5-13 プリンセスの娘、誘拐の謎13
麗奈は、実務の言葉に、もはや訳もわからず、追い詰められていた。すると、さらに、実務の言葉は続いた。
「これで、次期プリンセスがとぎれたら、それを救わなかったあなたの名前が、イミリア共和国の国民に広まっていくでしょう。そんな汚名を着せられていいの?今、国を救えるのは、あなたしかいないのよ!もうやる以外には、あなたには残されていないの!わかってちょうだい!」
すると、少しずつ気持ちを切り替えつつ、麗奈は、
「実務さん!あなたは、今からやることが、どれだけ難しいことかわかっていないわ。ついこの間まで、100%移面術ができなかったというのに、今、実務さんがやらせようとしていることは、その10倍、いや、それ以上に難しいこと、できた人は、数百年にたった1人しかいないのよ。」
「それなら、簡単なこと。あなたが2人目になればいいだけでしょ。私がついてるわ。状態をみながら、アドバイスするから、一緒にやりましょうよ。イミリア共和国を破滅の道に進めないためにも!」
それを聞いて、涙を流す麗奈。しばらく、泣いて、気持ちが落ち着いてきたのを、確認した実務は、
「さあ、定位置に座って、麗奈。マリアも座って、私たちを信じて。」
うなずくマリア。すると、どうやら、観念した麗奈であった。
「もうわかったわ。最初、どうしたらいいの?」
「そうね。まず、呼吸を整えて、呼吸が落ち着いたら、自分の心を、そのまま、閉じ込めないで、一気に解き放ちなさい。でも、あわてては、だめよ。」
すると、ゆっくりと目を閉じる麗奈。呼吸を整えながら、さっきの実務の言葉が改めて突き刺さってきた。
自分が救わなければ、イミリア共和国は破滅してしまう。それが、たとえ自分のせいではなくても、責められるのは、自分。自分以外に救えるものはいない。なんという時を迎えてしまったのだろうか。
実は、麗奈は、実務には、言っていないが、移面術には、その最高峰である、超移面術の1つである、「復活の術」がある。それは、病気の人たちに対して、その病んでしまった臓器などを治すことをやっていたメンバーがいた。それは、これまで何百年もの間で、過去にその頂点に立っていた、主理よりもさらに上の立場にいた、伝説の「主命」であった。主命は、人間の体内データであるDNAから、生まれた時に持っている身体への病んでしまった臓器や身体の部分を元のデータの姿に移すという、まさに異次元並みの超移面術を行なって、多くの人たちの病気や怪我を治すことのできた、ただ1人のメンバーであった。
実務は、このことを知らなかったが、これまでみてきた移面術の内容を考えると、そのハイレベルの、さらに先にあるもの、それこそが、壊れた身体の部分の再生が可能であると、考えていた。それに、過去には、絶対に、それを成し遂げたメンバーがいた、と確信を持っていた。そこで、この機会に、それを試してみようとしているのであった。




