。だけど、代わりに、黒板持ったらいけないの?」
「うちは、特に厳しくて、私たち王室は、黒板なんてとんでもないって言うのよ。」
「そうなの。私、庶民でよかったわ。それに、昔って、全身黒でも、90%までだと、受けるエネルギーは2倍で、フルパーセントで3倍だったって話しをきいたことがあるけど、黒板なら、持つだけでフルパーセントと同じだっていうじゃない。だったら、絶対に黒板よね。」




